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第172話 水道の整備(1)

「早速、水を通してみるのじゃ」


 ヴィーヴルは、出来たばかりの水路を使ってみたいようだ。

 俺も、きちんと水が通るのかを確認したいところではあるが……


「でも、沢山入れると雨が降ったら溢れてしまうから、少しだけだぞ」


「どの位じゃ?」


「通してみるだけだから、足首分くらいも無いと思うぞ」


「ノアよ、横の下の方に穴を作ることは出来るかの?」


「あぁ、出来るけど、どうした?」


「そこから水を抜けるようにしようと思ったのじゃが……ちょっと待つのじゃぞ……」


 ドノバンは考え込んでいた。

 ただ水を抜くだけではない、仕掛けを考えているのだろう。


「よし、こんな感じじゃろ。

 ノアよ、まずは、箱の中に傾斜を付けるのじゃ。

 あの機械は何処にあるじゃろうか?」


「あれを使うのじゃ? ちょっと待つのじゃ」


 ヴィーヴルが巣穴へと戻り、水平を測る機械を持ってきて、横にある箱へ水を入れて水平を取っていた。

 すっかり手慣れた感じだ。


「さぁ、やるのじゃ」


「今回はちょっとだけ下っておれば良いじゃろうから、まずは此処を基準とするのが良いじゃろう」


 ドノバンは一番手前の所で棒を持って立っていた。


「棒の上と糸の位置を合わせたかの?」


「合わせたのじゃ」


「では、レバー半回転分、台を上げて待つのじゃ」


「下げるのではないのじゃ?」


「今回は、あそこを一番低くしたいのじゃから、他の部分は上げた位置を測るのじゃよ」


 ドノバンは四隅へ移動し、棒を上下させていた。

 その棒の下へガレスが印を付けていた。


「よし、これで後は線を引けば良いじゃろ。

 ガレス、工房より糸とインク壺を持ってくるのじゃ」


「はい、師匠」


 ガレスは糸とインク壺を取りに、工房へと帰って行った。


「ドノバンよ、この機械はもう使わんのじゃ?」


 ヴィーヴルがドノバンに問いかけた。


「いや、川まで水を流す用の穴で使うじゃろう」


「分かったのじゃ」


「俺には、何か出来る事は無いか?」


 俺だけが何もしていなかったので、ドノバンに問いかけた。


「お主の作業はこの後あるから、待っておるのじゃ」


 ドノバンは近くにあった小枝を拾いながら言った。


「師匠、お持ちしました」


 ガレスが糸とインク壺を持って帰って来た。


「よし、では、糸を全部、インク壺の中に入れるのじゃ。

 そして、糸の端を印の上へこの枝で押さえつけて、待っておるのじゃよ」


 ガレスが、言われた通りにして待っていた。

 ドノバンはインク壺を持ったまま、別の印の場所へと行き、同じように糸を小枝で押さえつけていた。


「よし、もう少し待つのじゃぞ」


 ドノバンは糸を少し横へとずらして離した。

 すると、壁には一直線の線が描かれていた。


「よし、では次の場所じゃ。

 ガレス、糸をインクに浸すのじゃ」


 そうやって、ドノバンとガレスは四辺の壁に線を描いていった。


「よし、これで良いじゃろう。

 ノアよ、線に沿って底を盛り上げるのじゃ。

 そして、此処にこのくらいの大きさで穴を開けるのじゃ」


 そう言って、ドノバンは握り拳を此方へと向けていた。

 俺は、ドノバンに言われた通りに、ドノバンの握り拳程度の穴を箱の横壁に作った。


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