王侯将相
「unlimited」
チェスの左胸が強い輝きを放つと体から金色の光が溢れ出し、周囲を降り注ぐ雨や雪は金色の光を避けるように落ちてゆく。
「ほぉ、東の国でもそれを使えるものがいるとはな。 それは昔にキクレンが魔王復活を研究していた際に見つけた超能力の真髄。
この国まで技法が伝わっておったとは」
ウェザーは関心したようにチェスを見つめるが、チェスは興味が無いようで自身の髭を撫でている。
「確かにこの力は強大だ。 ただ使用すれば命を落としてしまう禁技。 こんなものをまだ幼い子供達に使わせるなどとても許されることでは無いぞ!」
チェスは初めて怒りの表情を見せると背に背負った長槍をウェザーに向ける。
「ふん、俺が育ててきた命をどう使おうが自由であろう」
ウェザーが左手をチェスに向けると、先ほどブレイクを襲った雷・雪・雨・風全てがチェスに襲いかかる。
「お前が育ててきた子供たちは我が国から攫って行った者達じゃ。 帰るべき家に帰ることもできず、母国を滅ぼすための兵隊にさせられる。 これほどの悲しみはないじゃろ!」
四方から襲いかかる攻撃はチェスから発されている金色の光に当たると避けるように弾かれていく。
「座が高いぞ」
ウェザーのいる空間が歪みだすと、ウェザーは地面に押し付けられるように落下する。
「なん、、だ、この力は、?」
ウェザーは地面にうつ伏せの状態で固定されており、腕に力を入れて立ちあがろうとするが謎の力によって立ち上がることは出来ない。
「風よ!」
周囲の風を操って自らの体を持ち上げてゆく。
「流石は限界を超えた力だ。 だがここまでの力は見た事がないぞ」
ウェザーは雪の塊をチェスに放ってゆくがことごとくチェスの体を避けてゆく。
次に雷を纏うと凄まじい速さでチェスに接近をする。
「なら近接はどうだ?」
「雷勁」
ウェザーの雷を纏った左手をチェスにぶつけるが、金色の光に触れた瞬間、ウェザーは地面に再び落とされてしまう。
「お主は許すことは出来ないのぉ。 ここで昔の因縁は断ち切らせてもらうぞ」
金色の光を纏った長槍をチェスは地面に落ちたウェザーに向かって投げ下ろす。
「舐めるなよ、東の国の人間風情がぁぁぁ!!」
長槍が迫り来る中、ウェザーの左胸も強い光を放ち出す。
「unlimited」
ウェザーの体から虹色の光が溢れ出し、失った右腕も虹色の光で形作られ、虹色の右手で向かってくる金色の長槍を受け止める。
「まさか、私まで使わせられるとはな。 どうせはこの命捨てる覚悟はできていたがここまでの猛者がいるとは思わなかったぞ」
ウェザーは長槍を投げ返すと、長槍の先端がチェスの金色の光に当たると止まる。
「いくらお主が強くなろうとワシには勝てんよ」
チェスは長槍を手に持つと再び金色の光を纏わせながら、ウェザーを見下ろす。
「ぬかせ!」
「虹道」
ウェザーの右腕からチェスに向かって虹が放たれていく。
虹はチェスの横腹までかかるが、チェスは動じず身動きを取らない。
「爆ぜろ」
チェスの虹がかかった横腹は突如爆発を起こすと穴が空いてしまった。
「ホッホ、流石だな。 だがお互いに死ぬと決まったこの命。 この程度の損傷は何とも無いじゃろう」
チェスは余裕の表情を見せ長槍を振り下ろすと、ウェザーの残っていた左腕は潰れてしまった。
「ハッハッハ! そうだな、この戦いはどっちかの息の根が止まるまで止まることはない!」
ウェザーは失われた左腕からも虹色の光が溢れ出し腕を形作ると、親指と人差し指を立てて銃の形を作ると虹色の弾丸を放つ。
目にも止まらない速さで放たれる弾丸はチェスの左胸目掛けて飛んでくる。
それをチェスは長槍で受け止める事ができたが、長槍は爆ぜてしまった。
(お互い強さは均衡している。 ちょっとした事がきっかけでこの均衡は崩れるだろうな)
チェスは黄金の光を全身に纏ったままウェザーに突っ込んでゆく。
「これで終わりだ!!」
ウェザーも虹色の輝きを纏うとチェスに勢いよく飛んでゆく。
二人が今にも接触するその時、横から何者かが入ってくる。
「キング、今までありがとうございました」
その人物はハンマーをウェザーに振り下ろし、振り向きざまにチェスに微笑みかける。
「ポーン!」
チェスは驚きの表情を見せその者の名を口に出すが、ウェザーは割り込んできたボーンに手をかざすとボーンの体は粉々に爆ぜてしまった。
「うぉぉぉ!!!」
ウェザーがポーンに気を取られた隙にチェスの拳はウェザーの左胸を貫いていた。




