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初めての魔法講座

「えっ、えっ……えぇぇ〜〜〜〜!!!!」


部屋の中にカリーナの絶叫が響き渡る。


〜遡ること30分前〜


「それでは今から、初めての魔法講座を始めます。」


「お願いしまぁーす」


「あら、いいお返事ですねノルさん。まず、属性についてですが、火・水・風・木・土・闇・光の7つの属性があります。実際には、習うより慣れろっていうところがあるから、特別な説明は省くわね。

 ただ、闇属性は分かりにくいから、少し例を挙げましょう。闇属性は光をはじめ、色んなものを遮るイメージです、遮光、遮音といった感じで、光や音、風とかを防いでくれるの。ここまでは良い?」


「うん。だいじょうぶ」


「じゃあ、次は魔力について話すわね。魔法を使うには魔力がいるんだけど、魔力は全ての人が少なからずもっているものなの。そして、魔力は歳を重ねるごとに少しずつ増えていくの。才能もあるでしょうけど、量はそんなに変わらないと言われているわ。

 そこで、ノルに質問。同じ魔力量の二人が、同じ魔法を使ったとします。でも、片方は二回使えて、もう片方は、四回使えました。何でかわかるかな?」


 決して正解は期待できないだろうけど、娘がどんな風に答えるのか興味津々で、答えを待つカリーナ。


(え〜っと、絶対量は同じで、回数に違い……考えられるのは二つ、一つは何らかの手段で片方だけ魔力を回復した可能性。二つめは、熟練度やスキルみたいな何かの要因で、消費魔力に差が出て回数に違いがでた可能性。)


「ブツブツ……ブツブツ……一つめは邪道だから、正攻法の二つめで……はい! 二人の消費魔力が熟練度や、何らかの原因で違うために、差が出た。でどうかな母さん?」


「えっ? はっはい。正解です。ひっ……非常にノルさんは優秀ですね」


頬を痙攣らせながら、カリーナが答える。


(ちょっとまって、今この子なんて言った? 聞き間違い? 消費魔力? そんな言葉教えたかしら? もしかして、最近の2、3歳児ではそんな言葉流行ってるの?  母さん軽くパニックなんですけど。涼しい顔してるけど、内心バクバクなんですけどぉ〜)


「やった〜! じゃあ次は魔法の使い方がしりたいな〜」


「ええ、そうね、では気をとりなおして、魔法の使い方について教えたいと思います。

 魔法はとにかくイメージが必要です。さっきの問題でもありましたが、イメージできるかどうかで、消費魔力に差がでます。

 しっかりとしたイメージとイメージを具現化させやすい呪文の詠唱により、魔法は可能となります。

 とりあえず、見本をみせましょう。

最初なので、部屋とかに灯をともす魔法で練習しましょう。


――リヒト――」


 母さんがそう呪文を唱えると部屋が明るくなった。蛍光灯のような明かりではなく、オレンジ色に近いゆったりとした灯りだ。


「最初から出来ないのが普通だから、まずは当たって砕けろでやってみましょう」


(ふふっ、さっきは多分聞き間違ったんだわ。実技に関しては、だいたい2、3歳児に教えると、出来なくて泣きだす子がいたり、感が良い子でもホタル程度の可愛らしい灯りがボンヤリとつくくらいだったわよね。

 可哀想だけど、出来なくて泣いてる姿を見るのも親としては可愛くてしかたないし、もし、少しでも魔法が発動すれば将来は宮廷魔導師かしら――

な〜んて考えちゃうわね)


――モジモジ――


中々やってみようとしないノル。


「あら、さっきまでは凄い積極的だったのに、どうしたの? 怖くはないから、思い切ってやっちゃいなさい。責任は母さんがとるわ」


(ふふふっ、責任とかいったけど、ただ子供がリヒトの魔法を使うだけだから、泣いちゃうか、少しの灯りで大喜びするかなだけよ。事件なんて起こりようがないじゃない。口ではオマセなこと言っても、やっぱり怖いのかしら。なんだかんだで、中身はやっぱり子供なのね)


