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加護とかで異世界救います!  作者: 野夜真 海
4/4

復活完了!

ようやくカヤトが強くなります。

あと、途中からカヤト視点なのでご理解を。

これからもほぼカヤト視点です。

絢実たちは、ミナとラストのパラメーターを見なくてもわかった。桁が違うと。

「「み、ミナさん……?」」

「絢実ちゃん、香奈ちゃん、みんなもそこに居て」

「え?今、私たちの名前…」

初めて絢実と香奈の名前を呼んだミナは、手から魔力を放出し、分厚い結界を絢実たちの周りに張った。

「余程その小童どもが大事らしいな」

「ふんっ、全員じゃないけどね、ついでよついで」

ミナは絢実、香奈の方を向くと、にっ、と、笑顔を見せて「カヤト君のこと、よろしくね」と二人に聞こえる程度の声量でつぶやいた。

「さて、無駄話も―」

「このへんに―」

「「しておこう!!」」

絢実たちの目には見えないほどの速度で、二人は上空に上がる

「はあ!」

一瞬早くラストが動く。力強く握った拳からは真っ黒な魔力が凝縮されている。

「っ!烈風結界―六重の陣―!!」

ラストが放つ魔力に気付いて風魔法最上級魔力結界―烈風結界“六重の陣”を発動。

台風のような強力な風力が一気に圧縮され、六枚の分厚い球体型の結界を自分の周りに張った。

それは、中心に行けばいくほど頑丈になるしくみだ。つまり、枚数が多ければ多いほど強力になる。

「―闇柱やみばしら―!!」

ラストは握る拳を一気に解放するかのように広げ、溜めていた魔力を蒸散させる。

するとどす黒い色の霧があたりを包み込む。そして黒い魔力の粒子がミナの頭上に集まる。

集まった粒子が極太の魔力の柱へと変わり、結界ごとミナを飲み込む。

「くっ!」

パリンパリンと、一枚、二枚、三枚と次々結界を破壊していく。

「まさか、ここまでとは…烈風魔法―嵐刃波らんじんは―!!」

刃上の風が結界をすり抜け、霧を切り裂く。霧がなくなると柱も消える

「ほう、今のを振り払うとはな。さすがと言ったところか」

「はぁ、はぁ、はぁ、さすがに疲れたけどね…」

ラストとミナの内蔵魔力はほぼ互角。しかし、先ほどミナはカヤトを治療してしまったため、魔力がラストと五千以上の差がある。

―残り二十二分―


「こう見えて我は魔法があまり得意としない、しかし精霊神だけあって貴様は我より優れている。ならば物理戦で攻めさせてもらう」

「上等よ、かかってきなさい。私、結構接近戦もいけるのよね」

「戯言を」

喋り終わると二人の全身から魔力の膜が現れる。いくら防御力が三万超えでも、一発でももらえば致命傷は避けられないことを二人は知っているからだ。全身に魔力の膜ともいえる薄い結界を常時顕現することを―静魔光せいまこう―という。


静魔光を発動させると、またしても絢実たちには見えない速度で移動する。

べゴン!と時折岩山に大きなクレーターが出現する。

絢実たちには音でしか聞き取れないため、祈ることしかできない。

「頑張ってミナさん!」と祈りを口ずさむ生徒もいる。しかしこの二人、絢実と香奈はただカヤトを一点に見つめている。それはけしてミナが心配というわけではない。ミナにカヤトは任せたと言われたからこそ信じてカヤトを見守っている。

「南凪君、早く目を覚まして…」

―残り十五分―


接近戦開始からすでに五分以上たっているが、一向に二人の攻防は止まない。むしろ音の大きさが増している。絢実たちの一秒と感じる時間は二人には十秒ほどに感じる。

と、ここで激しい攻防が中断される


「はぁ、なるほど…はぁ、接近戦が得意というのは…あながち間違っていないようだな…はぁ」

「はぁ、はぁ、よく…言うわよ……あなた…片手しか使ってないじゃない…はぁ、はぁ」

おっている傷は同じくらいだが、ラストが片手しか使っていないハンデを付け加えれば、結果はあきらか。だが、ラストにとってはこの戦いはただの暇つぶしに過ぎない。ゲームで言うならば、強いプレイヤーと弱いプレイヤーが戦うときに「一分待ってやる」などと言うかんじだ。

