転移の始まり
「断罪の... ゴホンッ」
やばいやばい、また俺の溢れる厨二ポエムがこぼれる所だった。
誤魔化すように咳をする。
会社からの帰宅中の夜道、俺はさりげなく周囲を見渡す。
うわぁ、後ろにおねえさんいるじゃん。聞こえてた?聞こえてないよね?
俺は内心恥ずかしがりながら早足で進む。
早足で歩いて5分ほど、横の神社に目がつく。
ふと願い事をしたくなった。
願いが叶う気がする。いかんいかん、今日は内なる厨二病が抑えられん日だな。
内心こんな自分に呆れながらも神社の階段を進む。
頭の中では願いなど叶うはずはないとわかってはいるつもりだが、頭の片隅でもしかして叶っちゃうのでは?と思ってしまう。
「げ、500円玉しかない」
5円玉にするつもりだったがここまできてやめるつもりはない。
俺は500円玉を入れて願いを言う。
「異世界に転移させてください」
あと、それなりの転移ボーナスを!
スズムシの音色が虚しく鳴り響く
「...なんてね」
やっぱり何も起きないな。
まぁわかってたけどね!
「きみでいっか〜」
?!唐突に聞こえる声!しかも耳から聞こえるものとは明らかに違う。
まさに、こいつ...直接脳内に?!という感覚だ。
すると突然景色が歪む、頭の中もぐしゃぐしゃになる様な感覚で気持ち悪い。
俺は耐えられず倒れこむ。
..........
オーゥオーゥオーゥ!
グギャー!!バサバサ
グッグッググェー、グッグッググェー
まるでどこぞのジャングルの野生動物ボイスの様な音が聞こえ、たまらず飛び起きる。
周囲には森の木ぐらいの大きさのキノコが沢山見える。
そして俺の後ろには大きな泉がある。
霧かかってるしネッシー出そうな雰囲気だし多分湖だろう。
これはつまり
「よっしゃああ!転移できたんだ!!」
しかし神様との面談なしタイプの転移か、まぁ転移できただけ良しとしよう
「おきた〜?」
直接脳内に?!転移前に聞こえた幼い男の子の声だ。
良かった、投げ出されのパターンだと思ったわ。
「えっとね〜、まず君を転移させた理由だけどね〜、別の世界に何かを転移させると僕の世界と繋がってこの世界を覗けるようになるの〜。暇つぶしになるの〜」
「え?暇つぶしですか?」
「君が好きないくつかの異世界ものなんかもね、ぼくがまた別の世界を覗いて書いたようなものなんだよ〜」
「そういうわけだから自由にしていいからね〜。あ、体がぐちゃぐちゃになっちゃったから組み立て直しといたよ〜。少し見た目変わっちゃってるのはごめんね〜。じゃあ楽しんでね。ばいば〜い」
「え?ちょっと待ってください!もしもし?もしもーし!!」
もう声は聞こえない。
聞きたいこと山ほどあった。
―――――
「あれ〜?なんかへんになってる?ま〜悪いものじゃないしいっか!」
作れ直された体は15歳、しかしこの世界で作り直されたから実質0歳、この矛盾が[経験値5倍x3年]というこじつけがましい、ご都合展開バフを生んだ。