第104話 歓迎パーティの画策
「どうしてそうなったのだ? 儂らは、魔王の配下となるのか?」
「配下とかの話していないけど、そういう事にはならないと思う。
一応の名目としては、『ヴィーヴルの監視』だそうだ」
「監視だと?」
「あぁ、ヴィーヴルが洞窟から出てきて畑作業をしていたから、なんでヴィーヴルが出てきていたのかを確認しにとの事だ。
それで、ヴィーヴルが暴れないように、暴れた時に直ぐに止められるように近い位置にいると言う事で、魔王自らが監視するそうだ」
「魔王じゃなくても、別の魔族に監視させればよいじゃろ?」
「ヴィーヴルを止められるのが、魔王だけらしい」
「そうか……でも、一時的とはいえ、魔王も一緒に住む事となるのか」
「まぁ、魔王というかルシフェルは、中々話せる奴だったぞ。
隣にいた魔族の男は、いかにも『魔族です』って感じだったけど」
「そうか……」
「それで、魔王の住む家だけど、工房の向かい側、アンやドゥ達の部屋の隣になると思うのだけど、良いかな?」
「そんなに直ぐ傍へと住むのか?」
「洞窟から近くて空いている場所となると、あそこしかないかなと思うんだ。
もし嫌なら、食堂の裏しかないけど……俺の家の裏は畑があるから無理だろ?」
「家の裏に魔王が居るかと思うと、おちおち寝ていられんかも知れんな。
それに比べれば、工房の前の方がましじゃろうと言う事か」
「アン、ドゥ。
隣に魔王が住むのが嫌なら、俺の部屋と交換しても良いし、何処か他の所に家を作っても良いぞ」
『それでは、ノア様の部屋と交換していただけますか? 魔王様が居ると恐怖心が湧いてしまい、震えが止まりませんでした。
多分、ノア様が間に居れば大丈夫だと思いますので」
アンがゴブリンを代表して答えた。
多分、魔王からの無意識のプレッシャーを感じていたのだろう。
「分かった。
じゃあ、食後にでも部屋を取り換えよう」
『ありがとうございます』
「じゃあ、皆、そういう事だから、よろしく頼む」
『魔王様が来られたら、パーティをするのですか?』
「パーティか……それも良いかも知れないな」
「ノアさん、どうしたの? 急にパーティだなんて」
「いや、今、アンに魔王の歓迎パーティをするのか? って聞かれたんだ」
「そう言えば、私達の時にも開いてくれたわね」
「暫くの間とは言え、パーティを開いて親睦を深めるのも悪くないなと」
「そうね。
それが良いかも知れないわね」
『イルデさんは、何と言っているのですか?』
「それが良いって言っている」
イルデ達とアン達は互いに言葉が通じないから、俺が橋渡し役を担っている。
俺が普通に喋っていてもアン達やイルデ達の両方に通じるのに、イルデ達の言葉は通じない。
不思議な感じがするが、そうなっているのだから仕方がない。
「じゃあ、ルシフェル達が来る3日後に歓迎パーティを開こう。
料理は、イルデとアイリスにお任せとするが、良いだろうか?」
「大丈夫よ。
アイリスに、パーティ料理を教える良い機会だわ」
「パーティりょうり、おしえてくれるの?」
「料理の手は足りそうか?」
「そうね……アンさんとドゥさんにも手伝って貰えると助かるかしら?」
「分かった。
アン、ドゥ。
パーティ当日の料理造りを手伝ってくれないか?」
『分かりました、お手伝いいたします』
『私達で大丈夫でしょうか?』
「大丈夫だよ、俺が通訳としてその場にいると思うし、イルデはアンとドゥの腕前を知っているんだから、手伝えないようなことを言わないよ」
「まぁ、そういうことね。
アンさん、ドゥさんも上手くなったから、大丈夫よ」
「頼りにしてるってさ」