「ハンデを付けなければすぐに終わってしまう、それではつまらんだろう?」

「はぁ、やっぱり接近戦は少し荷が重たかったかしら…」

両者とも、息を整えてきたとたん、再び攻防が始まる。


「はぁ!」

静魔光を右拳に集め、ミナが全力でラストに拳を突き立てる。

「がはっ!っ…がぁ!!」

ミナの一撃をもろに腹に受けて血反吐を吐くラストだが、すぐに態勢を整え、同じく右拳に魔力を集めてミナの左頬に突き立てる。

バシュウゥゥゥゥウと銃声音のような音と共にミナが地面に勢いよく落ちる。

それと同時に、カヤトの痛みがさらにひどくなる。通常精霊の加護の力を実に宿すまで一年、その力をものにするまで約ニ年。本来その期間の間習得できる者は少ないが、その殆どは痛みによるショック死。三年でも殆どの者には耐えられない痛みにカヤトは三年分の苦しみ、痛みを一時間に圧縮された状態で受けている、痛みは尋常ではないことを絢実と香奈はカヤトの表情で読み取れる。

「うわああああぁぁあ!……あああぁぁぁぁああ!」

「南凪君!しっかりして!」

「そうだよ!目を覚まして、魔王を倒してよ!」

絢実と香奈はひたすら信じてカヤトを見守る。周りの光聖たちは「もうだめだ……」「南凪が起きても何もかわんねぇよ…」とすでに諦めの色を見せている。

「ごほっごほっ!!」

カヤトも根性を見せて痛みに耐えているが、血反吐が床を赤く染めだした。


両者共々頭から血を流して攻防の繰り返しをしている。

「しかたない、もう躊躇している場合じゃないしね……」

ミナは「ふう…」と深呼吸をし、この戦い初めての詠唱をしだす。

「覇をもたらす刃 風を斬り 雲を断て

その刃 我が糧となり 我が命を喰らえ

風神聖剣―ウィンドセイバー―壱の型!!!」

空気が圧縮されるように両刃太刀となりミナの手に握られる。

「ほう、もうそれを使うということは、やはり余裕がなくなってきているな。ではこちらも―」

早すぎるのか詠唱がすぐに終わってしまった。それもおそらく、魔人語だ。

「黄泉を作る魔剣―ラストセイバー―!!!」

魔剣ラストセイバー、魔王だけが持つのを許される最強の魔剣で、その出所は誰も知らない天然ものの最後の魔剣。ラストセイバーの由来はそこからだ。

―残り7分―


「はあ!」

ウィンドセイバーをふるうと、そこらの空気が斬られ、戻ろうとする力で無理やりそこへ引きずり込まれる。

「ふん!ぬるいわ!」

ラストはラストセイバーをミナに向かって大降りに振った、ミナは当然避けるがその思考はすぐにそがれる。

「なっ!?」

瞬間、次元が歪んだように空間が捩れ、ミナを引きずり込む。

ザンっ!と激しく切り裂く音が階層全域に響き渡る。

「詰みだ、精霊神ミナ。好き戦いであった」

ブシュウウとミナの左肩から右太ももにかけての大きな亀裂からでる血飛沫がラストの顔を染める

「ぐっ……ご…めん……カヤト…君…」

「あっ……ミナさぁぁぁぁん!!!」

絢実が叫ぶと、周りの生徒は完全に勝機を失ったかのようにその場で膝をつく。

―残りあと一分三十秒―


カヤトの痛みは強くなる一方、夢を見ていたカヤトは、次第に「これが走馬灯か…」と思ってしまったが、それは違った。暗くなる一方の空間で唯一光っている場所にカヤトは向かう。


