キャトル
「おにぃちゃん!起きて!」
ん!?お兄ちゃんだと!?
素晴らしい夢だ。
悪くないシチュエーションだが、俺は目を開ける。
あぁ昨日のチキン幼女か。
「どうした?」
「もうおひるだよ?」
「起こしてくれたのか?」
昨日あれだけ敷き詰められていたモシュモシュが消えかけの泡のごとく少なくなっている。
久しぶりに熟睡できた。
何時間寝たんだろ。
!バック盗まれてないよな?
あ、大丈夫だ。
「うん!それじゃああたしいくね!ばいばい!」
そういうと幼女は家族の元へ去っていった。
少し寂しいな。
(さてエタン!今日は冒険者ギルドにいくぞ!)
(わかった!しかしヤミキリよ!お前は幼子が好みなのか?!顔がにやけきっているぞ!!)
まじ?顔に出てた?
いかんいかん格好いい顔が台無しだ。
・・・
俺は異種族がいるエリア、ビョードゥ地区を目指す為、衛兵さんに言われた方角へひたすら進む。
しばらく歩くと壁や建物が邪魔で進めなくなった。
なるほど、物理的にも隔離されてるのか。
向こう側に行ける道を探しながら歩く。
「おい!なんでこんな所に臭え獣人族がいるんだ!?」
建物と建物の間から罵声が聞こえてくるのでで覗いてみる。
可愛らしい耳をした10歳ぐらいの女の子が、男に頭を雑に抑えつけらている。
「ごめんなさい。すぐ出ていきます」
「そう言う問題じゃねえんだよ!
よっしゃ!人助けの時間だ!
正義の雷を受けよ!
・・・いや待てよ?
「ここは人間のエリアだ!お前みたいなのが足を踏み入れていい場所じゃねえ!」
そうだよな。よくよく考えると地区毎に分けられてるんだから入った方が悪い気がしてきた。
法律でも決まってるのかもしれない。
でもなぁ、今猛烈に格好つけたいんだよなぁ
・・・
「ぐわぁぁ!」
俺は闇化して男の背後に近づき、手加減した雷魔法を放ち気絶させた。
弱者相手に調子に乗った罰だ
俺も調子に乗ってるって?
仕方ない無いのだ、格好つけたい細胞が抑えられん。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとうです」
女の子は持っていた帽子をすぐ被る。
風か何かで帽子が飛んでバレたって感じかな?
さて初めて会う獣人だ。
鑑定してみるか。
名前:猫人
強さ:F
特徴:見た目は猫か人のどちらかに寄る。
人間同様、同族内での強さのバラツキが激しい。稀に尻尾が二つに分かれる。
なるほど、この子はだいぶ人間よりだな。
耳と尻尾ぐらいしか人間との違いがわからない。
さて、獣人族はこの地区に入っていいものなのか少し探りをいれるか。
助けた後だが男側が正しいとなると俺の正義が揺らいでしまう。
「なんでこんな所にいるんだ?」
「今日どうしても届けなきゃいけないものがあったので・・・、あ、いつもは人間の方に頼んでるんですよ。本当です」
すこしビクついているようだ。
男の方は別の意味でビクついてる。
少し聞き方を変えよう。
「別に脅しているわけではない。獣人族がこの地区への立ち入りは許されているのか?俺は旅人でそういうことはわからないんだ」
「ここの人じゃないですか?」
「ここには昨日始めてきた」
すると少女の顔つきが柔らかくなる。
「そうだったんですか。別に入っても大丈夫なのです。ただ私達獣人族はここでは嫌われるので滅多に来る事はないです!入るとしても変装します!」
女の子は得意げに帽子を持つ。
「この男に絡まれてたのは?」
「帰る時に帽子が飛んじゃいまして、その時この人にいきなり絡まれちゃったんです。でもここで獣人族ってバレちゃった私が悪いんです」
うんうん、じゃあ悪いのはこの男って事にしとくか。
しかもなんか酒臭いし。
本当に獣人を憎む理由があるなら悪い気はするけど俺の正義の糧となってくれ。
「じゃあ荷物は届け終わったのか?」
「はい、届け終わりました」
「俺は今からビョードゥ地区に行こうとしてるんだが迷子でな。良かったら道案内してくれないか?」
「わかりました!任せてください。私の名前はキャトルです!」
「俺はヤミキリ、よろしく頼む」
するとエタンが話しかけてくる。
(やはり幼な子が好みなようだな!ワームに好意を向ける蝶の如し!またそれも良し!)
(よくねえよ!!)
3分ぐらい歩いたか。
壁の手前に降りの階段がある。
「ここからあっちに行けるんですよ」
「へぇー、下から行けるのか」
俺は階段を降りてまたすぐ登る。
やっと異世界らしい町並みを見ることができた。
「ヤミキリさんはどこ行くんです?」
「あぁ俺はこれから冒険者ギルドに行く」
「一人で行けるんですか?」
「・・・」
「迷子にならないようについて行ってあげます!」
「あ、ありがとう」
「いいのです。私も改めてありがとうございます。それに私の家も近くなので」
キャトルについていく。
人間は結構多いな
今通り過ぎた人はドワーフかな?
うわカッコいいな。八頭身のすらっとした鳥、横にはハーピィっぽいのもいるな。
鑑定してみるか。
なるほど二人とも種族的には鳥人なのか。
見た目は人間寄りか、獣寄りかって感じか。
あれは魚人か?
あの狸は・・・獣人か。
服着てなきゃ魔物と区別できんな。
(楽しそうだな!ヤミキリ!)
(うん。こんな光景見れるなんて夢みたいだ)
(ハッハッハ!私も見ていて楽しいぞ!こらからコイツらを全て倒すのだろう?!)
(なんでだよ!)
(冗談だ!)
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[獣人族と人間について]
種族の異なる獣人族同士では子を成せないが、人間と獣人族とでは子は成せる。
異種族に子を成せるのは龍や豚型モンスターのオークと言った種族が思い当たる。
人間の見た目はオークと近いところが多々あるため、人間は豚型の獣人、豚人なのではとと言った説を唱える者もいる。
勿論人間はこれを否定している。




