<直斗編>部活
あっとゆう間に過ぎた土曜日。
日曜は、いつもどおり部活があった。
もう、昨日のことだというのに---------
直斗の気持ちは晴れない。
<直斗 九月十八日>
「おっはよ~ん★」
いきなり背中を押された。
振り返ると、ユニフォームの女子が立っていた。
「お、おう。オハヨー」
昨日のこともあり、いつものテンションは出なかった。
「なんだよ~。元気ないなぁー」
脇腹を人差し指で突かれる。
コイツが野風薫。
多分、おれなんかよりもっともっと明るくて
前向きなヤツ。
そして、その明るさに俺はなんども助けられたことがあった。
「わ、わりい」
薫が首をかしげる。結んである髪が揺れる。
「直斗・・・?」
多分薫は俺のことを一番わかっているだろう。
だからこそ悟られたくなかった。
巻き込みたくなかった。
「あ。ほらほら、台出さないと!」
なんとかその場を離れようとしたその時、
「直斗!」
薫にいきなり腕を掴まれた
ほんとうにいきなりだったので、びっくりした。
「・・・いつでも相談にのるから。」
薫の、全てを見透かせることができそうなほど透きとおった瞳と
久しぶりに見た真面目な表情に
動揺を隠せなかった。
「・・・ありがとな」
大丈夫と言い聞かせるかわりに微笑んだ。
「全く。無理しちゃ駄目だよ?」
『安心した』とゆうニュアンスの言葉に、
心が暖かくなる。
そうか------
俺は独りじゃなかった。
そこに悟の美声が届く、
「直斗ー、今度の練習試合の相手決まったって。」
「えー!どこどこ?」
薫が踵を返したように悟にへばりつく。
おい、さっきの展開どうしてくれんだよ。
悟がめんどくさそうに薫をあしらいながら、こういった。
「秋草学園だって。あの、超エリート学園の。」
・・・なんでまたそんな学校が。
すっかりいつものあかるさを取り戻せていた。----------------