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第168話 魔王様から前魔王様へ(1)

「皆、此処に集まって何をしておるのだ?」


「あ、ルシフェルか。

 おかえり。

 今、ドノバン達と水路を作るための作業をしていたんだ」


「そうか……ノアよ、話があるのだが、良いだろうか?」


「あぁ、水路は今すぐじゃなくても良いから大丈夫だ。

 どこで話す?」


「そうだな……皆に聞いて欲しいので、食堂で良いだろうか?」


 ルシフェルは何時もの微笑んだ感じが無く、真剣な眼差しだった。

 隣に居るベルゼバブは俯いたまま、何かに耐えているような感じだ。


「分かった、じゃあ、皆を集めて食堂に行く」


「済まないが、よろしく頼む」


「ヴィーヴル、畑に居るアン達を連れて食堂に行ってくれ。

 ドノバンとガレスはそれぞれの家族に声を掛けてくれ。

 あ、ガレスはハンナ達の所にも寄ってくれ。

 俺は、門へ行ってアルル達を呼んでくる」


「分かったのじゃ」

「分かった」

「分かりました」


 ルシフェル達は食堂へ、ヴィーヴルは畑へ、ドノバンとガレスはそれぞれの家へと向かって行った。

 俺も門へと瞬間移動で向かい、アルル達を迎えに行った。


 門前ではアルルとツヴァイが模擬戦を行っていた。

 ツヴァイにもまだ勝てないようだが、以前に比べて動きが格段に良くなっていた。

 少なくとも、以前のように瞬殺されるようなことは無くなっている。


「アルル、ルシフェルから話があるようだから、一緒に食堂に来てくれ」


「魔王から? 何だろ?」


「分からないが、深刻そうな顔をしていたからあまり良い話ではないかもしれない」


「分かったわ」


「ツヴァイ、ファーティに食堂へと集まるよう伝えてくれないか? あと、アインスにも」


『承知しました。

 アインスには、先ほど、母上より食堂に来るように伝えられました』


「ヴィーヴルから伝わったのかな?」


 ツヴァイの遠吠えにより、ファーティにも食堂へ集まるようにと伝えられた。

 後は俺達が食堂へと帰るだけだ。


「それじゃ、ツヴァイ、アルル、食堂に行こうか」


「瞬間移動だよね。

 まだ、慣れていないんだよね、それ……」

『我もまだ……』


「その内慣れるだろ。

 ほら、行くぞ」


 アルルの手とツヴァイの足を取って、村へと瞬間移動で帰って来た。


「何かふらふらする……」

『……』


 食堂には、ファーティ以外の皆が集まっていた。

 ルシフェルは押し黙っている。

 その横に立っているベルゼバブは、相変わらず俯いたままだ。


 暫くして、ファーティが到着した。


「ルシフェル、全員集まったようだ。

 それで、話と言うのは何だろうか? 魔王領で何かあったのか?」


「うむ、そうだな。

 まず、我は魔王ではなくなった」


「ちょっと、それ、どういう事なの? 勇者以外にも魔王を倒すことができるの?」


 アルルが、立ち上がりながら叫んでいた。


「まず、我が倒された訳ではない。

 王位が簒奪されたという事だ」


「魔王ってそんな簡単に代わることが出来るの? 魔王を倒しても、直ぐに次の魔王が出てくるって事なの?」


「アルルはちょっと落ち着けって。

 ルシフェルは、魔王について、簒奪されたことについて話してくれないか?」


「うむ、では、まず魔王についてから話そう。

 まず、魔王となるには、必ずしも強い者がなると言う訳ではない。

 魔神の指環(デーモンズリング)に所有者として認められることが必要であるのだ。

 軍部に何やら動きがあるらしいと言うので、今回、魔王領へと帰ったのだが、既に軍部により他種族が抑えられておったのだ。

 そして、他種族の粛清を盾として王位の禅譲を迫られ、将軍のうちの1人が魔神の指環に認められたのだ」


 暫し、静寂が周辺を覆いつくした。


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