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VS ワーウルフ

 今日の朝、以前ワーウルフと格闘していた所を助けた警察関係の男から、唐突に連絡が入った。彼が言うにはどうにも昨日の夜、再びワーウルフが現れたらしい。

 若い女性の死体が駅前に転がっている所を通勤途中のサラリーマンが発見し、事件が発覚。その死体には無数の噛み傷があり、心臓はえぐり取られていた、との情報だ。

 今現在、僕と相棒が抱えている事件は無く、男に対して「向かう」と約束してしまったのだが、考えてみたら今居る場所から彼の住む街までの距離が遠く、怪物の手によって死人が出ているというのに、少し憂鬱になってしまった。正直、面倒くさい。

 その事を相棒にそれとなく伝えたら「面倒臭いは面倒臭いよね」と僕の話に便乗した……のだが、相棒は車に乗り込むと同時に助手席のリクライニングを倒し、それっきり一切の会話を交わす事も無く、延々と仮眠をとっていた。

 ……相棒のこういった無神経な所は今に始まった事では無いし、何度注意しても直らないので、もう諦めているのだが、どうしたっていい気分はしない。僕はついついアクセルを深く踏み込み、スピードを上げた。


 愛車であるウィッシュを十時間もの間眠らずに走らせ、某県の、事件があったであろう駅前へと僕達はたどり着いた。現場検証等は既に終わっているのだろうが、警察の姿がポツポツと散見される。

 ワーウルフが現れるのは満月の夜だけ。満月二日目である昨日の夜に現れたとの情報なので、今夜を逃せば次にワーウルフを退治出来る機会は約一ヶ月後となってしまう。そうなってしまっては更なる犠牲者が出るかも知れない。それは出来れば、防ぎたい。

 そう、出来れば、もうここには来たくない。隠れ家から遠すぎる。

「あそこが現場だよね」

 目を覚ました相棒がリクライニングを上げ、駅を指差しながら、誰に言うでも無いように、小さな声で呟いた。僕は一応「うん」と応えはするのだが、僕の言葉に相棒は返事をせず、駅のロータリーで停車していたこの車から、武器になるものを何一つ持たずに一人で下りる。

「ちょっとっ! ユキちゃん?」

 僕が強い口調で話しかけるも、相棒は仮眠をして寝違えてしまったのか、首と肩をグルグルと回しながら、警察が居る方へと歩いていく。振り返る気配は一切無い。

「ふぅーっ……!」

 僕は不満をたっぷり込めたため息を吐きながら、パーキングエリアへと車を走らせた。


 時刻は夜の七時を過ぎた所。雲ひとつ無い空に月は既に出ているし、ワーウルフが変身していてもおかしくはない……のだが、田舎町とは言え駅前のせいか、未だに人通りが多く、ワーウルフが現れるような気配は無い。

 ワーウルフは狼に変身すると理性を失い、人を襲う。その特性からか狼のくせに徒党を組まず、単独行動だ。しかしどういう訳か人通りの多い所を避け、路地裏で歩いている若い女性なんかを襲う。今回駅前で女性が襲われたのは、深夜の駅前を一人で歩いていたからだと推察出来る。

 しかし普通の狼同様、ワーウルフは縄張り意識が非常に強い。次に事件が起こるとしたら、またこの辺りだろう。

 僕は外からは見えないように改造してあるトランクから、食事で使うような銀のナイフとフォークを大量にジャケットのポケットへと詰め込んだ。とても鋭く研いであるので、扱いには注意が必要である。

 そして次に、大した効力は無いのだが、フラッシュライトと催涙スプレーを黒いチノパンのポケットにねじ込む。そしてしっかりと車に施錠をして、相棒が居る方へと向かって駆け出した。


