表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/366

第184話 予約販売の受付

「さて、今有る武器はこんなもんじゃが、どうするのじゃ?」


 朝になり、ドノバンの工房へとシュラウド達パーティを連れて来た。

 昨日の打ち合わせ通り、ミスリル、オリハルコンの武器は全て隠してあった。


「一見すると、鉄の剣にしか見えないが?」


 見た目は鉄そのもの。

 ただ、ミスリルが混ぜられた金属だから、その辺の鉄とは比べ物にならないくらいに硬い。


「そうじゃろうな。

 何かで試してみれば良いのじゃがな」


「じゃあ、この短剣を使うと良いよ」


 ルークが腰から1本の短剣を取り出した。


「もう1本あるから、大丈夫だよ」


「じゃあ、これで試してみるが、その剣が刃こぼれしても怒るなよ?」


「大丈夫じゃよ。

 そっちこそ、その短剣がどうなっても知らんぞ?」


 シュラウドが短剣を振り下ろすと、高い金属音と共に、短剣の途中から先が無くなっていた。


「危ね」


 どうやらガイルの方へと、折れた刃先が飛んでいたようだ。


「どうじゃ? こちらには傷一つ付いておらんじゃろ」


「此処にある物は、全部、この鉄で作られているの?」


「そうじゃな」


 シュラウド、ガイル、ルークは目の前に並べられた武器を手に取り、素振りをして感触を確かめていた。


「お主のような魔法使いには、こちらの方が良いじゃろう」


 ドノバンは、下の方からチェーンメイルを取り出した。


「これを中に着込めば、多少は攻撃されても大丈夫じゃろう」


「じゃあ、早速着てみても良いかな?」


「好きにするが良いじゃろ」


 セトは上着を脱いで、チェーンメイルを着込んだ。


「うん、多少重くはなるけど、問題なさそうだな。

 今までのチェーンメイルより軽いかもしれない」


「この金属は、鉄より多少軽くなっておる。

 軽くて丈夫なのじゃから、良い買い物になるじゃろう」


「そうだね。

 これは、いくらだい?」


「金貨10枚なのじゃがノアの旧い知り合いじゃというし、金貨9枚でどうじゃろう?」


「9枚か、うん、良いよ。

 ちょっと待ってね」


 早速、チェーンメイルが売れたようだ。


「ドノバン、この剣はいくらだ?」


「それは金貨50枚じゃが、48枚で良いじゃろ」


「金貨48枚か……流石にそんな大金は持ってきてないぞ。

 もう少し安く出来ないか?」


「あまり、安売りできるような代物ではないのでな。

 ノアの知り合いじゃから、多少は安くするが、これ以上は無理じゃな」


「くそ、こんなことなら、もっと持ってくれば良かった」


「そうだな……良し、では、こうしよう。

 セトのチェーンメイルだけど、一旦、無かったことにしてくれ」


「えぇ? 売ってくれないの?」


「いや、きちんとセトに売るよ。

 今回と同じ金貨9枚で」


「それなら良いよ」


「此処で売るのではなく、ドノバンの前の家で売りに出す。

 場所は昨日ルークに伝えたけど、ドワーフの街外れに一軒家があるから、そこに来てくれ」


「名実ともに、売っている場所が一致するって事だね」とはルーク。


「あぁ、作っているのは此処かも知れないが、売っているのはその場所って事だ。

 シュラウド達が此処に来ても売らない。

 売って欲しかったら、その場所に来て欲しい。

 そして、この場所は口外しないで欲しい」


「分かった。

 売って貰えるのならば、俺達は何処でも構わない」


「良し、話は纏まった。

 お前達が目を付けたものは、例え先客が現れたとしても、売らないで置いておく。

 金も、今ドノバンが決めた額から変えない。

 今後は、俺と知り合いだから安くなるという事は無いと思ってくれ。

 ドノバンが決めた金額でしか、売らないからな」


「じゃあ、俺はこれとこれを頼む」


「僕はチェーンメイルと、他には無いの?」


「僕はこの短剣とこの短剣と、あとこれも……」


「俺はこの剣と、あと、盾は無いのか?」


 大人による大人買いが始まった。

 ドノバンがそれぞれに対応しているが、とても追いついていない。

 俺も手伝ってやりたいが、ドノバン以外に対応できるものがいないのが実情だ。

 ガレスがドノバンの指示で、各人毎の商品を纏めたり、数字の書かれた紙を置いている。

 数字は価格だろうか? チェーンメイルに置かれた紙には『9』と書かれているから、間違っていないと思う。


 まだ店も出来ていないのに、繁盛店が出来上がってしまったようだ。

 ドノバン、ガレスも、さぞかし作り甲斐があるだろう。


 ただ、無理はしないで欲しいことだけは、後で伝えておこう。

 毎日の売り上げ目標などは作るつもりもないし、無理をして売る必要もない。

 例え全く売れなくても、暮らして行くのには困らないだろうから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