相対
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首都ベゴニア 西門前
オーラ、チューズ、アブのチーム-カインズの三人が警備しているこの場所にも空からの雷鳴は聞こえており、三人は冷や汗をかいていた。
「今の爆音は雷!?」
「あぁ、だが落ちる前にブレイクさん辺りが対処してくれたんだろう」
アブが雷の音に驚いていると、オーラは上空に白い煙が四つ上空へ昇っているのを確認した。
「俺らは俺らの役目を全うするぞ。 前を見ろ、来たぞ! 」
チューズの言葉を聞き二人は前方の森に目線を移すと一人の青年が歩いて来た。
「やぁやぁ歓迎ありがとう! だけどそこを退いてもらってもいいかな? 今から僕はこの街を滅ぼさないといけないからね!」
きっちり七三に分けられた髪型に眼鏡をかけた青年が三人に対し忠告に似た言葉をかける。
「退くわけねーだろ! それを防ぐために俺らがいるんだ」
オーラは言葉を返すと全身にオレンジ色のモヤを纏って戦闘体勢に入る。
「そうか、君達が超能隊だね? 耳が痛くなるほどアミから聞かされたからその位分かるよ! 超能隊を三人も倒せば僕はヒーローだね!」
眼鏡の青年はやたら高いテンションで話すと何も持っていない右手に瞬時に剣が生み出される。
「なんかあのちょっとウザい感じ、マンに似てるわね、、」
アブは青年とチューズを交互に見ながら話す。
「おい、俺をあいつと一緒にするなっての! それよりくるぞ!!」
チューズはキレ気味にアブに突っかかると、走ってくる青年に対し両腕から炎を生み出して構える。
「アムド・ストレリチア参る!!」
青年は大声で自身の名を叫びながら突撃してくる。
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中央広場から少し離れた位置にも一人の侵入者がいた。
「ダイナにここまでは運んで貰ったけど、僕も中央広場に行きたかったなー」
侵入者は20歳程の青年ではあるが、言葉使いにどこか子供っぽさが残っている。
「まぁ運んで貰えてなかったアムドに比べたらまだマシだけどね」
ボサボサの茶色い髪の毛をイジりながら青年は歩いていた。
歩く先にはチェス達がいつも授業を行っている学校があった。
「子供を一人ずつ消して行く、それが僕に与えられた任務。 気は乗らないけど怒られるのは嫌だからね」
そんな小言を話していたら上空に少し大きな鳥のようなものから槍が飛んでくる。
「おっと!」
ギリギリでその気配に気づくと青年は転がるように避けた。
槍は地面に深々と刺さると次の瞬間、槍が消え代わりに一人の老人が現れた。
「お主が例の西の集落の人間じゃな?」
その人物はチェスであり、上空を飛んでいたビショップとその背にいるルークを消すと目の前の青年に問いかける。
「ん? あなた誰ですか? ダイナからの連絡では超能隊にあなたのような老人の話は出てこなかったですが?」
「質問を質問で返すでない。 だがお主の問いに返すなら、ワシは超能隊前隊長だ。 今はこの学校の校長をしておるがな」
チェスが自己紹介をすると青年の表情が一気に明るくなり、両手を勢い良く広げる。
「デュオスペース」
青年が能力を発動すると一瞬で二人は宇宙のような空間に閉じ込められてしまう。
「前隊長を倒したとなればウェザー様にいっぱい褒めて貰えそうだ!!」
青年は興奮しているのか先ほどよりも早口で喋っている。
「あなたの事を教えてくれたお礼に僕の事も少し教えてあげるよ!僕の名はペース・サザンカ。 言っていたように西にある集落から来たんだ。 そしてこの空間が僕の能力! この空間では僕が想像した物を自由に作って操れるんだ。 こんなようにね!!」
ペースが片手を上に挙げると、炎の鳥、水の槍、雷の狼、岩の玉など様々な物が作られる。
「この空間では僕は無敵なのさ!!」
興奮するペースをよそにチェスは腕を目の前に掲げる。
「全員来てくれ」
チェスの呼びかけに答えるように、地面から五人の騎士がチェスの眼前に現れる。
「あの若造に井の中の蛙という言葉の意味を教えてやるのじゃ」
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超能隊本部の上空
遙か上空で戦うウェザーとは違い比較的低い高度で三人が飛んで向かい合っていた。
炎と水をそれぞれ足元から噴射して宙を浮かぶフレイとアクア。それに向かい合っているのは足元にあるプロペラのような物を回転させ、その力を利用している青年である。
「いいねいいね! アンタらとても強そうじゃないか!! この僕スピン・ウラジロが二人共相手してあげるから、楽しませてくれよ!!」
スピンは空中を自由自在に泳ぐように動きながら楽しそうに話しかける。
「どうする? どっちかは上の援護にいくか?」
そんなスピンには構わずにフレイはアクアに問いかける。
「あぁ、あっちはかなりやばそうだからな。 私が行こう。 フレイは奴の相手をしてくれ」
アクアはスピンと上空を見比べると上空の方が危険度が高いと判断したようだ。
アクアは足元の水の出力を上げると上空に浮上していく。
「いかせるわけないじゃないか!!」
「回風」
しかし、それをスピンが黙って見送るわけはなく両手を浮上してくアクアの動きに合わせるように動かすと、スピンの手から渦を巻くように風が吹きアクアを襲う。
だが、スピンとアクアの間に炎の壁が現れると風からアクアの身を守る。
アクアはそのまま青年には見向きもしないまま上空へ昇って行った。
「寂しいじゃねーか。 俺だけじゃ不服かい?」
「ハハッ! すぐに壊れないでよ!?」
炎の壁が消えるとその後ろに炎を纏ったフレイが現れる。
スピンはフレイに向かって嬉々とした表情で突っ込んでいく。