 駅前に到着した僕は相棒を探すも、見当たらない。警察に事情でも聞きに行ったのかと思っていたのだが、どうやらそういう訳でも無いらしい。

 僕は少し焦りながらキョロキョロと辺りを見渡すと、駅前の小さく寂れた商店街に、小さな脇道があるのを発見した。どう見ても薄暗く、街灯も無さそうな、狭い小道である。

 まさかとは思うが……僕はフラッシュライトを右手に持ち、その路地へと向かって駆け出した。

 路地の中は建物の外壁が延々と続いており、明かりが点いていない小窓程度のものしか目につくものが無い。街灯はやはり無く、駅から発せられる光が僅かに届くだけで、視界はかなり悪いという印象。しかもこの路地裏はどうやら入り組んでいるらしく、建物の外壁による死角が多い。

 路地裏のくせにガスボンベや自転車といった大きな障害物が少ない事だけが救いだが、薄暗く狭いこの場所で、たった今襲われたら、かなり不利だろう。一般的なワーウルフの戦力を考えたら、僕一人で勝てる確立は、五分五分といった所だろうか……。

「ユキちゃんっ!」

 僕は大きな声で相棒の名を呼んだ。すると「なーに?」という、とても覇気の無い返事が聞こえ、建物の陰から相棒が顔をヒョッコリと出す。

 無事で安心した……という思いとは裏腹に、相棒の緊張感の無い表情と態度に、僕の機嫌が悪くなっていくのを感じる。

 普段はあまり文句等を言う事は無いのだが、今回の相棒はかなり酷い。注意くらいしておかなければと思う。

「……何やってんのさ」

 僕はポケットから銀のナイフとフォークを取り出し、相棒へと差し出した。

 相棒はそれを受け取り、意味無く壁にカンカンと当てる。

「おびき出そうと思って」

「一人じゃ危ないでしょ? ユキちゃん弱いんだから」

 相棒は、同年代の女性に毛が生えた程度の戦力にしかならない。

 化物を殺す事に戸惑いを見せる事は無くなったのだが、どうしたって体が貧弱だし、運動神経も良い訳では無い。ついでに言うと、馬鹿では無いが決して賢くもない。

 正直な所、相棒は、悪魔を探し出す事と、囮になる事くらいしか出来ず、こういった化物退治の場合は、出来る事なら出しゃばって欲しくないと、常々思っていた。

「早く終わらせたくてさ」

「自分の人生を?」

 僕の言葉に、どうやら相棒は気を悪くしたらしい。眉間にシワを寄せ、眼帯をしていない左目で僕の顔を少し睨む。

「仕事だよっ……」

「僕が来る前に襲われたら、どうするつもりだったの」

「……襲われなかったんだから、もういいでしょ」

「良くないよ。最近のユキちゃん、なんか変だよ。何かあったの?」

「ケイくんのそういう所、苦手だよ……あんまり問い詰めないで」

 僕と相棒の間にまた、妙な空気が流れ始めた。

 どうしていつも、こうなってしまうのだろうか。学生時代は仲良く過ごしていたというのに。

 この先も相棒としてやっていかなければいけない……ここは僕が折れて謝るしかないだろう。

「……ごめん。喧嘩はやめよう」

「そうだね……私もごめん。でも本当に、仕事を早く終わらせようと思っただけ……言ってなかったけど、コートの裏ポケットに銀のナイフ、入れてたから」

 相棒はそう言い、コートを前開きにして内側を僕に見せた。そこには沢山のポケットが付けられており、そのひとつから銀の投げナイフを取り出す。僅かな月光を怪しくギラリと反射させ、そのナイフが良く研がれたものだという事が分かった。僕が投げさえすれば化物の頭蓋骨を割り、切っ先を脳へと届かせる事が出来るだろう。

