プロローグ
さて。設定変わってからの記念すべき1本目。
まずは導入。それにしてもみょんな艦隊だ。
昭和19年12月24日23時18分
沖縄沖を航行する四隻の艦がいた。
航空巡洋艦「白沢」
駆逐艦「霊夢」
駆逐艦「妖夢」
飛行艇母艦「風見」
波を切り、横須賀へと急ぎ巡航していた。
航空巡洋艦「白沢」艦橋
「艦長。」
「どうした。副長。」
外を眺めながら応対する。暗くそして海は穏やかだ。
「また五月蝿い総司令部からの無線です。早く来いと。」
「この速度で巡航すれば、十分作戦開始時刻まで間に合うだろ。最短経路かつ、急ぎ航行していていますとでも伝えておけ。」
「了解。」
左右には駆逐艦コンビ。後部には飛行艇母艦が随伴していた。
「艦長!」
「今度は通信長か。何だ!」
「無線機がまた狂いました!」
「早く直せ!あそこの長官は細々五月蝿いんだ!」
「了解!」
ふと横の窓を見ると艦隊すれすれのところを、優美なラインの九七式大艇が飛んでいった。
───…おかしい。相当時間が経ってから私は何か違和感に気がついた。
「…おい航海長!今どこら辺を航海している!?」
「もうそろそろ、鹿児島の灯台が見えるはずですが…見た奴は居るかーっ!!」
誰からも返答がなく、首を横に振る動作が見えた。そして、副長が主羅針儀を見て間違いに気がついたようだ。
「艦長…針路間違えていました。針路20で航行しなければならないところを、針路40で航行していました。」
…進路のミスか。何故、随伴艦も気がつかなかったのか。
これは正直に言ったら長官に文句言われるな。
「分かったならいい。今すぐ針路を戻すぞっ!随伴艦にも伝えろ!針路60をとれ!」
「とーりかー…かっ…艦長!?てっ転舵できません!」
「今度は舵がいかれたか!」
どんどん漆黒の闇へと進んでゆく。満月が煌々と照らしていたはずの海は只々真っ暗だ。
「…艦隊で散会し、応急舵を…無理だな…運動票を見ているはずの他の艦はっ!?」
「全くとして旋回していませんね…」
右舷側にいる一人の見張員が言う。
「艦長。前方に謎の発光体。」
今度は正面にいる見張員が行った。
「敵艦の探照灯か?」
机の上ある、自分の双眼鏡をのぞく。何故かぽつんとひとつ、何も無いのに青白く発光しているものがある。
「艦長。アレに吸い込まれているとかないですかね。」
「副長。某社掃除機ではあるまい。吸引力の変わらない…」
航海長が話に割り込む。
「メタなことを話している場合じゃないですよ!現に速度が上がっています!」
「何故わかるのだ?」
「動揺がより激しくなっています!」
いよいよ世界自体がおかしくなってきたのか…と逃避している場合ではなく、現実は逼迫している。謎の発光体へと吸い込まれているであろうことは自分でも分かった。
やはり速度が気になるので、伝声管で機関長に聞く。
「現在の速度いくつだ!」
エコーがかかりながら声が吸い込んまれていく。
「両舷原速ですが、14ノット出ています!」
「艦長…」
「よし。そのまま走力を上げろ!突っ切るぞ!両舷前進最大戦速!」
「りょーげん、ぜんしーんさいだいせんそーく!」
一気に揺れが増し、波を激しく切り裂くように進む。
駆逐艦もきちんと付いてきていた。
立つのも難しいような、激しい揺れの中副長と話す。
「そういえば、あの駆逐艦40ノット出るらしいな。」
「霊夢と妖夢ですか?あくまで公試の時ですけどね。」
「俺も昔はあれの副長だったけどな。」
「…いまさらですが。艦長って中佐ですよね。何故巡洋艦の艦長に?」
そういえばそうだ。巡洋艦艦長は大佐のポストだ。
「お前聞いていなかったか?フィリッピンを発つときに辞令を…」
「艦長!副長!そんな事話してないで!もう突っ込みますよ!」
もう発光体は、目の前にあった。
「よーし総員艦内にいるな。ベルを鳴らせ!総員衝撃に備えろ!」
艦首から徐々に発光体へ。
幽かな衝撃とともに目の前が明るくなり。意識は消失した。
さて続きはまだ書いている途中。
公開はいつになるでしょうか?
2012/02/15追記
一部手直しと因果関係の錯誤の修復。