第179話 開拓しよう(4)
アルルに怒られた後、瞬間移動で村まで戻ってきて、今度は家を建てる土地の開拓をすることにした。
「さて、今度は家を建てるための開拓だけど、どうすれば良いかな?」
「さっきのように、土魔法でやれば良いのじゃ。
どこまでやれば良いのじゃ?」
ヴィーヴルが前を出て土魔法を使おうとした。
「今回はその方法が使えないな。
と言うのも、家を建てるためには地面に固定する必要がある。
だけど、下を土魔法で作ってしまうと魔法が使えない者には掘ったり埋めたりができない」
「土魔法で家を作れば良いのじゃ」
「勿論、俺が土魔法で作っていける内はやるけど、対応できなくなるくらいに来るかもしれないだろ? 難民がどれくらい来るか分からないし、人だけじゃない、動物がいれば小屋も必要になるだろうし。
だから、今後の事も考えて、家用には土魔法は使わずに、普通の地面が良いと思う。
普通の地面なら俺も土魔法で家が作れるし、他の人たちも家を建てられるからな」
「では、どうするのじゃ?」
「最初にやったように、1本1本抜いていくしかないかなと思うんだ」
「ふむ……つまりは、全ての木を抜いて、普通の地面であれば良いのだな?」
「あぁそうだが、ルシフェル、何か良い方法があるのか?」
「うむ、そうだな。
少し待っておれ」
そう言い残し、ルシフェルは何処かへと飛んで行った。
「ルシフェルが飛んで行ったのも、風魔法を使っているんだよな?」
「そうなのじゃ。
風魔法で身体を浮かせて、運んでおるのじゃ」
「風魔法を覚えた方が良いかな?」
「無駄になることは無いのじゃ」
「そうなんだけどなぁ……」
そうして、暫くするとルシフェルが帰って来た。
「待たせたな。
全て解決できる方法を思いついたので、早速行ってみようぞ」
「あぁ、よろしく頼んだ」
「では、どこまでの開拓すれば良いのだ?」
「そうだな……」
俺は木が乱立している森の中へと入って行った。
かろうじて、ルシフェルとヴィーヴルが見えていた。
「ここまでお願いできるか?」
「横はどうするのだ?」
「横もこれと同じくらいで良い。
大体で構わない」
「分かったのだ。
では、行くぞ」
そう言って、ルシフェルは手前側から土魔法で、木を剥がすような感じで抜いていった。
地面には、平らな土魔法で出来た地面が広がっていた。
「ルシフェル、これだと駄目だって言ったろ?」
瞬間移動で、ルシフェルとヴィーヴルの立っている所へ戻って来た。
「であるから、これをこうするのだ」
土魔法で出来た地面が消え、大きな穴が空いていた。
これで、底には平らな地面が見えているが、家を建てると水が溜まってしまい使いにくいだろう。
「地面は見えたけど、穴になっているから雨が降ると水が溜まってしまうぞ」
「そうであろうな。
であるから、こうするのだ」
ルシフェルはまた何処かへと飛んで行った。
そして、ルシフェルの代わりに、土が次々と空から飛んできた。
ヴィーヴルは飛びあがって何かを確認した後、地上へと降り立った。
「ノアよ、面白いものがみられるのじゃ。
連れて行ってやるのじゃ」
俺はヴィーヴルに手を掴まれ、空へと連行された。
すると、空には半円を描くように土が一筋の塊となっていた。
「これは、一体、何が起こっているんだ?」
「ルシフェルが、風魔法で管を作り上げ、土を中に入れて移動させておるのじゃ」
あのままでは穴が空いたままだが、土を持ってきて埋めれば良いだろうということか。
風魔法を使って土を移動させるのは、全く考えもしなかった。
「さっき見に行ったのって、何処から土を運ぶか見に行ったのかな?」
「多分そうなのじゃ。
適当な場所を探しに行ったのじゃ」
後は、運ばれた土を均せば普通の地面と何ら変わりはない。
俺とヴィーヴルは、空中でその不思議な光景を暫くの間眺めていた。