表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/366

第153話 オーガの母子の移住(3)

 先ほど俺に突っかかって来た警備兵が、窓からこちらを覗き込んでいた。

 俺に対する警戒が、半端ではない。


「困りましたね。

 此処で私が何か言いに行っても、直ぐに戻ってくるでしょうし……」


「交代の時間になるまで、このまま居るしかないか……」


「それでしたら、もうすぐお昼になるので、その時にはいなくなるでしょう」


「じゃあ、それまで、この家に留まらせてもらうよ」


 多少、長居をすることになるが、仕方がない。

 瞬間移動で移動してしまっても良いが、後々、面倒なことになる可能性があるのならば、少しでも避けておきたい。


「ハンナ、モーガンとアドラムに食べ物をあげても良いだろうか?」


「はい、大丈夫ですよ」


「じゃあ、モーガン、アドラム、こっちへおいで」


「「なにくれるの?」」


 声を揃えて、こっちへと歩いてきた。

 ストレージからリンゴを2つ取り出して、それぞれに1つずつ渡した。


「「わぁ、ありがと~」」


「良いんですか? こんなものを頂いて」


「大丈夫だよ。

 前にも言ったろ? 生活には、今のところ困っていないよ。

 昼までやることが無いなら、あいつが居なくなるまでに、昼飯を作って食べるか」


「申し訳ないのですが、今日は昼ご飯を作る予定が無かったので、材料が何もありません」


「じゃあ、こいつを焼いて食べよう。

 台所は使えるんだろ?」


 今度はストレージから、肉の塊を4つ取り出した。


「子供達はリンゴを食べたから、小さい方で良いだろう。 俺達は大きい方を1つずつで良いかな?」


「はい、ありがとうございます」


「じゃあ、台所を借りるぞ」


 台所へ向かい、ストレージから塩、胡椒、木の枝4本、薪を取り出した。

 木の枝を肉へと刺して、塩、胡椒を振り掛け味付けをして、薪を並べて着火の準備をする。


「ファイア」


 並べられた薪に、火魔法で着火する。


「すげ~、まほうだ~」

「いま、まほうつかったよね?」


 モーガンとアドラムが、いつの間にか脇へと潜り込み着火の様子を見ていたようだ。


「魔法なんて、それ程珍しいものでもないだろ?」


「おーがはつかえないって、おかーさんがいってた」


「そうなのか……じゃあ、次は水魔法を使って見せようか?」


「ほんと? みせてくれるの?」


「あぁ、良いとも。

 じゃあ、肉が焼き上がったら、火を消すときに水魔法で消してみようか」


「わかった~」


 モーガン、アドラムと共に、肉が焼けるのを待った。


「よし、そろそろ良いだろう。

 じゃあ、水魔法で消すからな」


「やって、やって~」

「は~や~く~」


 その前に、肉を取って各々に配った。


「よし、ウォータ」


 薪に水が掛けられ火が消えた。


「すげ~、かんたんなの~?」

「そのみず、のめるの~?」


「今は簡単に出せるけど、結構頑張ったんだぞ。

 それに、飲んでも大丈夫な水だ。

 上から降らせると、水浴びだって出来るぞ」


「じゃあ、こんど、みずあびしたい」

「みずあびしたいな~」


「あぁ、いいぞ。

 それより、今は肉を食べてしまおう」


「たべていいの~、やった~」

「おにく♪ おにく♪」


 肉を食べ始めてすぐに、例の警備兵の姿は消えていた。

 もう大丈夫だろう。


「肉を食べ終えたら、移動を開始しよう。

 例の警備兵がいつ戻ってくるか、分からないからな」


 皆が肉を食べ終えて、窓から覗いて、近くに誰もいないことを確認すると、街の外の森の中へと瞬間移動で移動した。

 ハンナはアリシアと似たような反応をした。

 やはり、親子は似るのだろうか? しかし、モーガンとアドラムは興奮冷めやらぬ状態で、周辺を駆け回っている。

 そんなこんなで、何度か瞬間移動を繰り返して村へと帰って来た。


 これ程までに1日に瞬間移動をしたことが無かったので、本当に疲れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