 しかし……相棒はノーコンであり、チカラも無い。そんなものを持っていても、宝の持ち腐れだろう。

 それに車から出ていった時の相棒は、正直、怒っているように、僕の目には見えていた。そしてそれはきっと、当たっている。

 相棒は何かに対して、怒っているのだろうと思う。

 しかしそれは僕も、同じか。相棒に対して、怒っているというより、好意とは違う、なんとも言えぬ煮え切らない思いを、抱いている。


 路地を抜け、人の通りが少ない商店街を二人で並び歩く。既に全ての店が本日の営業を終了させており、街灯の頼りない光だけが僕達の足元を照らしていた。

 どこか物悲しく、廃れた商店街ではあるのだが、道幅はかなり広い。薄暗いという事を差し引いても、これはかなりのアドバンテージだ。一撃必殺である投技や関節技、グラウンド技が使える。

「出来ればこういう広い所で戦いたい」

「そうだね」

 相変わらず相棒は覇気の無い返事をしてくる。

 僕は思わず相棒の顔を横目で見つめると、相棒の表情はやはり無表情。僕は鼻で小さなため息をつき、気を利かせて「この町ってさ、雰囲気が故郷に似てない?」と話しかけた。

「……少しだけ」

 思っても見なかった返事に、僕は嬉しくなった。ようやく久々に、普通の会話が出来る。

「あっ、だよね? 廃れててさ、シャッター街でさ」

「……あんまり、思い出したくないけど」

 相棒の言葉を聞き、僕は肩を落として「ごめん」と言った。

 僕だって思い出したくはないが、気を利かせて話しかけたというのに。

 こんなに合わなかったかな……と、再び鼻でため息をついた。


 日付が変わり、深夜帯になった。相変わらず雲の無い空に、月は大きく陣取っている。そろそろ冬になろうという時期だからか、風は冷たく乾いており、僕は思わずブルルと身震いを起こした。

 ひと気はすっかりと無くなり、駅前に居た警察も現場にバリケードを設置したまま、既に撤退している。

 この状況に、僕は少し焦りを感じ始めていた。時間が経てば経つほど睡眠を取っていない僕の体力や判断力は落ちるし、本当にこのまま何も起きなかったら、無駄足となってしまう……。

「二人で居るから現れないんじゃない? ワーウルフって鼻いいから」

 相棒が銀の投げナイフを手に持ち、切っ先で爪の中をカリカリと掃除しながら正論を言ってきた。それは確かに、その通り。

 そもそも僕達……というより僕の考えとしては、誰かの悲鳴が聞こえた地点でそこに向かい、助けると同時に退治しようという魂胆であった。他人がどうなっても平気という訳では無いが、僕と相棒のリスクは、出来る限り払拭したい。

 しかしどうにも、そんな事を言っていられる場合でも無くなってきたようだ。

「……そうだね。ユキちゃんはとりあえず車に戻ってて。後は僕がやっておくから」

「なんでケイくんがやっておくの? いつもみたいに私が囮になるよ。スプレーとライト貸して」

 相棒は僕に向かって手を差し出し、スプレーとライトを受け取ろうとしている。

 しかし、僕はなんだか不安な思いが胸に湧いてきており、渡す事を躊躇ってしまう。

 相棒は、最近なんだか変だ。妙に単独行動をしたがるし、僕と話す事を避けているように感じる時もある。

「……たかがワーウルフ一匹程度、僕一人で十分だよ」

 僕がそう言うと相棒は伸ばしていた手をだらんと下げ「お強いですもんねー」と、嫌味ったらしく口走る。

「ケイくんは強いから、私の事なんて足手まといくらいにしか思ってないもんね。自分が死ぬのは良くても私が死ぬのはダメって言ってたもんね。かっこいいねーケイくん。村一つ救った英雄だもんねーすごーい」

 ……なんだと、言うんだ、本当に。ここまでの嫌味を言われる覚えは無い。

「……ユキちゃん、どうした? 何が気に入らない?」

「えー? 別にー。どうもしてないよー。二人で始めた狩りだけど、二人の命に価値の差が産まれちゃったんだもんね。仕方ないよね」

 命に価値の差……とは、以前僕が相棒に言った台詞だ。しかしそれは、数年前の言葉。相棒の右目に悪魔の卵が宿った時に言った言葉である。

 確かに失言だったとは思う。しかしその場で謝ったし、今更そんな昔の事をほじくり返す相棒に、僕は腹を立てた。煮え切らない想い、という鍋を温めているコンロの火力が強くなっていくような、妙な感覚を抱く。

