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第165話 新しい作物を植えよう(2)

『ノア様~、畝が出来上がりましたよ~』


「分かった、今行くよ」


 アンに呼び掛けられたので、イモの苗を埋めに行くとしよう。

 畑の方を見ると、畝は全てきちんとした形で作られていた。


『これだけ居たので、早く完成させられました』


「それにしても早すぎるよ。

 それでいて、形もしっかり作られているから、大したものだと思うよ」


『身体に合った鍬を用意していただけましたから』


 ドノバンに頼んで、それぞれの体格に合わせた鍬を作ったのが良かったのか。

 最近作った道具には例の合金を使って、より長持ちするようにして貰った。


「今度はオリハルコンと合わせてみるのじゃよ」


 探究心は尽きないようだ。

 今のところ、それが障害となることが無いので、好きにやらせている。

 何か作ってくれと頼んでも、遅くても次の日には出来上がっているのだから。


 話を戻して、苗の植え付け作業を始めよう。

 ストレージから、イモの苗を畑として作っていない所へと取り出した。


「それじゃあ、この苗を植えていこう。

 まず、植えるための基準とする棒だけど、前の畑で使った短い棒ってまだあるかな?」


『はい、あります。

 今回も、これを基準として使用するのですか?』


「あぁ、そうしようと思っている。

 植え方だけど、アン、実際にやってみるから、棒を1本貸してくれ」


 アンから棒を受け取った。

 土魔法で作った、20cm程の土の棒だ。


「まずは、この棒の半分くらいまで斜めに苗を押し込んでいく」


 棒の先で苗を押し込んで、植え付けた。

 きちんと耕されており、簡単に押し込むことが出来た。

 ゴブリン達の丁寧な仕事の表れだ。


「そして、穴が開いたところへ土を被せる」


 穴を隠すように、周りの土を被せた。


「これでお終いだ。

 次の苗を埋める所はこの棒2つ分の所だ。

 だから、こうやって2つ分の所を苗にこの棒を当てるように置いて、更に棒を引っ繰り返したところだ」


 苗に当てていた棒は、苗に当てていない端を中心として、180度パタンと倒すようにして動かす。

 これで、丁度2倍の位置になるはずだ。


「この作業の繰り返しだけど、分かったか?」


『半分の位置が分からないのですが、どうしたらよいでしょうか?』


「大体半分で良いのだけど、きちんと半分で植えたいのなら……こうしてみようか?」


 1本の指を水平に伸ばして、その上に土の棒を乗せた。


「こういう風に、横に乗ったままになれば、そこが半分だ。

 そこを指で持って、指の所まで埋めていけば半分まで埋まったことになる。

 やってみてくれ」


 各々、指の上に棒を乗せ始めた。

 最初のうちは、上手く棒を乗せたままに出来ずにいたが、何度か試している内に棒を乗せたままに出来るようになっていた。


「1回出来れば、後は直ぐに出来るようになるし、半分の位置も大体覚えられるようになると思うぞ」


『子供達とドゥにも、このやり方を教えておきます。

 早いうちに覚えた方が良いと思いますので』


「そうだな。

 じゃあ、アン、手間を掛けるが、教えておいてくれ」


『はい、分かりました。

 では、苗を植えていきますね』


「よろしく頼むよ。

 植えた後の水撒きは、俺がやるから呼んでくれ」


『その水撒きですが、私達が行っても宜しいでしょうか? ノア様が居なくても出来るように、覚えたいのです』


「あぁ、良いよ。

 じゃあ、家の中にある水を撒いておいてくれるか? 足りなかったら……今回は追加するから呼んでくれ。

 撒く水の量は、水溜りが出来るくらいにたっぷりと撒いてくれ」


『分かりました。

 では、作業に取り掛かります』


 アン達はイモの苗を植える作業へと取り掛かった。

 

 さっきのアンとの会話から、俺が居なくてもアン達だけで畑の世話を出来るようにしなければいけないことに気が付かされた。

 そうなると、水撒きの際には水が近くに無いととても不便だ。

 どうにかして、水を畑の近くまで持ってくると言う作業を開始することにした。


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