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しあわせのゆくえ

作者: 夏野レイジ




 小さい頃から、『しあわせ』という言葉に疑問を持っていた。

 どこに行けば手に入るのか。

誰に聞けば教えてくれるのか。

 ――『しあわせ』とは、どういうことなのか。



 おかあさんに聞いてみた。

「いつかきっと答えが見つかるわ」 

 おとうさんに聞いてみた。

「それはおまえが見つけることだよ」

 だからぼくは、しあわせを探すことにした。


 家のちかくを散歩するイヌに聞いてみた。

「ワン、ワンワン!」

 吠えられたからいそいで逃げた。


 へいの上でねむるネコに聞いてみた。

「……」

 ねむってばかりで教えてくれない。



 ほいくえんの友だちに聞いてみた。

「○○くんといっしょにあそぶこと!」

 当時はそれで納得した。


 小学校の先生に聞いてみた。

「先生にはちょっとわからないな」

 目をそらして、はぐらかされた。


 中学校のともだちに聞いてみた。

「難しいよな~、しあわせって」

 答えが出たら教えてくれるらしいけど、まだ連絡は来ていない。


 高校の同級生に聞いてみた。

「だったらあたしが教えてあげる!」

 振り回されるばかりでしあわせなんてこれっぽっちもわからなかった。


 大学の先生に聞いてみた。

「じゃあ君がそれを研究してみなよ」

 最後まで納得できる答えは出なかった。


 会社の社長に聞いてみた。

「それならうちで働けばいいさ」

 ほかの企業や顧客と話してばかりで見つかるのだろうか。


 カフェのウェイトレスに聞いてみた。

「えっと、新手のナンパですか?」

 ……一歩後ろに下がられた。




 誰に聞いてもわからない。

 自分で探しても、答えはわからない。

 この調子でいつか見つかるのだろうか。

 そんな思いを抱えながら、今日も同僚と居酒屋へ行く。

 ……そういえば、この同僚には聞いてない。

 気づいた僕は、彼女に問いかけた。

 ――しあわせって何ですか?


「貴方の隣にいることです」


 こうして僕は、幸せを見つける。

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[良い点] いいお話ですね!
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