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unlimited  作者: 轟号剛


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30/63

感謝と謝罪

ブレイクの戦いはサイコが木や岩をブレイクに飛ばしてブレイクがひたすら右手で消し去るという防戦一方の戦いとなっていた。


「うふふ、守っているだけでは勝てませんわよ」


サイコは腕を指揮棒のように振りながら木や岩を操作している。


「ここら一帯の木や岩を全て消して仕舞えばお前の念力で攻撃してこれないだろ」


ブレイクは次々に飛んでくる物体を右手で消しながら

周囲を確認するとブレイクから半径10mの範囲には石ころすらなくなっている。


「勘違いしないでください。私とあなたでは目的が違うんですよ」


サイコは細かい石の粒を操作してブレイクの周囲を囲うと一斉に襲わせる。


ブレイクは真っ正面に突っ込むと右腕を大きく振り下ろして石の粒を除去すると空いた隙間から脱出する。


「あなたは私をここで止めるのが目的ですが、私はあなたをここで振り切って帝国に向かうのが目的なのです」


ブレイクが大量の石の粒から脱出すると突然顎に衝撃が入り吹き飛ぶ。


どうやら地面にあった石ころを見落としていたようでそれが顎に勢いよく当たってきたようだ。


「操作できる物が無くなったら、このまま帝国に向かうだけですよ」


顎に当たった石ころは追い討ちをかけるようにブレイクの頭部に向かってくるがすぐさま右手に触れて消え去る。


サイコが両手を大きく挙げると大量の岩がサイコがいる高さまで浮かび上がる。


「流星群」


地上にいるブレイク目掛けて次々と岩は勢いよく落ちてゆく。


しかし、サイコは突如吹き飛びサイコを支えていた地面から離れてしまい地上に落ちてゆく。


「お前が大きな物体を自分の高さまで上げるこの時を待っていたぞ!」


ブレイクは浮かび上がる大岩にしがみついており、サイコの高さまで浮上すると拾っていた石ころを左手でサイコに投げつけていたのだ。


「なっなんで!あなたは地面にいたはず!」


サイコは地面に落ちてゆく途中で木を操作して足場にするとブレイクがいたはずの地面を確認する。


すると地面にはブレイクが脱ぎ捨てた服が立てかけられており、既にその場にはいなかっのだ。


「これで勝負ありだ!」


真上からブレイクの声が聞こえて見上げると右腕をサイコに伸ばした状態で落下してきていた。


(気づくのが遅れましたわ!これじゃ避けられない、、)


