ウェザー
上空でウェザーと戦っていたゴクウ、ブレイク、ハッカイ、アクアの四人は既に体がボロボロの状態になっていた。
「子供達は全員やられてしまったようだな。 想像以上に使えない奴らだった」
ウェザーは戦況を把握しているようで、四人を見下ろしながら漆黒の瞳はより冷酷さを増していた。
「てめーの仲間だろ!」
ゴクウはウェザーを睨むが、ウェザーは何とも思わない様子である。
「所詮奴らは駒の一つであり、それ以上でもない。 長い年月をかけて育ててやったというのに誰一人倒せないとは失望の感情しか生まれんよ」
ウェザーは周囲を吹き荒れる風を操ると4人に対して突風を放つ。
「あいつに近づくことができないと倒すことはできないぞ!」
それぞれは苦しい表情を見せながら防ぐと、アクアが他の三人に対して大声で話す。
ウェザーの周囲を風や雨が常に覆っているため、近づく者全て防いでいるのだ。
「貴様らとの遊びもそろそろ飽きてきた。 終わらせてもらうぞ」
ウェザーは両手を空に向けると、ウェザーを中心に雨風、それに雷が渦を巻いていく。
「さっきのやつだ! マズイよ!!」
ハッカイがすぐさま右手を巨大化させ、ウェザーを殴りに行くが上空からの雷に当たってしまうと足元の白い煙が消え去り落下してしまう。
「ハッカイ! いや、あいつは大丈夫だ。 それよりも奴のあの技を止める!!」
ゴクウは一瞬落ちてゆくハッカイに目を向けるがすぐさまウェザーの元に飛び掛かる。
「そんな〜!!」
落下するハッカイはゴクウから見捨てられたことを知り絶望の表情を見せるが、すぐに体を巨大化させ丸まることで落下の衝撃を抑える。
「何をしようと無駄だ。 災害の前では全てが無に帰る」
「崩天」
再びウェザーを中心に竜巻が起こり始める。
すると、ウェザーの背後にポートが瞬間移動で現れると無言でナイフを首元目掛けて振り切る。
「瞬間移動の能力者か。 その能力は報告を受け既に知っておるぞ」
ウェザーの体は雷となり少し地面に落ちると、元いた場所には雷の塊が残り、ポートが振るうナイフに雷の塊が当たると全身に雷を浴びてしまう。
「超能隊全ての能力は全て把握済みだ。 貴様らが何をしてもムダなん」
シュン
ウェザーの言葉を遮るように長細い何かがウェザーの元を通りすぎる。
寸前で反応ができたウェザーであったがその左腕は空を舞っていた。
「な!?」
ウェザーは初めて動揺を見せ、左腕を切った物に目を移すとそれは長く伸びた刀であった。
その刀はスルスルと短くなっていき所有者の元へと戻っていく。
「へっ、これで俺の役目は果たせたか?」
その刀の持ち主は元超能隊の男、イゾウ・オカであった。
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超能隊本部地下 B2F
物音がなく静かな場所に来訪者がやってくる。
「よぉ、久しぶりじゃねーか。 差し入れでも持ってきてくれたのか?」
来訪者は牢屋に入っているイゾウの前まで来ると立ち止まる。
「いや、仮釈放です。 敵襲の為、手を貸して下さい」
ポートはイゾウに話すと牢屋と手錠の鍵を開けて自由にする。
「ん〜。 久しぶりの自由だぜ。 俺を釈放する程の事態なのか?」
ポートは各地に転移して知り得た現状をイゾウに教える。
「……という事で、残る敵はボスのみになりますが、そのボスの撃退に力を貸して欲しいんです」
「ふ〜ん、これ、お前の独断か? ブレイクさんは敵さんと今戦ってるんだろ?」
イゾウは両手をポキポキと鳴らして体をほぐしながらポートに問いかける。
「違いますよ、元老院のスーザンさんにちゃんと許可は取ってます。 それに活躍次第では釈放にしてくれるという言質も貰ってますよ?」
ポートはイゾウの愛刀である肥前忠広ひぜんただひろを渡す。
「ほぉ、それは確かだな? であれば俺も一肌脱がないとな!」
イゾウは今まで終始やる気の無さそうな目をしていたが、ポートの話しを受け愛刀を手にした時、キリッとした鋭い目つきになる。
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ウェザーの右手を切ったイゾウは刀を元の長さに戻すと、したり顔を見せていた。
「これで釈放レベルの活躍はできたろ!」
すると周辺のみを覆っていた雷雲が国中を覆うほどの規模となっていた。
「貴様ぁぁ!!」
ウェザーは体を雷に変化させイゾウ目掛けて落ちてゆく。
「アブな、、!」
イゾウは間一髪で避けることに成功し刀を伸ばしてウェザーを切り裂こうとする。
しかし、時間差で雷がイゾウの元へ落ちる。 刀を振るうイゾウは避けることができず雷をくらってしまう。
「ガッ、、 しくじ、ちま、、た」
イゾウは仰向けにそのまま倒れ込むと、ウェザーは風を纏ってイゾウの元へと飛んでゆく。
「貴様だけは許さん!!」
ウェザーは切られた左腕の部分を雪で凍結させており、失った左腕の代わりに雪で作られた鋭い剣を作り出していた。
気絶してしまったイゾウに回避するすべはなく、数秒後イゾウは切り裂かれてしまうだろう。
「火炎防壁」
ウェザーとイゾウを隔てる炎の壁が現れるとフレイがイゾウを守るように正面に立つ。
「パシーから連絡を受けていたが、お前がまたこの国のために戦っているなんてな」
フレイは気絶しているイゾウに話しかけるが、当然返事が来ることはない。
「どけい!!」
「切雨」
ウェザーは立ち塞がる炎の壁とフレイ、イゾウに向かって上空から雨のマシンガンが放たれていく。
「私がいる限り水は使わせないよ」
アクアが上空から降りてくると、降り注ぐ雨を霧状に変化させる。
「やっと地上まで降りてきたか」
アクアと同じく上空からブレイクとゴクウが白い煙に乗りながら降りてくると、ブレイクが地上に降り立つ。
「ゴジョウ、ハッカイ、ポート、イゾウ。 大分こいつ一人にやられちまったな」
ゴクウの腰に付いている黒玉の一つが煙になると手に持つ棒に覆ってゆく。
「勝手に除かないでよ〜」
ゴクウの背後で巨大な手がガレキを吹き飛ばすとハッカイが現れる。
「お〜、無事だったか。 流石頑丈だな!」
「僕が落ちる時に救ってくれても良かったんじゃない?」
ゴクウはグッドサインをハッカイに向けるがジト目で睨まれてしまう。
「おめーは頑丈だからこの程度平気だと思ってたんだよ」
「それにしてはさっき僕のことを戦闘不能だと思ってたみたいだけどね」
ゴクウとハッカイが話し込んでいるとウェザーの周囲に風・雷・雨・雪が全て巻き起こっていた。
「もういいだろう。 全員まとめて相手にしてやる」
「四天解離」
やがてウェザーの姿が見えなくなると、風・雷・雨・雪がそれぞれ分かれ別々の場所で人の形を成していき、ウェザーの姿となった。
「一筋縄では行かなそーだな」
フレイの額から一粒の汗が滴り落ちて地面に落ちるタイミングで、各自は分裂したウェザーに攻撃をしかけにいく。




