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マッスルハッスルウサギ

 俺はいやいやヒールポロポロを食べる

 不味い不味い苦い苦い

 ホルモンのような食感で噛むごとに苦い汁が出る

 お菓子食べたい。

 しばらくすると体の魔力とやらがあったまる感じがする。


 突然麒麟さんが俺の手の甲を引っ掻く


「痛いっす!血出てるじゃないですか!・・・あれ?!」


 いつの間にか治っている


「そういうことだ、この魔力が治癒の魔力だ、覚えろ」

「はい!」


 なんか覚えられそうな気がするわ!


「それでは食い続けろ」

「え」

「食え」

「・・・はい」


 嫌々食う、食い続ける。

 自分の体に治癒魔力が溜まっていく

 しばらくすると治癒の魔力が体の外にこぼれでるのがわかる。


「今魔力が溢れた感覚ひたすら反復して覚えろ。これをポロポロなしでできるようにしろ。この魔力の放出がいわゆる治癒魔法だ」

「うぷ・・・はい」

「じゃあこの前の話の続きだ。科学について話せ」


 お菓子たべたい風呂入りたい


 〜〜〜〜〜〜

 

「治癒魔法は出来るようになっても練習を怠るな。次は体を鍛えるぞ。この中から武器を選べ」

「これって人間からとったやつっすか?クロルさん」


 麒麟さんの名前を教えてもらった。

 名前はクロルというらしい。


「ふん、身体ごと落としていっただけだ。さあどれ選ぶ」


 ハンマー、ナイフ、剣、弓、鞭、杖、大盾、よくわからない武器多数、どれも強そうな装飾がされてる。


「う〜ん、オススメありますか?刃物系がいいんですが」


  やっぱり刃物だよね


「ならこのナイフだな、一番物がいい。使い手も人間にしては悪くなかったがな」


 ナイフの形はクナイのような形状をしている

 これも強そうな装飾がされている。


「じゃあナイフにするっす」

「・・・しかし俺は人間じゃないからな、肉体的な意味だと強くなる為の最適解がわからん」


 自己練習になりそうだな。

 スパルタよりましか


「だから俺流でやるぞ!甘えは許さんからな」

「・・・お手柔らかにお願いします」


 最初は適当に素振りをする。

 その後クロルさんから人の骨格にあうだろう素振りの指導をもらった。

 次にクロルさんの攻撃を避けたり受けたり、実戦に近い練習もした。

 長時間走らされたりもした。

 様々なトレーニングがあった。


 弱音は吐いたぶん修業がきつくなる。

 逃げたくなったが逃げ道はない。

 毎日の修業は限界ギリギリで終わる為なんとかなっている。

 もちろん怪我をしたりもしている。

 その度に治癒魔法で直す。

 魔法が使えてる事への喜びの感情も日に日にうすれていく。


 寝る時に毎日日本での生活を思い出す。

 日本での生活の一つ一つがいいものに思えてくる。

 異世界でやりたいことは沢山あるけど日本に戻ってやりたい事も沢山あるな。

 だけど俺は、夏には冬がマシ、冬には夏の方がマシ、と現状をよく思えない甘えた性格だとわかっている為、きっとこっち生活の方がマシだと考え直す。


 〜〜〜


 この世界にも季節はあるようだ。

 暑くなったと思ったら寒くなり、またあったかくなった。


 とても大きかった冷凍ブラッディーティラノの肉もなくなりそうだ。

 食事はティラノ肉と頼み込んでクロルさんに果物や魚をとってきてもらっている。

 図々しいお願いだとは思うが、どうしても耐えられなかった。

 それでもラーメンにピザにポテトにたこ焼き、ここでは食べられない食べ物を何度思い出し枕(葉っぱ)を濡らした。

 そういえば虫歯になってないな。

 治癒魔法のおかげか?


 クロルさんはスパルタだが本当に面倒見がよかった。

 ゲームでキャラクターを育てる気分なのかな?

 せめての恩返しというか俺を育てるのを楽しんでいるならいいけど・・・


 色々な事を考えてるうちにクロルさんから新しい提案があった。


「ふん、そろそろいいだろう。魔物とたたかってもらうぞ」

「ついにですか!」


 ここに住み始めて数ヶ月、詳しくはわからない。

 行動範囲は他の生き物が怖くて限られ、

 ベットは葉っぱとクロルさんの抜けた毛。

 やったことは治癒魔法と肉体的トレーニング。

 生き物を狩る恐怖より飽きの方が大きい。

 それにひたすらトレーニングをしたおかげで自信もある。

 今一度ステータスを確認する




 名前:ヤミキリ:レベル1

 種族:地球人

 スキル:

 [思念鑑察][風魔法][水魔法][治癒魔法

 [ストレス耐性][苦痛耐性][気配察知]「感]

 [健康維持]

 称号スキル:

 [地球生活]

 個性スキル:

 [*形になっておりません]

 称号:

 [地球人]

 

 あれから治癒魔法と水魔法と風魔法と健康維持が増えた。

 ナイフ術や回避だのもスキル化されると思ったが技術関係はスキル化しないらしい。

 クロルさんがいうには、魔法は実際に魔力の流れを触れて確認するのが一番らしく、むやみに触れても問題ない風と水と土魔法の3つの習得を目指した。

 しかし土は才能がないらしく無理だった。

 水も才能があまりないため伸び代はよくない。

 まともなのは風ぐらいだという事だ。

 他の魔法を練習するにはレベル不足という事で後回しだ。


 ちなみにクロルさんは相手のスキルがわかる素晴らしい目をお持ちなようで、俺のステータスもわかっている。

 悲しい事に個性スキルの”形になっておりません”はほとんどの生物が持っているらしく落ち込んだ。


「俺レベル1ですけど大丈夫っすかね?」

「その為のトレーニングだ、身体に染み付いた技術はお前の方が上だろう。安心しろ、お前に見合った相手を運んできてやる」


 クロルさんが目を瞑るとメスライオンのような形のでかいゴーレムが出来る。

 俺の練習相手でよくお世話になった。

 すぐさま森へ入っていく。

 ヒールポロポロや他の食べ物はあのゴーレムに持って来させたものらしい。


「そろそろだな、準備はいいか?」

「だ、大丈夫っす!」


 しばらくすると、一匹のカンガルーのようなウサギのような生き物を口にくわえてやってくる。

 ゴーレムがウサギもどきを離すとすぐさま逃げようとするが、クロルさんの魔法だろうか、俺とウサギもどきを囲うように土が盛り上がる。

 コロシアムのようなステージだ。


 俺はすかさず土でできた壁を、ガンガンと拳で殴り続けているウサギを鑑定する。

 名前:ハッスルマッスルウサギ

 強さ:C−

 説明:繁殖力が高い、メスには自慢の筋肉でアピールする。繁殖力が高い


 ウサギだったか。

 初めてのバトルだ、緊張もする。

 大きさは俺の胸ぐらいとでかいが、修業もした事もあり自信はある。

 ただ気がかりなのは命を奪うと言う事だ。


「この世は弱肉強食、仕方ない」


 俺は命を奪う事を正当化するように、苦し紛れの言葉を自分に言い聞かせるように唱えた後、ナイフを握る手に力を入れ直す。

 マッスルハッスルウサギも脱出を諦めたのか、こちらに敵意むき出しのマッスルポージングをしている。


 両者睨み合う中、ウサギがこちらに飛びかかる。

 がクロルさんの特訓と比べると相手の動きは遅い。

 右ストレートでで俺に殴りかかろうとするのに対して、反射的にクロスカウンターの要領で首もとにナイフをぶっさす。


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