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プロローグ
プロローグ
――まずい、このままじゃ殺される。どこを見渡しても、隠れられる場所なんてない。あいつは飛び道具を使ってた。近接武器しか使えないおれじゃとてもじゃないけど対処できない。
おれは小さく舌打ちをした。アニキがもう少しうまくやってれば、作戦はうまくいったはずなのに……。
「逃げられると思ってるの?」
背中からあの女の声が響く。振り向くと、光の矢を弓につがえているのが見えた。弦がギリギリと音を立てる。
「くそーっ!」
一か八か、持てる力を最大限、剣の鞘に加えた。スターウォーズのライトセーバーみたいに、光の刃が天へ伸びていく。けど、伸ばしすぎた。自身の重さに耐えきれなくなった剣は、おれの手元を離れて彼女の方へと倒れていく。
その瞬間、おれの胸元を熱いなにかが通り抜けた。同時に激しい吐き気に襲われ、視界には赤い噴水が映る。言葉を発しようとする暇もなく、おれの視界は意識とともに闇に覆われていった。