始まりの昼
「ハハハッアキレス~!早く来なよ」
「兄さん待ってよ~魔術使ったら追い付けないよ~」
レイモンド邸の敷地内で二人の子供が走り回っている 。片や魔力を駆使して逃げているが、片や魔力を使えず必死に追いかけている。
「もぉ~やめた!兄さんイジワルするもん。ぼくが魔力つかえないのしってるのに」
「ごめんごめん!アキレス もう魔力は使わないからほら、だからもう一回やろう」
「やだ!もうぜったい兄さんとはあそばないもん」
むくれる弟にたじたじな兄、そんな光景を幸せそうに見つめるアイリス
「あらあら、ちゃんと仲良く遊ぶのよ。ルキウス、遊ぶなら意地悪をしてはダメよ、アキレスも直ぐにむくれないで許してあげられる心を持たなくちゃ」
「かあさま!」
アキレスが愛する母の元に飛び込んだ。
「あらあら、アキレスは甘えん坊ね。ルキウスは来てくれないの?」
「俺、もう五歳だよ。お母様に飛び込むなんて恥ずかしいよ」
「あら?そんな事ないわよ。さぁいらっしゃい」
頬を赤くしながら言うルキウスに対しにこやかに手招きするアイリス
「もう…しょうがないなぁ…」
そういうとルキウスゆっくり歩いて愛する母に抱きついた。