――カリーナをよそに、その時、私は悩んでいた。


(あっ、母さん何か勘違いしてるっぽい。私が怖くて出来ないと思ってる感じね。なんかニヤニヤとした顔で見てるし。

 う〜ん、怖いのは確かなんだけど、出来なくてじゃないんだよなぁ〜。すでに、一度成功してるし。

 ただ、急に不安になったのは、さっき母さんが呪文唱えたからなんだよね。

 もしかして、無詠唱で魔法が発動しちゃうのって、けっこうマズイんじゃないかな)


そんなことを考えていると、カリーナが急かしてくる。


「大丈夫よ。ノルは心配性なのかな? 初めての魔法は誰でも怖いの。そうっ、失敗は、全然恥ずかしいことじゃないわ。

 その失敗が貴方の明日への扉を開き、その勇気がどんな困難にも立ち向かう礎となり、努力と汗の分だけ自分の血肉となり、…………のよ!!」


(あれっ? 母さんがどっかでスイッチ入ったみたい。途中、ちょっと何言ってるか分かんなかったから、聞き流してしまったけど、悩むのもダルくなってきたし、やってみようかな?

 やれって言ったのかあさんだし、責任とやらもとってくれるって言ってたし)


「じゃ、じゃあ、やってみます」


「うんうん。頑張れ〜! 精一杯やってみるのよ〜」


――ピカッ――


 張り切った私は、かなり明るい蛍光灯をイメージしてしまったため、部屋の中はそれはそれは眩しい光に包まれる。


「えっ? 眩し……」


「ごめん、ごめん、眩しかったよね? 今、少し暗くするからっ」


――途端に光量が落ちて、部屋の明かりが落ち着く


よほど驚いたのか、口を大きく開けて立ち竦むカリーナ


(あっ、蛍光灯の明かりが嫌いなのかな? 母さんは魔法で暖色系の明かりを出してたし。光量とかよりも、そっちをどうにかした方がよかったかな。ハイハイ、八兵衛八兵衛)


「ごめんね、母さん気が利かなくて、あっちの方が好みだったんだよね? 今、変えるから安心して」


――そう言うや否や、部屋が暖色系の明かりに変わる


「えっ、えっ……えぇぇ〜〜〜〜!!!!」


こうして、母さんの絶叫が響き渡った。


「今のは、ノルが出したの?」


 額に手を当て、今にも倒れこみそうな勢いで、母さんがそう聞いてきた。


「うん。ごめんね、何か眩しい光だしちゃったね」


「ううん、そこじゃない、そんなとこじゃないのよノル」


「?」


「あなた今、詠唱して無かったわよね? というか何処から手をつけていけば良いか、母さんの頭の中は今グチャグチャよ」


「頭の中でイメージしたら……出来ちゃったの」


「そっ、そうなのね……今まで聞いたこと無いけど、目の前で見たことだし、あり得るのかもね。うん。あとはノルちゃん? 光が急に落ち着いたように感じたんだけど?」


「母さんが眩しいかと思って、慌てて光量を落としたの」


「えっ? 今なんて言った?」


「うん。だからね、眩し過ぎたから、ちょっと暗くして調節したの。気が利かなくてごめんね」


「ハァ……イケナイわ、しっかりするのよワタシ。ここでクラっとしてたら、身がもたないわ。

 あのねノル、分からないかもしれないけど、魔法の効果を調節するというのは、宮廷魔導師様くらいなの。とても珍しいことなの。

 間違いなく、貴方には魔法の才能があるわ。

でも、母さんには分からないことがあるの、貴方最初に出した白っぽい光から、母さんがだしたような光に急に変えなかった? そんなことは、してないわよね? ね? 母さんの見間違いよね?」


「え〜と、母さんが暖色系の明かりが好みなのかなって思って」


――バタン――


ついに、理解のキャパを超えて失神してしまった。


 音を聞きつけて、ドミニクが駆けつけた時、目に飛び込んできた光景は、失神したカリーナとオロオロとしたエレオノールだった。

頑張って更新していきます。


よろしければ、ご感想、評価などを頂ければ、


励みになります。引き続きよろしくお願いします。

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