衝突
不慮の事故。それで、先生は亡くなった。
すぐに駆けつけた柚李と、
先生の思惑を察して会いに行かなかった直斗。
果たして、どちらがふさわしい行動だったのか。
二人の意思がぶつかる時、運命の輪が回りだす。------
<直斗 九月十七日>
「アンタ!」
リストバンドを見られたら
いきなり胸ぐらをつかまれた。
「いきなりなんだよ!!」
腕から逃れようと手首をつかんだときに、
その手にも、同タイプのリストバンドがつけられてるのを見て、
相手が何者なのかを悟った。
「お前も、あそこに通ってたのか・・・?」
「アンタはなぜ、コーチのところに行かなかった!?」
「それは・・・・」
「答えろ!!」
壁に叩きつけられる。
ラバーが落ちる。
その言葉を聞いて、俺は悟ったものが本物だったと確信した。
相手の腕をつかんで、突き飛ばした。
さすがの相手も、反撃に来るとは思わなかったのだろうか、一気に態勢を崩した。
相手を睨みつけた。
「お前に、何がわかんだよ。」
はき捨てて、店を後にした。
美川柚李---------------
言い訳するつもりなんてない。
俺はただ、先生の信念を折り曲げたくなかった。
それだけだった。
恨んでくれて構わない。
それが俺の選んだ道だから。