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第200話 水を上げる方法

「畑を迂回させるにしろ、上を通すにしろ、水路はもっと上に作らないといけないって事だよな」


「そうじゃな、そうしないと邪魔になるか、或いは水が流れて行かないじゃろうな」


「水を上に流すことなんて出来ないのじゃ」


「そうだよなぁ……」


「水を上げるだけならば出来るのじゃよ」


「そうなのか?」


「あぁ、水車は水を汲み上げておるじゃろ」


 そう言えば、水車で水を汲み上げていたな。


「じゃあ、水路に水車を入れれば良いんじゃないのか?」


「それだと、水車は動かんじゃろう。

 水車を動かすには水流が弱すぎるのじゃよ。

 それに、水車を置くには深さも足りん。

 あれでは、水を掬い上げられんじゃろう」


「そうか……何か良い手は無い物か……」


「他にも水を上げる方法はあるのじゃが、動力が無いとどうしようもないのじゃ。

 風の力も考えたのじゃが、風が無いと動かんしの」


 水車なら川の力を利用しているから、川から水が無くならない限り使える。

 水が無くなったら、そもそも汲み上げるべきものが無いのだから、動く必要はない。


 風が無くなったら動かなくなるものなら、風魔法で当ててやれば良いかもしれないが、それなら水魔法で水場を満たした方が早い。

 魔法が無くても動くようなものを考えているのに、魔法の力が必要になるなんて本末転倒も甚だしい。


「人力で動かすとしたら、大変な作業になるのか?」


「そうじゃな……一度に汲み上げられる水の量は、水車より少ない量となるじゃろ。

 しかも、水車より羽根の枚数は少ないから、大変という言葉では済まんじゃろうな」


「そんな事、やりたく無いな」


「となると、やはり自然の力を使うしかないようじゃな」


 良い方法が思いつかない。

 この中で一番、その方面への造詣が深いであろうドノバンも首を捻っているのだから、当然と言えば当然であろう。

 ヴィーヴルに至っては、途中で考える事すら放棄しているかのようで、例の水平を見る機械を弄って遊んでいる。


 暫く経って、ドノバンから告げられた。


「このまま考えておっても埒が明かんじゃろう。

 この問題は儂が考えておくから、お主らは水場と排水口を作っておくが良い。

 儂も行って、排水口の栓を作ってやる」


「水はどうするんだ?」


「当面の間は、水魔法で満たしてやるしかなかろう」


 その内、ドノバンが良い解決方法を見つけ出してくれることを祈りつつ、水場と排水口を作りに開拓地へと向かった。

 ヴィーヴルの持ってきた機械は、活躍することなく、再びヴィーヴルが洞窟へと持ち帰って行った。


「その内、また水路を作るだろうから、その時には活躍してもらうぞ」


 余りにもヴィーヴルが機械を持って帰る背中が悲しげだったので、慰めの意味も込めてそう言葉を掛けた。


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