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第205話 尋問開始(1)

「まず、私は此処で門番をしているアルルだけど、あなたの名前と所属を聞いても良いかな?」


「……その前に、1つ確認しても良いか?」


「うん、何かな?」


 あっさりと、質問の主導権を渡すのは頂けない。

 口を出すつもりは無かったのだが、此処は出させてもらおう。


「アルル、ちょっと待つんだ。

 素直なのは良いことだけど、主導権を渡す必要はない。

 戦闘でも、主導権を渡さない様に立ち振る舞うだろ? それに、アルルは名乗ったんだ。

 自分も名乗るのが礼儀だろ?」


「こんな格好をさせておいて、礼儀も何も無いだろ?」


「不審者を拘束しないのは、此方が危なくなるからな」


「そうか、分かったよ。

 質問に答えるのは、こちらの質問に答えた後にするよ」


 そう、それで良い。


「最初の質問に戻るけど、あなたの名前と所属は?」


「……ザイードだ、所属は王国第7歩兵部隊だ」


「ザイードさんね。

 それで、此処へは何をしに来たのかな?」


「その前に、俺の質問に答えてくれないか?」


「私からの質問に全部答えてくれたら、答えられるものは答えるよ」


「本当か?」


「うん、勇者は嘘を吐かないんだよ」


「勇者に間違いないんだな?」


それ(、、)を確認したかったの?」


「あぁ、そうだ」


「そうなんだ。

 それで、此処には他に何を確認しに来たのかな?」


「その前に、この拘束を解いてもらえないか? このままじゃ、落ち着いて話すことも出来ない」


 アルルはこちらへ顔を向けてきた。


「アルルが決めて良いんだ。

 此処からは簡単に逃げ出せないと思うしな」


 アルルは剣で縄を斬り、拘束を解いた。


「それじゃあ、話して貰えるかな?」


「その前に、勇者がこんな所で何をしているんだ? 魔王を倒しに行ったはずだ」


「それは色々あって、今は此処で門番として働いているんだよ」


「魔王を倒す使命は忘れたのか?」


「魔王は何故倒さないといけないの?」


「魔王が居る限り、世界に平和が訪れないからだ。

 勇者は世界を平和へと導く存在だろ。

 忘れたのか?」


 こいつも、魔王が世界の平和を脅かしている存在だと、信じて疑っていないようだ。

 その事をこいつと話し合うつもりは無いし、今、この場で話す事でもない。

 それに、アルルは放っておくと、すぐに主導権を渡してしまうようだ。

 これはいけない。


「アルル、ちょっと待て。

 また主導権を渡しているぞ」


「う~ん、尋問するって難しい」


 どうも、アルルは聞き役になりやすいようだ。

 俺と話したことで、まず聞いて考えるという事が癖になってしまったのだろうか? そうだとしたら、門番には向かない癖を付けてしまったのかも知れない。


 話を聞く耳を持つことは良いことだと思うのだが、それでは尋問が出来ないだろう。


「仕方がない、今回は俺が進めてみよう。

 ヴィーヴルも、聞きたいことがあったら聞いていいぞ」


「分かったのじゃ」


「それより、勇者がなぜこんな所で門番などしているんだ?」


「お前のその質問に答える必要はない。

 それに、この時間にお前からの質問を許した記憶は無い。

 それ以上、質問をするようなら、また拘束させてもらうが?」


「勇者が質問に答えると言ったぞ」


「俺は了承していないし、此方からの質問は終わっていない」


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