荒天
---80年ほど前
西の国キクレンでは全ての国民が研究所を攻め込んできたサイラクの人間と戦っていた。
キクレンでは全ての国民が小さな頃から戦闘訓練を受けており、子供までも戦闘に加わっている。
「必ずあいつらを仕留めろ!! その命を犠牲にしてでも倒すのだ!!」
キクレンのリーダー格の男が檄を飛ばすと呼応するようにキクレンの国民の勢いが強くなっていく。
数千人の人間が入るほど巨大な研究所は至る所で火が燃え盛っており、周りではサイラクとキクレンの戦士達が戦っている。
そんな中、一人の女性が外れの森の中を右足を引き摺りながらも早歩きで進んでいる。
その腕の中には小さな赤子が抱かれており、その女性の顔は憎悪に満ちた表情であった。
「許さない! 赦さない! よくも私達の研究を、、 もう少しであの方を解放する方法を見つけられてた筈だったのに!」
息を切らしながら歩いていく女性の元に一人の男が走って追いかけてくる。
「待て! お前はあの研究所にいた人間だろ!! お前は逃すわけにはいかないんだ」
男はサイラクの人間だったようで研究所で働いていたこの女性を追いかけてきたようだ。
「くるんじゃない!!」
女性は必死に逃げていくが、足を負傷しているため徐々に男との距離は詰められていく。
「捕らえたぞ!」
ついに男の手は女性を捉えるがその時、女性が抱いている赤ん坊が大きな泣き声をあげる。
「うわぁぁ!」
男は突如発生した突風により吹き飛ばされる同時に空に浮かぶ雲から雷が落ち、黒焦げになり倒れる。
「はぁはぁ、、 いい子ねウェザー、、」
女性は今一度赤子を強く抱きしめるとゆっくりと森の中を突き進んでいった。
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首都ベゴニア遙か上空
「ここで平和に過ごしてきたお前達に分かるか? 俺が80年絶やすことなく抱き続けてきたこの憎しみが!」
ウェザーが腕を上げると黒雲からゴクウ達四人それぞれに向かって雷が落ちてゆく。
「ゴジョウ! ハッカイを守れ!」
ゴクウは腰に着けている黒い玉を取り出すと上に投げ、黒煙を展開し降りかかる雷を防ぐ。
同じようにゴジョウとハッカイは結界によって守られ、ブレイクは右手を雷に当てることで消し去っていた。
「今度はこちらがこの国を滅ぼす番だ。 覚悟しろよ、サイラクの国民達よ!!」
ウェザーは黒く染まる瞳をゴクウ達に向けると不適な笑みを浮かべている。
「ガタガタうるせーんだよ!!」
ウェザーの後ろに回り込んだゴクウが棒をぶん回すが、風の障壁に阻まれゴクウは吹き飛ばされるが、ゴクウと一緒に白い煙の乗っていたブレイクがゴクウの背後から飛びかかる。
「消滅させる右手」
ブレイクはウェザーを中心に展開されている風の障壁をかき消すと、ウェザーに向かってその右手を伸ばしている。
「お前はかなり危険だな」
ウェザーは寸前の所でブレイクに気づくと全身を雷に変化させ、数メートル下の場所に一瞬で移動することでブレイクの右手から逃れる。
「巨手」
だが、ウェザーの眼前には視界全面を覆うほどの大きな拳が迫っていた。
「動きが読まれた?」
「雪達磨」
ウェザーは一瞬で体を雪で覆い丸い雪の球体の中に入るが、ハッカイの巨大化した拳が当たると雪は砕けちりウェザーは吹き飛ばされる。
「やるではないか。 お返しだ」
「雷鮫」
ウェザーは周囲に降っている雨を集約させ鮫の形に変化させた後に、上空から雷を落とし鮫に雷を纏わせる。
鮫は一瞬でハッカイとの距離を詰めると大きな口を開けてハッカイを噛みちぎろうとする。
しかし、ハッカイは正方形の結界に囲まれており鮫は結界に噛み付くと同時に結界と共に消え去る。
「最初から俺の狙いは貴様だよ」
だが、ハッカイに対して結界を張ったゴジョウの目の前に雷を纏ったウェザーが現れる。
「雷勁」
隙をつかれたゴジョウは能力を使う暇もなく腹部に手を当てられると電撃が腹部を中心に発生し、口から黒い煙を吐いて地上に向かって落下していく。
「とどめだ」
「切雨」
落ちてゆくゴジョウに向かって雨をマシンガンのように浴びせる。
「水操・水玉」
ゴジョウに雨の弾丸が届く前に、何故か雨の弾丸は勢いを弱めゴジョウを中心に球体状に変化すると、地上へと衝突する際のクッションの役割を担いゴジョウは落下の衝撃を受けることは無かった。
「穏やかじゃないな」
現れたアクアはゴジョウを救うと足裏から水を勢いよく発射させてウェザーの元へと上がっていく。
「次から次へと、まるであの時のように数だけはいるんだな。
いいだろう、、 全員纏めて殺してやる」
「崩天」
ウェザーを中心に巨大な竜巻が発生し、竜巻に巻き込まれている雨は全て弾丸のような勢いになり、空からは数多の雷が降りかかる。
「来て早々で中々ヒートアップしているじゃないか」
アクアは冷や汗をかきながらも全身を水で覆って臨戦体制になる。




