表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/366

第124話 ドノバンの弟子探し(3)

「俺とドノバンは、人里離れた場所で暮らしているのだが、今、そこにルシフェルも暮らしているんだ」


「魔王様を暫く見かけないと思ったら、そんな所へ行っていたのか」


「そこでドノバンは鍛冶をやっているのだが、弟子となる者が居ない為、このままではドノバンの技術を受け継ぐものが居ない。

 それで、ルシフェルが見所ある鍛冶師として、ガレスを紹介してくれたんだ」


「成程のう。

 魔王様にそこまで見込まれていたとは、有難いことだ。

 ただ、弟子となるからには、ドノバン殿の腕を見て決めたいのだが」


「当然なのじゃ。

 儂もお主の腕がみたい所じゃしな。

 とりあえず、ノアよ、まずは普通の剣を出してもらえるかの」


 ストレージ化してある袋の中から、鉄の剣を取り出した。


 ガレスからは何の言葉も無いが、剣をまじまじと見ている。

 悪い感じではなさそうだが……


「ノアよ、次の剣を頼むのじゃ」


 ストレージからミスリルの剣を取り出した瞬間、ガレスが絶句していた。


「やはり分かるかの」


「ミスリルの剣は久しぶりに見ます。

 見せて貰えるでしょうか?」


「あぁ、構わんじゃろ」


 ドノバンが許可したようなので、ガレスにミスリルの剣を渡した。

 ガレスは全体を隈なく眺めていた。


「どうじゃな、お主の師匠足りえるじゃろうか?」


「私などで宜しければ、是非とも師事させて頂きたいと思います」


 ガレスは頭を深々と下げていた。


「お主の物を見たいのじゃが、良いかの?」


「はい、少々お待ちください」


 ガレスは炉の横に置いてあった剣を持ってきた。


「これになります」


 今度は、ドノバンがまじまじと剣を眺めている。


「ふむ、筋は悪くないようじゃが、叩きが甘い所と叩きすぎの所があるようじゃ。

 師匠は何と言っておったのじゃ?」


「師匠は5年ほど前に他界されました。

 その頃も師匠は同じようなことを申しておりました」


「その師匠が他界した後も、他の師匠には弟子入りせんかったのじゃな」


「はい、弟子入りして学びたいと思えるような鍛冶師が、この街には居りませんでしたので」


「じゃからかもしれんが、お主の剣には迷いが見られるのじゃな。

 迷いがそのまま叩きの甘さ、叩き過ぎとなって出ておるのじゃよ」


「ドノバン、ガレスは弟子として見合うのか?」


「あぁ、合格じゃろう」


「じゃあ、ガレス。

 ドノバンの弟子となるに当たって、条件があるのだが、確認させて貰っても良いかな?」


「何でしょうか?」


「まず、俺達が住んでいる所は、とてもじゃないがここから通うことができない。

 こちらに移住してもらうことになるが、良いだろうか?」


「家内と相談させてもらって良いでしょうか? 私としてはそちらに行きたいのですが、相談もせずに勝手には決められませんので」


「勿論、そうだろう。

 家族がいるのならば、当然だ。

 確認だが、家族は奥さんだけだろうか?」


「娘が2人居ます。

 今は、多分遊びに行っていないとは思います」


「家族で良く相談して決めてくれ。

 娘さんもこちらに来ることになると、今の友達とは会えなくなるかも知れないからな」


「はい、分かりました」


「次に、今、俺達が暮らしている所にはゴブリンも一緒に暮らしている。

 ゴブリン達と一緒に暮らすことができないのならば、こちらへの移住はできないと思って欲しいんだ」


「ゴブリンとですか? 何故なのか聞いてもよろしいでしょうか?」


「ゴブリン達には畑の仕事を手伝って貰っているんだ。

 いや、今は主に畑の仕事をゴブリン達に任せている状態だな」


「ゴブリンに畑仕事ができるのですか?」


「教えたら、出来るようになったぞ」


「そうですか……今までそのようなことは聞いたことがありませんでしたので」


「今のところの条件はそんな感じかな? あ、今いる所ではお店がないから、全て共有の財産という感じになっている。

 必要なものとかは、俺とドノバンの奥さんで街に行って買って来るという感じだから、お金のやり取りはないんだ。

 食堂があるから、食事は皆で一緒に食べているんだけど、もし、家族だけで食べたいのならば、食材はその都度提供する形でも構わない」


「住むところはどうなのでしょうか?」


「土で出来た家を作っておく。

 工房はドノバンの所をそのまま使うだろうから、家を工房の隣に作っておくよ。

 大きさは……4人家族ということだから、ドノバンの家より少し大きめのほうが良いかも知れないな」


「土で崩れたりしないのですか?」


「今のところ、崩れたりしていないから大丈夫だと思う。

 今は木材を乾燥させている最中だから、乾燥が終われば木で立て直すかもしれないけど」


「今のままでも良いかも知れんな。

 火事の危険は無いし、木で作るより頑丈かも知れんのじゃからな」


「それにしても、ドアだけでもきちんとしたものにはしたいよな」


「門のドアだけは立派になったんじゃがな。

 すっかり忘れておったわい」


「俺も忘れていたよ」


 ドノバンと俺は笑いあった。


「あの、それ以外には何かありますか?」


「あ、放置してしまって済まなかった。

 とりあえずは以上かな? ドノバン、何かあるかな?」


「儂からは無いのじゃ」


「それじゃあ、家族で後悔がないように話し合ってくれ。

 返事は、後でルシフェルと連絡方法を相談しておく」


「分かりました」


「良し、後はルシフェルが来るのを待つとするか……ドノバン、何かやりたい事とかあるか?」


「それでは、燃料を仕入れて帰りたいのだが良いだろうか?」


「あぁ、折角街まで来たんだ、必要なものは買って帰ろう」


「ガレス、燃料店まで案内頼めるかの?」


「はい、ご案内いたします」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