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第178話 開拓しよう(3)

 まだ、日は一番高くなる前だ。

 2人掛かりで、しかも魔力量が潤沢ならば作業は直ぐに終わってしまう。


「この際だから門までの道と、あと、難民用の家の土地を確保しておこうかと思うんだけど、良いかな?」


「ならば、試したい方法があるのじゃ」


「あぁ、やってみてくれ。

 それじゃ、まずは一旦村に戻ろうか。

 瞬間移動は俺がやるよ」


 ヴィーヴルとルシフェルの手を取って、村まで瞬間移動で移動した。

 そして、門の方角へと歩いて移動した。


「それじゃヴィーヴル、試したい方法とやらを頼む」


「あぁ、任せるのじゃ」


 そう言って、ヴィーヴルは土魔法で一直線に門まで伸びる道を作った。

 途中にあった木は、根をむき出しにした状態で道の脇に倒れていた。


「これで、道は出来たのじゃ。

 後は、倒れた木の根と枝を切ればよいのじゃ」


 1本ずつ引き抜いても、纏めて引き抜いたとしても結果は同じことだ。

 過程がどうであろうと、邪魔な木はどかされており、道が出来ている。

 こっちの方が手早いことは間違いない。


「これは、土魔法を上から被せた訳じゃないよな?」


「そうなのじゃ。

 これは、下から土魔法で盛り上げた感じなのじゃ。

 こうすれば、道は出来るし邪魔な木は横に倒れると思ったのじゃ。

 大成功なのじゃ」


 俺は地面の中に土魔法を生成することが出来ないけど、ヴィーヴルは難なく行える。

 それを利用した感じなのだろう。


「俺だと思いつかない方法だな。

 これだと、格段に早く作業を終えられる」


「もっと讃えても良いのじゃ」


 ヴィーヴルは得意満面だ。


「丁寧さに欠けるかもしれんが、別に丁寧にやる必要はない。

 急いでいるわけではないけど、短時間で済むのならそちらの方が良いしな。

 早く終われば、その時間で他の事が出来ることになるから。

 それに、道としてもこちらの方が頑丈で安定するだろう」


「ふっふっふ、もっと讃えるのじゃ」


 いい加減、精神的に疲れて来たな……


「はいはい、良く出来ました」


「なんじゃ、そのお座なりな言い様は?」


「気にするな。

 でも、これだと俺のやることが無くなったな……」


「気になるのじゃ。

 まぁ、良いのじゃ……と、ノアも水魔法で枝を切ることは出来るのじゃ。

 枝を切るのに風魔法である理由はないのじゃ」


「そうだな。

 じゃあ、皆で倒れた木の根を切るのと枝払いをしていこうか」


 俺は水魔法で、ヴィーヴルとルシフェルは風魔法で枝払いと木の根切断を行った。

 ヴィーヴルとルシフェルは1度の魔法で枝を全て払っているが、俺は3度の魔法行使で枝を払った。


「木の幹を囲むように風魔法を展開すれば、1度で済むのじゃ」


「幹を囲むようにか……」


 草を刈る感じで幹の上を走らせて枝を払うのではなく、幹の周りに水魔法を展開して、そのまま走らせるという事だろうか。


 俺は、言われた通りに幹の周りに水魔法を展開した。

 そして、そのまま横へと滑らせたのだが、途中で霧散して消えてしまった。


「囲むことに意識が集まってしまい、魔力が薄くなっておったのじゃ。

 もっと魔力を濃くしないと、枝を払えないのじゃ」


「それじゃあ、こんな感じかな?」


 先ほどより濃い密度の水魔法を展開した。

 それは、幹を囲むように展開されたのだが、展開したその場にあり続けた。


「今度は濃さを高める事、囲むことに気が行き過ぎて、走らせることに意識が行っておらんのじゃ」


「なかなか、難しいな……」


「今は少しずつ曲げる練習をしながら作業を進めるのじゃ。

 その内、囲むように曲げられるやも知れんのじゃ」


「そうだな。

 作業しながら練習する方が良いな」


 作業を再開し、次々と木から木材として利用する準備を進めて行った。

 暫く作業を続けていると、門の前まで到着し、アルルが此方へと走って来た。


「これは一体、何があったの?」


「ヴィーヴルに村からの道を作って貰ったんだ。

 これで、アルルもこの門まで楽に来られるだろ?」


「それは有難いけど、牧場までの道って言ってなかった?」


「時間があったから、門までも作っておく方が良いかと思ってな」


「言っておいてくれないと、何事かと思って警戒しちゃったよ。

 一応、門番なんだからね?」


「済まなかった。

 門の方で何かする時は、声を掛けるよ」


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