「ねぇ、マジでなんなの? なんでそんな言い方するの?」

 僕は思わず言葉を発していた。相棒に対するイライラが積もりに積もって、大人気なく手が出てしまいそうになる。

「なんなのは、こっちの台詞だよ……どうして私の気持ち、分かってくれないの?」

 相棒が僕の目をキッと睨みつけ、ズイと僕に向かって詰め寄ってきた。相棒の左頬には大きな切り傷。右の眼帯からは縦に切り開かれた生々しい傷の跡が見え、僕の苛立ちは急激に収縮していく。鍋の火が、小さくなっていく。

 女性だと言うのに、そのような傷を付けてしまったのは、僕が弱かったせいだ……と、相棒の顔を見るといつも思ってしまう。

「私はもう弱くないよ。ワーウルフの一匹くらい、一人でも狩れる。いつまでも足手まといや邪魔者を見るような目で見ないで。イライラする」

 相棒の鋭い視線と、静かに燃えるような怒りが含まれた声に、僕の体は硬直した。

 そんな風に思っていただなんて、知らなかった。全く察する事が出来なかった自分を、猛烈に恥ずかしく感じている……。

「でも……ユキちゃんの顔の怪我とか見ると、凄く、いたたまれなくて」

「今更顔の怪我とか体の怪我とかっ……どうでもいい事だよっ。お嫁に行くつもりなんて無い。誰に愛されようとも思ってない。怪物や悪魔や悪霊を退治するのが、私の人生なんだよっ。私のような被害者を、もう増やしたくない。私を思うなら、私を守る事を考えるんじゃなくて、私が怪物や悪魔や悪霊を狩る事をサポートしてっ。少しは私を認めてよ、一流ハンターさん」

 何故最後に皮肉を込めたのかは分からないが……そうか、相棒は疎外感を、感じていたのかも知れない。

 ハンター仲間の間では、僕の存在は段々と有名になってきている。今回のように依頼される事もあれば、他のハンターからサポートの要請を受ける事も多々ある。

 しかしそれは、僕達二人に来ている依頼では無く、僕宛に来ている依頼だ。相棒の存在を知らずにサポート要請をしてきて、相棒を見るなり「愛玩具連れてんのか」というブラックジョークを飛ばしてきた失礼なハンターも居た。

 きっと、そういったフラストレーションが相棒の中に積もっていたんだろうなと、今更ながらに、思う。

「……わかったよ。ユキちゃんにも自尊心っていうか」

「分かったなら、早くライトとスプレー貸してっ」

 相棒は僕のポケットからライトとスプレーを取り出し、そそくさと駅近くの暗闇へと歩いていった。

 ……別に冷たくされたり邪険に扱われる事は構わないが、やっぱりなんだか、僕と相棒は合わないような気がしてならない。

 ハンター、辞める気は無いのだろうか……? 等と考えてしまう。

「ワーウルフ出たら、ちゃんと僕呼んでねっ?」

「分かってる」

 相棒はこちらを振り返る事無く、スタスタと早足で僕から離れていった。僕は一応その姿を見届け、歩道と車道を分ける縁石へと座り、地面を見つめながら聴覚を研ぎ澄ます。


 地面を見つめ続けて数分が経ち、ほんの少しだけ体に気怠さを感じ始めたその時「グルルル」といった犬の唸るような声が、僕の耳に入ってきた。

 僕は顔を上げ唸り声の方向へと視線を向けると、暗い商店街の入り口から、極端に前傾姿勢の、二十代後半くらいの年齢だと思われる、下着だけを身に着けた男性が、裸足のままペタリペタリと歩いている姿を見つけた。

