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第196話 村に帰ってきて、その後

 木陰へと移動したヴィーヴルは、手元にあるアプリコットのドライフルーツを大事そうに食べていた。

 目を細めたり、頬に手を当てたりと、傍目で見ても、それはそれは美味しそうに……


 ヴィーヴルの事はあれで良いとして、次はセラだ。


「セラは、此処に住んでもらおうと思っていたんだが、良いだろうか?」


「あら、村の中に住むの? 羊たちの側に住むと思っていたわ」


「飯は皆食堂で食べているから、セラもその方が良いと思ってな。

 だから、食事の心配はしなくて良い」


「アイリスちゃんが作っているのですよね?」


「あぁ、その辺はイルデから聞いていたのか?」


「そうね、『私より美味しく作るのが、ちょっと悔しいの』と微笑んでいたわ」


「あれは、才能だとしか言いようが無いな。

 それで、飯の話は置いておいて、今、オーガの子供達が羊の世話をしているんだ。

 本人たちが望むのなら、そのまま牧童として使ってやって欲しいんだ」


「あら? もう、後継者が居るのね?」


「後継者候補だよ。

 無理強いはしたくないからな。

 気が変わる事だってあるだろ?」


「そうね、良いわよ」


「ありがとう。

 羊達の所へは、その子らに連れて行って貰ってくれ。

 それと、セラの事は晩飯の時に皆に紹介するから、それまでは家で荷物の整理でもしていてくれ」


「分かったわ」


「……その前に、イルデを呼んでくるから、待っていてくれ。

 イルデにも手伝って貰った方が良いだろうしな」


 突然、知らない土地に来たのだから、知り合いが居るのならば一緒に居た方が少しでも落ち着けるだろう。

 イルデを呼びにドノバンの家の入口へ行き、セラが来たことを伝えると、イルデが家の中から飛び出してきた。


「そう言う訳で、セラの荷解きを手伝って貰えないか?」


「分かったわよ。

 セラ、良く来たわね。

 さぁ、一緒にやっちゃいましょ」


「ありがとう、イルデ。

 お願いするわ」


「これでも摘みながらやってくれ」


 そう言って、ストレージの中からイチゴのドライフルーツを何個か取り出してイルデに渡した。


「あら、ありがとう。

 じゃあ、ちょっと行ってくるわ」


「何かあったら呼んでくれ」


「分かったわ」


 後は、2人で良い様にやってくれるだろう。

 俺は食堂へ行き、今日仕入れて来た物をアイリスへと渡した。

 渡したものの中にはドライフルーツも含まれており、どう料理しようかと悩んでいた。


 食堂でアイリスの手伝いをしているオーガのアリシアが「クッキーに入れているのを見たことがありますよ」と言ったのを聞いて、アリシアが「それ、美味しそう」と返していた。

 この感じだと、此方も何も心配する必要は無さそうだ。


「いつも美味しい物を作って貰っているからな。

 アイリスが欲しいと思うものがあったら、遠慮しないで言ってくれよ。

 俺には買ってやることしか出来ないけどな」


 アイリスの頭を撫でながら伝えた。


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