第2話 今後のことを考える
(さぁ、どうするか?)
部屋に帰って、今後のことをどうするか考えていたが、いい案が思いつかない。
(クエストを1人でこなすには、簡単なクエスト以外無理だろうし……)
討伐クエストだと、ゴブリン討伐くらいならできるだろうが、集落の殲滅なんて無理だろう。
ゴブリン単体の討伐報酬なんて、雀の涙くらいしか貰えない。
あとは採取クエストでも、近くの森にある薬草くらいならいけるだろうが、
ダンジョン内の鉱物や薬草なんかを集めるのは無理だろう。
ダンジョン内だと突然、襲われる可能性があるから、大抵はパーティを組んでいく。
(パーティを組めればいいが、今の俺の実力だと実力者パーティは無理だし、初心者パーティに入るという手もあるが、若い者と一緒にやるのは色々ときついだろうなぁ。
あっちも気を使うだろうし、こっちも気を使うから……)
いくら対等にと言っても、どうしても無理だろう。
また、若い者同士で仲良くやっているだろうところに、おっさんが1人突然放り込まれても困ってしまうだろう。
(う~ん、どうするか……)
暫く、唸りながら考えていたが、良いアイデアが浮かばない、
(こういう時は、一先ず気分転換するか)
ベッドに入って、寝ることにした。
**********
「もう朝か……さわやかな朝とはいかないか……」
朝の清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んでも、気分は晴れない。
まぁ、昨日パーティを抜けたばかりだから。
それでも、俺には1つの考えがあった。
昨日の夜に、簡単なクエストをこなしながら生活している夢を見た。
(多分、心のどこかで、そうして暮らしていきたいって思っていたんだろう。
贅沢をしなければ、暮らしていけるんじゃないのか?)
簡単なクエストだって、報酬が無いわけじゃない。
日々の生活費ぐらいなら稼げるだろう。
今までの蓄えで安い家でも買えば、なんとかなるんじゃないか?
段々と先が見えてきた気がする。
簡単なクエストをこなすだけなら、防具も武器も今までのをそのまま使っていけばいい。
そんな頻繁に駄目になることもないだろうし、その分の出費もなくなる。
ポーションも使わないで済むから、その分の出費もなくなる。
家を買えば雨風を凌げるし、クエストで食費ぐらいを稼げば十分だ。
あれ? 何を悩んでいたのだろうか?
完全に先が見えたじゃないか。
(そうと決まれば、安くてもいいから家を探すか)
家がなければ成り立たない生活設計だから、とにもかくにも家探しからだ。
今の俺の全財産は金貨30枚と少しだから、金貨25枚ぐらいの家があれば最高だ。
金貨30枚全部使ってもいいが、手元に少しでもあれば心に余裕も生まれるし、急に何かがあっても対応できるかもしれない。
宿屋を出る時に、「今日、明日で出ていくかもしれない」と宿屋のおやじに伝えておく。
「へぇ、そりゃ、どういった風の吹き回しだい?」と聞かれたが、
「いや、そろそろ安くてもいいから、家でも持とうかと思って」とだけ伝えておく。
パーティから脱退したことは、聞かれてもいないのに伝える必要はない。
宿屋を出て、商業ギルドへと向かった。