 僕は立ち上がり、男へと近づく。するとその男は僕のほうへと視線を向け、口角を上げながらまるで威嚇をするように「ガウッ!」という唸り声を上げた。そしてその男の口元からは、血が滴り落ちている事が、分かった。

 相棒のものでは無いと思うが……嫌な予感が脳裏をよぎるし、もう既に犠牲者が出てしまったという意識が、僕の罪悪感を刺激し、僕の心音は激しくなり、精神を震わせた。

「ユキちゃんっ! 出たぞっ!」

 僕は大声をあげ、ポケットからナイフを取り出し、挑発するようにそれを投げた。こんな拙い攻撃が当たる訳も無く、ワーウルフはいとも容易くナイフを避ける。その事に気を悪くしたのか、元人間とは思えない、黄色く野生を帯びた瞳で僕の事を睨み、両手を地面に付け、四つん這いとなり、腰を浮かせて、威嚇をする。

「グルルルルッ!」

「来いよ」

 僕はナイフをもう一本投げ、ワーウルフを牽制する。それとほぼ同時にワーウルフは後ろ足を蹴り上げ、とんでもない初動の速さで僕との距離を詰めてきた。新たにナイフを取り出す隙が無く、僕は仕方なく腰を落とし、それを向かい受ける。

 相手が下着しか着用していないので、服を掴み投げる事が出来ない。僕は拳を握り、飛びかかってきたワーウルフの長い爪を刹那のタイミングで躱し、がら空きの脇腹へと拳を埋めた。

「ギャン」という声を発したものの、それほど深くは入っていない。ワーウルフは四肢で地面に着地し、すぐさま体制を整えて、再び僕へと飛びかかってくる。

 考えついた対策は、相手の攻撃に合わせるように、顔面へと前蹴りを浴びせるというものだったのだが……両腕を広げ、鋭い爪を突き出しながら襲い掛かってくる相手には、それも難しい。僕は何も出来ず、ただただその攻撃を避けた。

 着地したワーウルフは人間の反応速度を遥かに超えた素早さで僕のほうを再び振り返り、襲い掛かってくる。ポケットに手を突っ込んでいる暇なんて無く、僕はダメージ覚悟でワーウルフの腕を掴もうと、迎え撃った。

 しかしその瞬間、一直線に伸びる閃光が僕の視界に入り、それがワーウルフの後ろ足へと当たった。それと同時にワーウルフは「うぎゃああっ!」という悲痛な叫びを上げながら地面に体から倒れ、のたうち回る。

 ワーウルフの足に刺さっているものに目を向けると、それは銀の投げナイフだった。

「……えっ」

「当たったでしょ? だから、言ったんだよ。私にだって倒せるって」

 僕は声の主へと視線を向ける。するとそこには、誇らしげに澄ました表情を作っている、相棒の姿があった。

「少しは私の事、見直した?」

 正直、見直したとか、見直さないとか、そういうレベルの話では無い。こういった戦闘において、初めて役立ったと、言えるだろう。

 驚いた……投げナイフを、扱えるようになっているとは。そして僕が相棒に、助けられる日がくるとは。夢なんじゃないかと、思わされる。

 確かに少しだけ、離れて過ごす時期があった。その時に猛練習でもしていたのだろうか。

「……うん。助かったよ、ありがとう」

「分かってくれれば、いいんだよ」

 相棒はワーウルフへと近づき、銀のナイフを取り出して、顔面を踏みつけ、喉にナイフを突き刺した。喉にナイフを突き刺し止めを刺すのは、声を出せなくするため。あまり騒がれると、厄介な事になる。

「ふぅっ……」

 相棒は自身の手に飛び散った血を、履いていたズボンでグイッと拭う。その姿はまるで、僕のオマージュのように、見えた。なんだかんだ相棒は僕の事を見て、必死で真似ようと、しているのかも知れない。

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