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ギルドマスター・サルフ

「勿論他の人には見られないようにします。普通なら相手の魔力を見て強さはわかるのですが、ヤミキリさんは魔力が見えなくて強いか弱いか全くわからないんですよね」

「ですがあの魔物を倒したお人だ。さぞ楽しめると思いまして、どうかお願いします」


 意外な要求だ。

 こいつ戦闘狂かよ。

 まぁ殺し合いじゃなきゃやってもいいかな。

 正直俺が冒険者の中でどのくらい強いのか気になるし。

 テスト勉強をしっかりとした後にテストに挑むような気持ちだ。

 負ける気がしない。


「ルールはどうする?」

「そうですねぇ、今後の支障になる怪我をしてもお互いに困りますし、胸か背中か肩が地面につかされたり気絶したら負け、殺してしまった場合も負けでどうですか?」

「いいだろう。だがギャラリーはいてもいいぞ?」

「いえ、危ないですからね。それではついてきてください」

「そうか」


 くっ、見せつけたかったが

 少し歩くと魔法陣のある部屋に案内される。


「それでは行きますよ?」

「どこに?」


 聞き返した瞬間景色が切り替わる。

 何もない面白みもない土の地平線だ。


「あれはここへ飛ぶ為の魔法陣で、古代の転移魔法を復元させた時にできたものです。実はここがどこかもわかっていません。不気味がって使いたがらない人ばかりでしたが・・・そんなことはどうでもいいとおもいません?周りを気にせず戦える。素晴らしいじゃないですか!あなたも同じ口でしょう?」


 ちがうわ!

 これちゃんと帰れるよね?

 怖いんだけど。

 そういえばエタン来てる?

 あ、いるわ


(エタンも来れたんだね)

(うむ!私は拒否することもできたがな!面白いことになってきた!応援してるぞヤミキリ!)


「これどうやって帰るの?」

「私が帰ると念じるか気絶か死亡すれば帰れます」

「さて、準備はいいですか?」

「あぁいつでもいい」


 俺は短剣を構える。

 対するサルフは目にゴーグルっぽいのを、腕にゴテゴテのでかいガントレットを着けている。

 俺のエルフ像とだいぶ違うな。


「では行きます!」


 サルフが爪が空を振ると風の刃が出る。

 当たったら結構ヤバめの威力じゃん。

 殺しは無しなのでは?

 まぁいい俺なら避けれる。

 短期決戦で格好良く決めてやろう。


 風の刃を闇化で飲み込み、強引にフィルフに近づく


「これがあなたの力ですか!素晴らしい!ですが精霊魔法は魔力の枯渇が早いと聞きましたよ?」


 サルフは地面に拳を叩きつけたかと思うと砂の竜巻がサルフを囲う。

 これでは飛び込んでも闇化の解除ができない。


 エタンの闇の能力は確かに魔法を無力化できるんだけど魔法で生成した岩や砂や氷とかはなくならないんだよね。

 理由はわからないけど。


 俺は魔力を温存する為少し距離を置いて闇化を解く。

 砂煙で相手が見えない。

 次第に砂嵐が広がっていく。

 砂が目に入って痛い。


 とりあえあえず魔力をナイフに多めに込めて風の刃を竜巻の中心部に放つが、刃の通り道にサルフはいない。

 裂いた先の視界が少し晴れるがすぐ砂嵐で見えなくなった。

 サルフを見失った。まずいな。

 次に範囲型の突風をイメージした風魔法を放つ。

 少しの間、砂嵐は止んだがそれでも砂煙で見えない。

 しばらくするとまた砂嵐が起きる。


 俺はとりあえずこの場を離れようとした時上から無数の岩が飛んでくる。

 いくつかは避けれたが数発目から闇化に頼って避ける。

 ちくしょうどこにいるんだ?

 当たったら死ぬぞ?

 頭の中では闇化で強引に近づき雷魔法で気絶させて終わらせるつもりだった。

 慢心しすぎた。対人経験の差か?

 なんでこっちの場所がわかるんだ?

 駄目だ。焦りすぎている。

 今は魔力より考える時間を優先するべきだ。


 俺は闇化した状態で考える。

 身の安全が確保されていない状態で頭が働く自身がなかった。

 魔力的に闇化に使える魔力は20秒が限界か?

 エンペラーマウンテンでの修行はなんやかんやでいつもクロルさんが助けてくれた。

 クロルさんに甘えられたお陰で危機感を抱かずに戦えた。

 と言ってもこれは殺し合いじゃない。

 落ち着け。


 対人経験はないが俺には漫画やアニメで様々な戦いを見てきた。

 姿を隠して戦う相手もよくいる。

 そういった敵は目以外に頼ってるんだよな。

 そういえば俺も精度は高くないけど気配察知のスキルがあるはず・・・駄目だ。

 砂にフィルフは魔力を混ぜているのか?

 ジャミングされているようだ。


 見つけるのは一旦諦めるか、相手が俺をどう見つけてるかだな。

 そういえば魔力が見える的なこと言ってたな。

 いや、俺はエタンと契約した力で魔力は感知されないはずだ。

 フィルフ自身も俺の魔力は見えないと言っていた。


 俺が風魔法で攻撃した時、風魔法自体の魔力を読み取ったとかか?

 いや違う。精度は悪いが今もこっちに岩が飛んできている。

 場所がバレている。

 じゃあ何だ?



 考えられるのは二つだな。

 砂に探知能力があるかもしれない。

 それか、エタンだな。

 精霊特有の何かを感じると言っていた。

 この砂嵐でも感じ取れるのか?

 前者だと解決法がわからないが後者ならなんとかなる。


(エタン。すまないが少し離れてくれ。精霊の気配を感じとってる可能性がある)

(なるほど!しかし距離を置くと今のヤミキリでは闇化は使えないぞ!?)

(大丈夫だ、問題ない。タイミングを見計らって離れる)


 岩が飛んでこないタイミングでエタンと距離を置く。

 しばらくすると岩が飛んでくる。

 エタンの方に。

 エタンはうろちょろしてる。

 こう見ると少し可愛いものだ。


 うーん、岩の発射場所がいまいちわからん。

 だけどこっちの位置がバレてないなら探しに行くか。


 ・・・いた!人影のようなものが見える。

 気絶させればいいだろう。

 遠くから魔法を撃つとバレるかもしれない。

 俺はこっそり背後から近づく。

 砂煙と風の音のおかげでバレていないようだ。


 接近戦でやるぞ。

 念の為カウンターを警戒しておくか。

 俺は黒い雷を全身に纏い抱きつく。


「俺に挑んだことを懺悔し・・・な?」


 抱きついた物は精巧にできた砂人形だった。

 すると地面から出てきた腕に足を掴まれる。

 しまった。


「がぁっ!!」


 断末魔をあげたのはサルフの方だ。

 雷魔法を纏った足を掴んだせいだ。

 痺れて手を話せないのか?まずいまずい、魔法を止めなくては。


 やがて砂嵐は止む。

 地面から手だけがぐったりと出てる。

 多分サルフだろう。

 どうやら気絶してるようだ。


 相性が良かったのとルールに助けられた感。

 決着は相手の自滅。

 達成感がない。


(む!決着がついたようだな!流石ヤミキリだ!)

(勝った気しないんだけど)


 しばらくすると景色は切り替わり魔法陣があった部屋に飛ばされる。

 目の前には気絶したサルフがいる。



 とりあえず受付の人呼ぶか。

 俺は砂を払って部屋を出る。


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