そこにはがたいのいい右腕に大きな傷跡を覆った男がいた。

「誰だ?あんた…」

僕の言葉に気付くかのように体をピクッとさせ男は立ち上がった。

「随分早かったなぁ、もうちょい踏ん張ると思っていたが…さすがにきついか…」

「?ほんとに誰だよあんた」

「ん?おぉ悪かったな、俺は…お前の父親だ」

「……………………………は?」

僕は予想外の答えに驚いた。それも当然だろう、僕の父さんは僕が産まれる直後に姿を消したのだから。

「な、なんで父さんだって言い切れるんだよ…だって父さんは……」

「あぁ、俺は確かに瑞名がお前、カヤトを産む前にこの世界に来ちまったからなぁ」

この世界、つまり異世界に来たってことか。でもどうやって…魔王に召喚されたのだろうか…

「でも、あんたが父さんだとしたらなぜ僕の名前を知っている?僕が産まれる前にこの世界に来た父さんが」

「それはこれを通して見てた。ずっとな」

背筋がゾワッっとしたがほおっておこう、僕は父さんと名乗る人物の差す方向を向いた。そこには、もう数週間帰っていない僕の部屋、リビング、和室、母さんの部屋、僕の家のすべてが写っていた。

「これは?」

「これは―運命の鏡―つってな、本来は神しか使えないのだが、全魔王を倒した時にくれた代物だ」

ちょっとまて、魔王を倒した?まじかよ、じゃあ今の魔王を倒してくれと言ったのだが、それはできないらしい。なぜなら父さんはとっくに死んでいて、現世には大量の魔力を使わないといけないらしいのだ。しかし、この―運命の鏡―を見て僕らの日常を見ていてくれたことは少しうれしかった。今までもう会えないと思っていた父さんに見守られていたなんて、少し恥ずいが、不思議と安心した。

そんなことを思っていて、まだまだ子供だなと思いもしたが、父さんと小一時間くらい話していてそれも吹き飛んだ。と、忘れていたという表情で話を中断した父さんは―

「忘れるところだったぜ、ほいっと…」

「何をしたんだ?」

「結界さ」

「結界?ここに魔物なんて…」

「いやぁ、ただのけっかいじゃねぇぜ?外の空間、つまりこの空間と今魔王たちがいる空間とでは時間の流れが違う。向こうの一分はここでは24時間なんだぜ?」

「へぇ、ってことはもしかして父さんてすごい年寄?」

「まぁな、話は戻すが今張った結界内では、さらにその十倍の時間の流れの差がある。つまりは現実での六秒はここでは一日、お前が完全に精霊化するにはあと1分ちょいだ。タイムリミットは十日だ」

完全に精霊化、かぁ。まぁそうでもしないとミナ、歩野月さん、楓風さんたちを助けるのは不可能だと断定したのだろう。しょうがないか。

「わかった!たのむ、父さん」


「はあっ!!」

十日間みっちり父さんに鍛錬されていろいろ分かったことがある。

一つ目は、俺の職業才能はないのではなく、今は発現しないそうだ。

二つ目は精霊化のこと、精霊化をする際にはどうにも性格が変わってしまうというと、「まぁ、お前は俺の性格を母さんが無理やり押さえているようなもんだからなぁ」といわれたのでまぁしょうがない。それと、精霊化するときには後ろの髪のいたるところががエメラルドグリーンになる。黒と混じって中々すごいことになっている。

三つ目は、チートすぎるパラメーターだ。


南凪カヤト レベル36

職業才能―――

種族 精霊/人族(30%/70%)

体力14000

筋力14000

俊敏14000

防御力14500

魔力15000

魔耐15000

回復力14000


スキル―体術使いⅩ、剣術使いⅩ、よろず食い(大気食い、魔物食い)、精霊化、精霊の加護、超身体強化、限界突破、気配遮断、気配感知、瞬間認識(思考能力超上昇)、――の加護、魔力放射(静魔光、威圧)、消費魔力超軽減、顕現魔法Ⅰ、探知、念話、


と、こうなるわけだが、色々ツッコみたいな…まずどんだけ強くなってんだよ!!父さんにも言ったさ、これ強すぎないって、そしたら「それでも魔王に勝てるか勝てないかだ」だとさ。

それはいいとして。次、スキル増え過ぎ!なんなの?増え過ぎでしょ!しかもさりげなくなんかの加護がまたかかってるし…それもろもろ聞いたら、「そんなのしらねぇよ」だとよ。ふざけんな!