サイコは心の中で焦りつつも地上へ落下している岩を操作してブレイクにぶつけていく。


だが、ブレイクは空中で器用に体勢を変えながら飛んでから岩に右手を当てて消し去っていく。



「ダメよ、こんなところで負けられない!私はボルトさんと」


サイコは叫びながら岩をぶつける手を緩めない。


「残念だが、お前には消えてもらう」


ブレイクはサイコからの攻撃を全て防いでサイコに触れられる距離まで近づくと落下しながら右手をサイコの頭に合わせる。


「いっ、いや!!消えたくない!」


サイコはブレイクの右手から離れるためにのけぞって避ける。


「冗談だ。お前を捕縛する」


ブレイクは左手に持っていたスタンガンをサイコの足に当てる。


「ボル..ト..さ」


-


サイコの目の前にはベッドで横たわっている女性が横になっており、子供のサイコはその女性の手を握って泣いている。


「ごめんねサイコ。あなたを一人にさせてしまって、、」


女性は瞳から涙を溢しながらサイコの手を弱弱しく握っている。


「ううん、私は大丈夫よお母さん。今まで一人で私を育ててくれてありがとね」


サイコは涙をぐっと堪えた笑顔で強く母親の手を握り返している。


「私の愛しい子、、」


母親は最後にサイコの頭を撫でると静かに目を閉じる。


「お母さん!!」


サイコは母親が息を引き取ると堪えていた涙がボトボトと流れ始める。


-


「おいサイコ、近づくんじゃねーよ!貧乏が移るだろ!」


サイコは親を失ってからは施設で育っていたが、施設にはお金がなく服や小物などは全てお下がりのためボロボロであった。


「ご、ごめんなさい」


サイコは内気な性格で言い返すこともできずにただ謝るしかできなかった。


「そうだ、お前を綺麗にする方法を思いついたぞ!」


少年はそう言うとサイコに手を向ける。


「やっ、やめてください」


サイコは能力を使って側にある小石を目の前に持ってきて自身を守ろうとする。


「こんなもので止めれるわけねーだろ!」


少年は目の前に浮く小石を手で跳ね除けるとサイコの服を掴み近くの水たまりに投げ込む。


「きゃぁ!」


サイコは抵抗することができず、全身に泥がついてしまった。


「はっはっは!綺麗になったじゃねーかサイコ!」


少年がサイコを見て笑うと周囲にいる取り巻きも同様にサイコの姿を見て笑い始める。


「おい、何やってんだ」


すると黄色の髪をしたドレッドヘアの少年が歩いてこちらにやってきてサイコを虐めていた少年たちに状況を聞く。


「あーボルトか。今サイコを綺麗にしてやったところだ。なかなか笑えるだろ」


やってきたのは少年時代のボルトだったようだ。


「あぁ、こいつが噂のサイコっていうやつか」


ボルトはサイコの姿を確認すると納得した様子だ。


「おいボルト!お前の能力でサイコの髪を燃やしてやったらより傑作になるんじゃねーか!」


少年はボルトと肩を組みながら笑顔で語りかける。


「確かに良い表情が見れそうだ」


ボルトは表情を変えずに頷くと最後に向かって歩いていく。


「やめて!近寄らないで!」


サイコは近づいてくるボルトから逃げようと近くにある石を集めて前方に浮かすが、ボルトが腕を振り払うと石は簡単に散ってしまう。


この頃のサイコはまだ能力を扱いきれていないようで、小物を浮かすことしかできないようだ。


ボルトがサイコの目の前に立つとサイコは諦めたのか目を閉じて歯を食いしばって傷みに耐えようとする。


「良く耐えたな」


だがサイコの予想とは違いボルトは一言優しい言葉をかける。


「おいどうしたんだボルト!さっさと見してくれよ!」


少年は立ち尽くすボルトに催促するが、ボルトは最後に何をするでもなく少年達の方を向く。


「ボルト?」


少年はボルトの行動を理解できていないようだ。


「今日からこいつは俺の家族だ。俺は家族を傷つける奴は許さない」


ボルトは急に走り出すと、サイコを水たまりに落とした少年を殴り飛ばす。


「こいつやりやがったな!全員でやるぞ!」


少年は取り巻きに指示をすると十人程の人数がボルトに殴りかかる。


だがボルトは平然とした顔で全員からの攻撃を捌くと一人ずつ殴り飛ばしていく。


5分が経った時その場に立っていたのはボルトのみであった。


ボルトは再びサイコの元へ近づくと一言だけサイコに伝える。


「俺と一緒にこい」


-


「ボルト兄、誰この子ー?」


ボルトと同じ黄色の髪をした少女、ボニーがボルトと一緒にいるサイコを見て問いかける。


「こいつは親が亡くなって一人らしい。俺らと一緒だ。だから見捨てられなかった」


ボルトは真剣な表情でボニーに対して話す。


「なるほどね、、まぁそう言うことならいいわ!ボルト兄の稼ぎは充分にあるし一人増えても問題ないもんね!」


ボニーは話を聞くと納得し明るくサイコを迎え入れる。


この現状をいまだにサイコは理解できていないようで目を見開いて何も言葉が出てこないようだ。


「俺はまだ子供だがこの能力のおかげでかなりお金を貰えている。だから俺たちは子供二人でもこの家で暮らすことができてる。」


ボルトは掌に電気を纏わせてサイコに自身の能力を見せる。


「お前もこの家で俺らと一緒に暮らしてみないか?」


サイコは差し出された手を涙で濡らしながら両手でしっかりと握り返す。


「お願いします」


-


サイコの意識は一瞬で刈り取られてしまい立っていた木から落ちてしまいそうになるが、いつのまにか木の上で体勢を整えていたブレイクが左手で支える。


そして落ちてゆく足場をサイコを抱えながら次々に飛び移って降りるとサイコを地面に優しく横たわせる。


「全くあいつは幸せものだ」


ブレイクは気絶しながら涙を溢すサイコを見て優しい表情で呟く。

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