食事
「クックック、かっこつけたいか。良いだろう。修行をつけてやる。これであと少しは楽しめる」
「ありがたき幸せ!」
「ふむ、ではその異世界での話を聞かせろ」
「はい!まず私は地球という所から...」
俺は地球の生活環境や仕事の話などをした。
俺の下手くそな話でも黒狼龍は興味深く聞いてくれた。
あれ、なんか嬉しい。
距離も大分縮んだ気がする。
この世界の事も少し話を聞きだせた。
5時間ぐらい話しただろうか。
気がつくとあたりは暗くなっていた。
「ぎゅぅるるるるる」
腹が鳴る。そりゃ鳴るわ。
「なんだ腹が減ったのか、仕方ない。そこのトカゲはくれてやろう」
とブラッティーティラノを指差す。
いやきついっす。グロっちいし。
イライラキノコ薬漬けですよね?食えるんっすか?
頭を痛めながら鑑定をしてみる。
名前:ブラッディーティラノ(固有種)
評価:皮、牙、骨、爪ともに高ランク素材。
この肉を食べるのにはストレス耐性が必要だと思われる。
お、俺には食えるな。
でも思われるってなんだ?
なんか色々怪しい鑑定だな
まぁ勝手に俺が鑑定って決めつけてるんだけど。
そんなことより肉をどうにかしなくては。
生は流石になぁ
「あの〜麒麟さん、自分生だと食えないものでして火なんかあったりしませんよね」
「...洞窟の外に燃やせるもの置いとけ」
「いやちょっと一人じゃ怖いです」
「図々しくなったな。大丈夫だ、俺の近くには頭がおかしい魔物以外寄ってこない」
「そうなんすか?じゃあ自分行ってきます」
俺は洞窟の外に出る。久しぶりの外に感じる。
確かに近くに魔物がいる感じはしない。
待たせちゃ怖いし急いで草木を集める。
...これでいいかな?と洞窟に戻ろうとした時、人魂のようなものが洞窟から出てくる。
俺は情けない声を出しながら近くの岩に隠れる。が特に何もなく集めた草木を燃やして消えた。
これは麒麟さんの魔法か?
「戻りました、あの炎は麒麟さんがやったんですか?」
「ふん、洞窟内で燃やされちゃ煙臭くてたまったもんじゃないからな」
「すごいっす!」
初めての魔法に感動
あ、肉どうやって切ろう。
要領の悪い自分が嫌になる。
「すみません、切るもの無いですか」
「・・・これを使え」
白銀の尖った骨のようなものを貰った?
「これは?」
「俺の爪のかけらだ」
「ありがとうございます」
SS級魔物の部位だ、きっと大層なものなんだろう。
いきなり魔物の体の一部を調理器具にするのは衛生面的に気がひけるが気にせず肉を切り裂く。
カッターで画用紙を切るかのごとくスムーズに切れる。
グロっちい、匂いもきつい
「じゃあ肉焼いてきます、麒麟さんの分は?」
「俺はいらん」
俺は肉を持って洞窟の外に。
適当な大きさの石の上に肉を置き炎にぶちこむ。
手ごろな時間になったらその辺に落ちてたぶっとい木の棒で燃えないように肉をひっくり返す。
肉が焼けたようならば、肉の乗った石を棒で火から押し出し、熱くないようその辺の葉っぱで肉を包み手に持って食べる。
味は独特の獣臭さはあるが辛味のような刺激が効いてて悪くない。
かみごたえはいい感じに反発して難なく嚙み切れる。もきゅもきゅしている。
この刺激ってイライラキノコのおかげじゃないよな?
これで塩があればなぁ...