三つ目、―よろず食い―についてだ。俺はてっきりなんでも美味く感じるのかと思ってたけど違うみたいだ。この―大気食い―と―魔物食い―、まぁ名のとおりだろうな。これこそまさにチートだろ、大気食って強くなるっておかしいでしょ!!

はい、四つ目。種族のことだが……何!?人族70%!?精霊30%!?人じゃなくなってきてるんだけど!曰く「まだ完全じゃねぇが普通は精霊化しても1%なんだが、今回はしょうがねぇな」まぁ、俺もそう思うが、そのうち人じゃなくなるのか………(ぐすん)。

あとからわかるからそのことについてはもういいか。

父さんは地上に顕現するためにも、おr…僕に顕現魔法を教えたが、まだまだ発展途上。頑張らねば。そして早く帰って母さんと父さん、僕とで暮らしたい。

「あ、そうそうカヤトちょっとこい」

「ん?なんだ?」



「分かった。魔王倒せたら行ってみるよ」

「あぁ、たのむぜ。全部で五つだ、それぞれの遺跡の最下層にある。だが、ルーカ遺跡は後回しにしろ。今のお前じゃ無理だ。そのこと精霊神、他のみんなにも最下層には行くなと言っておいてくれ」

「おう、じゃ、行ってくる」

父さんは手を振るとにっこりと笑った。


「うぅ…」

「?あっ!南凪君」

「南凪君!目が覚めたのね!」

「あぁ、二人ともありがとな、守ってくれて」

そういうと二人は顔を赤らめたが、熱でもあるんだろうか。心配だ、今度は俺が守ってやらねぇとな。

「って、うわああああ!なんだなんだなんだ!」

なんと歩野月さんがおrじゃない、僕に膝枕をしてくれている。最高です、美少女が膝枕とか最高です!ありがとうございます!じゃない!今はそんなこと思っている暇はないな、名残惜しいが膝から離れるか。

「ど、どうしたの?どこか痛い?ならもうちょっと休んだ方が…」

「いや、いいとりあえずそこから動くな。お前らもだ」

「なんか南凪君雰囲気変わった?」

「うんうん、なんか前はもっと地味だった気が…」

「どこぞのワイルド男に似てな」

僕はフッと笑うと、父さんを思い浮かべた。

「さてと、ぶっつけ本番だが、やるしかないよな」

「お、おい、南凪、やめろって…勝てっこねぇよ…ここはミナさんに任せた方が」

「お前もそこにいろ、それに………おそらくミナはもう戦えねぇ」

僕は気配感知、探知を発動させるとかなり弱ったミナの魔力が感じられた。すると―

「ほう、目が覚めたか少年、ではさっそく手合せと―」

「お前か」

「む?…ぐはっ!?」

「お前が、ミナを…俺を好きだと言ってくれた人をあんなにしたのは!!」

心の底から怒りの感情が噴き出してくる。すでに魔王と分かっていたので、魔王の腹を思いっきり殴った。案の定血反吐を吐く魔王だったが、吹き飛んでいかなかったことには驚きだ。後ろの岩山は風穴開いているが…

「ぐ、かはっ、っはぁ、はぁ、やるではないか少年。名は?」

「てめぇこそな、俺は南凪カヤトだ」

「南凪カヤトか、覚えておこう。我はラスト!魔王ラストだ!」

「ラスト…か、俺も覚えておこう」

互いに名を覚えたところで―

「な、南凪君?」

「すごい、あの魔王にダメージを…」

「ほ、ほんとに南凪か?あんな奴が…」

後ろからは驚きのコメントをもらっているが今はこいつだ。

「あ、忘れてた。ほい、っと」

―魔力放出―の静魔光を歩野月さんたちの周りに付着させた。

「こ、これって、結界?」

歩野月さんが疑問を出してくるので、なるべく早口で答えた

「真似事だ。静魔光を円状にすることで、結界みたいなのができる」

「すごい…」

と、話はここまでだ。

「さて、南凪カヤト。戦いを始めよう!」

「上等だ」

読んでいただきありがとうございます。

次回は、カヤト対ラスト!そのあとは日常を書こうと思います。

カヤトのお父さん、南凪昴ななぎすばるとカヤトの話も書きますのでよろしくお願いします。

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