第199話 開拓の地に水場を
セラを開拓地へ連れて来た。
羊達はよほど美味いのか、草を食んでいる。
セラ達は毒草をオーガの兄弟に教えながら抜いていた。
「思っていたより、草が生えていないわね」
「あぁ、切り株を抜く為に、一度土を全部起こして、山から土を持ってきて入れたからだと思う」
「そんな手間を掛けたの?」
「ルシフェルがあっという間にやってくれたんだ」
「とんでもないことするわね。
ノアさんはそれを黙ってみていたの?」
「それで作業が終わるのなら、別に問題とする必要も無いと思うしな」
「……此処では、私達の常識では計り知れないことが起こることがあるって事が、良く分かったわ」
セラは呆れた様に言い捨てて、毒草を引き抜く作業へと戻った。
作業が早く終わるのだから良いだろうと思うのだが、何か問題でもあるのだろうか?
それはそれで置いておき、此処への水場を作らないといけない。
土魔法で小さい箱を此処に作って、水魔法で箱の中を満たしておく。
「今日の分の水は此処に置いておくからな」
「分かったわ、ありがとう」
「さて、俺達はきちんとした水場を作るか」
「どうするのじゃ?」
「ヴィーヴル、あの水平を測る機械を持ってきてくれ。
また、あれで水路を作るぞ」
「分かったのじゃ。
妾が再び、きちんと測ってやるのじゃ」
「お願いするよ。
俺は、またドノバンに水路の取水口と排水口を作って貰うように言ってくるよ」
ヴィーヴルと俺は瞬間移動で村へと移動し、それぞれの分担を熟すための行動へと移した。
ドノバンに新しい水路を作りたいと相談したのだが、取水口を何処にするかで考え込んでいた。
「今の水路から分岐させるのは簡単なのじゃが、そこから果たして水を流すことが出来るかが問題なのじゃよ」
「いつも通り、徐々に低くしていくから問題ないだろ?」
「水路は何処を通すのか考えておるのじゃろうか? 多分、畑の真ん中を突っ切る様にせんと傾斜が取れんのじゃぞ?」
「それで問題があるのか?」
「畑の真ん中に、多分じゃが儂の背より多少低い位の高さに水路が通るんじゃぞ。
畑作業の邪魔になって溜まらんじゃろう」
「それは邪魔だな。
それなら、畑を迂回するように……」
「それだと高さが足りなくなるじゃろうな」
「そうか……それは困ったな」
「ノア、遅いから来たのじゃ。
何をしておるのじゃ? 早く作業をするのじゃ」
「ヴィーヴルか……いやな、水路を何処に作るかドノバンと話していたんだが、このままじゃ拙い事になりそうで、どうしようかと悩んでいたんだ」
「何がどう拙いのじゃ?」
ヴィーヴルにドノバンと話した内容を説明した。
「成程なのじゃ。
それは確かに問題なのじゃ」
俺達4人は、どうやってこの問題を解決したら良いのか、頭を悩ませる事となった。




