詩: 証言の渦
掲載日:2026/03/20
脱衣所の隅で
老兵のような古い洗濯機が
ガタガタと武者震いを続けている
歪んだドラムが回るたび
昨夜の衝動と 血と泥の匂いが
白い泡の中に溶けて消えていく
「ずっと家にいました」
鏡に向かって呟いた彼の言葉が
完璧なアリバイになるのを
老兵はただ震えながら祈っているのか
不意に 回転が止まった
静寂が耳を刺す
残されたのは
真っ白に洗い流されたはずの重い沈黙
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