第116話 防衛施設の建設(3)
「ノアよ、次の場所までは、空を行こうぞ」
「いや、俺は飛べないよ」
「我が抱えよう。
ファーティは、ベルゼバブが抱えよ」
「畏まりました」
『主よ、我は宙に浮くのは苦手ですので、ご容赦願いたいのですが……地上を駆けます』
「と言うことらしいが、どうする?」
「分かったのだ。
無理強いはよろしくないであろうしな」
「ならば、ノアは妾と共に行くのじゃ。
妾のほうが慣れておるのじゃ」
慣れてるといっても、この間、ドノバン達を迎えに行く時に飛んだ1度きりだから、大して変わらないと思うのだが?
「分かったのだ。
では、向かうとしよう」
『主よ、こちらです』
ファーティが次の場所へと駆け始めた。
「ノア、参るのじゃ」
「じゃあ、よろしく頼む」
「任せておくのじゃ」
ヴィーヴルと手を繋ぎ、宙へと浮かび上がりファーティの後を追った。
後ろからは、ルシフェルとベルゼバブが同じく空を飛び追ってきている。
暫くすると、ファーティが止まったので、俺たちは地上へと降りた。
『此処より、先ほどの場所への方向へと、あとは山の方へと壁を作れば囲いは完成するでしょう』
「じゃあ、山方向へはヴィーヴルが焼き払ってくれないか? さっきの場所までは、ルシフェルが木を切ってもらえるだろうか」
「分かったのじゃ」
「よし、やろうぞ」
ヴィーヴルはさっきまでと同じように、あっという間に壁と穴を作っていた。
対するルシフェルはと見てみると、木が宙に舞ったかと思うと、ばらばらの木材になって落ち、壁が生えてきたかと思うと横にはいつのまにか穴が開いていた。
(両方とも凄いな……)
「あ、門はどこに作れば良いんだ?」
『それでしたら、ルシフェル殿の作られた壁の途中に作れば宜しいかと思われます』
「分かった。
じゃあ、門を設置するのに良さそうな場所まで案内頼む」
『御意』
「っと、その前に、セット」
後々、瞬間移動する時に必要になるからな。
「よし、じゃあ、行こうか」
「木材はどうするのか? 放置されてたままになっておるが」
「あぁ、それは俺が暇を見て家の方に運んでおくよ。
俺が壁を作る作業が無くなったから、これくらいはやっておくよ」
「分かったのだ。
まぁ、後で少しだけサービスしておこう」
そうして、門を作るのに良さそうな場所まで、ファーティは地を駆け、俺たちは空を飛んでやってきた。
『この辺が適当かと思われます。
此処より、木を伐り道と成せば良いかと思われます』
「ノアよ、何か考えがあると申しておったが、どうするつもりじゃ?」
「そうだな……まず、門の部分の壁を消してくれるか?」
「あぁ、良いぞ」
門としてはちょっと大きい感じで壁が消えた。
「まずは、門まで橋を作る」
土魔法で壁が消えた幅と同じ幅の橋を作った。
このくらいの大きさなら、俺でも難なく作ることができる。
橋を渡って、門を作る場所へと来た。
「こんな感じで作ろうと考えたんだ」
3方に壁を作って、右側の壁に出入り口を作った。
「これは……何故、態々少しへこませる様な感じにしたのだ?」
「これで、真っ直ぐ入れないから守りやすくなるだろ?」
家の出入り口から風が直接入り込まないようにするための工夫を、ここでも使ってみることにした。
「ふむ、ならば、こうするのはどうかな?」
そう言って、ルシフェルは橋のある方にも出入り口分開いた壁を作った。
「こうすれば、袋のネズミになるであろう」




