武装
-- ベゴニア 西門前
「バスターソード」
アムドがカインズの三人に向かって走り出すと、その手に一瞬で大剣が現れる。
「散れ!」
カインズの三人はお互いが邪魔にならないように散らばると、オーラが真っ先にアムドに突っ込んでいく。
大剣をフルスイングしてくるアムドに対し、オーラは両腕にオレンジ色のモヤを纏わせると大剣を受け止めようとする。
しかし、大剣の威力に耐え切ることができずに後方の西門まで吹き飛ばされてしまい体を強く打ってしまう。
「爆熱炎拳」
大剣を振り抜いて隙ができたところをチューズが横から炎を纏った拳を叩き込む。
「赤糸縅鎧」
しかし、拳が届く寸前にアムドの全身は甲冑に覆われてチューズの拳を防ぐ。
それだけでは終わらず、殴られた瞬間に鎧が爆発しチューズもオーラ同様吹き飛ばされてしまう。
「はっはっはっ! この程度で挑んでくるとは笑わせてくれるね!!」
二人を吹き飛ばしたアムドは機嫌良く大剣を真上で振り回しながら笑っている。
「調子乗ってんじゃねーぞ!」
「また吹き飛ばしてあげるよ!」
オーラが再びアムド目掛けて正面から突っ込んでいくと大剣をフルスイングしてオーラを吹き飛ばそうとする。
しかし、オーラに大剣が当たると同時にオーラの姿は消え去ってしまう。
「なに!?」
「偽物に惑わされるなんてマヌケだな!」
アムドが驚いていると真上からオーラの声が聞こえる。
オーラはアムドが何かをする前にオレンジ色のモヤを纏った拳でアムドの兜に強烈な一発を叩き込む。
すると、アムドの兜はひび割れ鎧まで砕けちってしまう。
「炎足」
西門まで吹き飛ばされたチューズも足から炎を噴出しながら空中を飛びながらアムドに近づいており、鎧が砕け散ったアムドの腹部に炎を噴出している足で思い切り蹴り飛ばす。
「こんなはずじゃない、、 こんな惨めな姿を僕が晒すわけない。 油断していただけだ!」
アムドは全身の鎧が壊れ、口からも少量の血を吐き出しており動揺しているようだ。
「君たちは僕に本気を出させてしまったようだ」
「破邪の御太刀」
アムドは大剣を消すとそれ以上の長さの刀を出す。
その長さは刃長だけで3メートルを余裕で越える長さであり、柄を含めると4メートルを越す長さになる。
「あれだけでかい刀よ。 振り抜いた時がかなりの隙になるわ」
アブは強大なスケールの刀を見ても冷静に状況を分析して現状の最適な作戦を考える。
「隙は作るわ!」
「変・分身」
アブの横にチューズの分身が現れると本物のチューズと交差しながらどちらが本物か見分けられないようにしてアムドに近づいていく。
「どっちが本物かなんて関係ない!」
二人のチューズがまだ十分な距離を確保していたが、アムドは刀を横に振り抜いた。
その圧倒的な長さを誇る刀は二人のチューズを同時に真っ二つにする。
しかし、どちらも本体ではなかったようで消え去ってしまう。
「陽炎。 俺の使える唯一の搦手だ。」
アムドの背後からチューズの声がすると、チューズは炎を纏った拳で隙ができたアムドを殴りつける。
「舐めるなぁぁ!!」
アムドは振り抜いた刀にさらに力を加えることでアムドを中心に一回転することで背後にいるチューズも一刀両断しようとする。
「あぶねぇ!」
チューズは寸前の所で攻撃を仕掛けるのをやめて地面に伏せて刀を避ける。
その際にチューズの髪の毛は幾らか宙を浮かんだが、その間にオーラが続いてアムドとの距離を詰めると拳にオレンジ色のモヤを纏うと攻撃体勢に移る。
「長船秀光」
アムドは全長の長く重い大剣では間に合わないと判断したようで、別の刀身が短い刀に入れ替えると素早い振りでオーラの体に傷を付ける。
しかし、寸前の所でオーラは全身にオレンジ色のモヤを纏って防御をして防ぐが、完全には防ぐことができず右肩から左の太ももにかけて大きな切り傷を負ってしまう。
すぐさまオーラの背後から三人のアブが現れアムドに攻撃を仕掛けるが、アムドの素早い剣捌きで一瞬で消し去ってしまう。
「炎拳」
「赤糸縅鎧」
チューズがアブの作った隙を利用して炎の拳を放つ。
しかし、アムドは一瞬で最初に壊されたはずの鎧を纏う。 その鎧は新品同様に傷やヒビは入っていない。
またもや爆発を引き起こすがチューズは吹き飛ばされずその場にとどまる。
「なに!?」
チューズの体を覆っている炎によって爆発の威力を軽減していたようだ。
「橙拳爆散」
正面にいるチューズとは別に背後に回り込んだオーラが攻撃を仕掛ける。
「炎拳」
同時に正面にいるチューズも炎を拳に纏う。
(マズイ! 一度に二つは対応できない! どっちを防ぐ!?)
アムドは短い一瞬の間に選択しなければいけない。
「はぁぁぁ!!」
(目の前の炎の男の攻撃は先ほど見ている。 対応すべきは未知の後ろの男だ!)
正面からのチューズの攻撃は無視し、後ろのオーラが鎧を殴りつけるタイミングで後方に爆発を起こす。
だが、オーラは爆発に当たるとその姿を消しその後ろからオーラが現れ、その拳にはオレンジ色のモヤが纏っている。
「また、偽物かぁぁぁぁ!!」
アムドが気づいた時にはすでにもう遅かった。
アムドは正面のチューズと後方のオーラの拳を両方喰らってしまう。
「ガァァァ!!」
アムドを中心に大きな爆発が巻き起こり、チューズとオーラの二人は被害を受けないようにすぐさまその場を離れる。
爆発が晴れるとボロボロで皮膚が所々黒く焦げてしまったアムドの姿が現れる。
「そんな、、 この僕が二度もこんな無様な姿を晒すなんてありえない、、」
アムドの目は焦点が定まっておらず動揺を隠しきれていない。
「諦めるんだな。 お前の負けだ」
チューズはアムドに警戒をしながらも降参をするように求める。
「僕の負け? いや、、、僕らに負けは許されていないんだ、、
君達は死よりも怖いものを知っているかい? 僕らはウェザー様の逆鱗に触れることが死よりも怖い」
アムドの声は徐々に小さくなるが、冷静さを取り戻したかのように言葉を紡いでいくがその瞳はどんどん黒く沈んでいく。
「おい、、あいつの様子が変だぞ?」
オーラはアムドの様子が変になっていくのを見て違和感を感じたようだ。
「僕らは死兵。 死によって恐怖から解放される。 皆一足先に逝ってくるよ、、 皆と過ごした日々は悪くなかったよ」
アムドはその黒い瞳で空を見つめると一瞬だけ青く澄んだがすぐさま黒く塗りつぶされる。
遠い昔に国と共に滅ぼされた禁術。 命を犠牲に大きな力を得る秘術。 アムドの左胸が強く光輝く。
「unlimited」
アムドは微笑みを浮かべながら小さくその言葉を呟く。




