20年前
---襲撃のあった翌日
超能隊本部に超能隊全員が集まっている。
「では、昨日の襲撃での被害状況についてまとめさせてもらいます」
壇の上に立つナーブが黒板に文字を書いていく。
「東門、西門、南門、北門、全て守護成功しました。皆さん本当にお疲れ様です。守護にあたっていた超能隊は全員軽傷で済んでおり全員の治癒はもう完了しております」
ナーブは黒板に文字を書きつつ、超能隊全員を見渡しながら説明していく。
「今回捕まえた襲撃犯達は全員牢屋に入れました。彼らの雇い主はコピだと言っており、この街には奇襲を仕掛ける作戦だったと話しております」
「奇襲も何もコピのやつがここに宣戦布告しに来たんじゃねーか」
ナーブの説明の途中でビースが疑問を口にする。
「そうなんです。コピには別の目的があった。今回の各門への襲撃の他に実は被害が二点ありました」
ナーブは指を二本立てると話を続ける。
「一点目は地下牢獄で収容していたウィンド・エリファーが脱走しておりました。これはコピが本部の防御が手薄になった隙に脱走させたんでしょう」
ナーブは指を一本折って話を続ける。
「二点目は元老院の一人、ヒロ・ベリーさんが何者かの襲撃を受けて倒れておりました。外傷はストロングさんが治療したのですが意識が戻らず何が起こったのか分からない状況です」
ナーブは一旦口を閉じると鋭い目で再び口を開ける。
「ですが一つ分かっていることがあります。ヒロさんがいつも肌身離さず持ち歩いていた封印の宝玉が無くなっておりました」
ドーン!
「何だと!」
話を聞いていたゴクウが近くにいる柱を殴り粉々にしていた。
「落ち着けいゴクウ」
「これが落ち着いてられるかよ!」
ブレイクがゴクウを宥めるがゴクウの怒りは収まることはない。
ゴクウは本部の入り口の扉を開けると雲に乗ってどこかへ飛んでいってしまった。
「はぁ、ゴクウが怒るのも無理は無い。良い機会だ、皆少し昔話に付き合ってくれ」
ブレイクはゴクウが出ていった扉を尻目に、話し始める。
「20年前の話になる。20年前にも今回と同じように封印の宝玉が盗まれてしまったことがあったのだ」
---20年前
「おいゴクウ待てよ!」
ゴクウの名を呼ぶのは、ガタイがよく茶髪のウルフカットが特徴の男性だ。
男性はかなりの速度で森の上空を飛ぶ雲に乗って飛ぶゴクウの後ろを走っている。
「へっ、そんなにおせーと俺とメタで任務終わらせちまうぞ」
ゴクウの乗る雲にはゴクウの他に女性が一人乗っている。その女性の名はメタ・ホープアイ。20最半ばで茶髪の髪が腰まで伸びており、前髪は全て分けておりおでこをだす髪型をしている。
「ゴクウ意地悪しないの!マッスの速度に合わせて飛んであげなよ」
メタはゴクウに軽くチョップをいれると後ろを走るマッスに目を向ける。
「あいつだって身体能力の強化されて走る速さが上がってるんだから構わなくていいってのに」
ゴクウの容姿は20年前の姿であるはずだが20歳半ばの今と変わらない容姿である。
「マッスも雲に乗せてあげればいいでしょ?まったく何であんた達は仲良く出来ないわけ?」
メタは呆れたように目を閉じてため息をつく。
「おっ目的の場所についたようだ」
森を抜けると小さな村が見えてきた。
「はぁはぁ、やっと着いたか」
少し遅れてマッスも後ろから走ってくる。
「すいませーん!超能隊のチーム・ホープです。依頼された任務を遂行しに来ました」
メタがハキハキと大声で村に向かって声を出す。
村の中に人の気配がなく外に出歩いている人物はいない。
「遠くからご苦労様です」
村の中で一際立派な建物から老婆が外に出てきて迎えてくれる。
「あなたがこの街の村長ですか?」
マッスが出てきた老婆に問いかける。
「さようでございます。わしがこの村の村長のアインです。今回超能隊に依頼したい任務の内容なのですが、この村をたびたび襲ってくる者の退治をお願いしたいのです」
老婆は咳き込みながらもしっかりと任務内容の説明をしてくれる。
「襲ってくる者?盗賊のことか?」
ゴクウは老婆に襲ってくる者の正体について問いかける。
「うむ。まぁ盗賊と言っても支障はないでしょう。この村を襲ってくる者は二人の兄弟、狼男のウルと猫女のキャッツです。二人はたびたび村に現れると畑の食料を奪って帰っていくのです」
「なるほど、分かりました。二人が現れるタイミングとかは決まってるのですか?」
老婆の話を聞きメタが質問する。
「二人が現れるタイミングは不規則なので、わし達も必要以上に外に出ることができないのじゃ」
老婆は悲しそうに俯く。
「ん?その兄弟ってのはあれのことじゃねーか」
マッスは畑の方に目を向けると狼と猫の姿をした二人の人物が畑の食物を袋に詰めている様子が見える。
「あっあいつらです!」
村長が畑を確認すると話に出てきた畑を荒らす兄弟が既に畑の食料を奪いに来ていたようだ。
「兄さん、何かあいつら見てるよ。あれは村長と見慣れない奴らだ」
猫の姿をしている女性が目線に気づきこちらの様子を見てくる。
「あーん?何だ村長のやつが救援でも呼んできたか?」
狼の姿をしている男も同様にこちらを睨みつけてくる。
「ちょうどいいな。じゃぁあいつらをぶっ飛ばせば任務完了ということだな」
ゴクウは指をポキポキ鳴らしながら村長に確認する。
「はい、お願いしますじゃ」
村長が同意するとゴクウ、メタ、マッスの三人は狼男と猫女の二人の元へ走り出す。
「何だ何だ、俺らを退治しにきたのか?上等だ、やるぞキャッツ!」
狼男は両手の爪を伸ばすとゴクウに向かって突撃する。
「りょーかいよ、兄さん!」
猫女も同様に両手の爪を伸ばすと向かってくるマッスの元へ駆け出す。
「メタお前はマッスの援護に回ってくれ」
ゴクウは狼男と一対一で戦いたいようでメタをマッスの元へと向かわせる。
「はいはい、気をつけなさいよ!」
メタは一言ゴクウに注意をするとマッスの元へと駆け寄る。
「ハッハー!」
狼男は素早い動きでゴクウの背後を取るとゴクウめがけて鋭い爪を突き上げる。
だが、狼の腕は白い煙に覆われておりゴクウに爪が届く前に止められた。
「あめーよ」
動きを止めた隙に手に持つ長い棒で狼の顔面を吹き飛ばす。
「いってーな!」
狼男は鼻を押さえつけながら痛がると煙に覆われている腕に向かって息を強く吹きかける。
狼の口から発せられる風によって腕を覆っていた白い雲は消え去る。
「この煙を操る力がお前の能力だな?」
狼男は息を思い切り吸い込む。
「息風動道」
狼男の口から勢いよく風がゴクウに向かって発射される。ゴクウは棒を盾にするが勢いを殺しきれず吹き飛んでしまう。
「やるじゃねーか!」
ゴクウは白い煙を生み出して上に乗ると狼男の元へ飛んでいく。
「何度やっても同じだ!」
「息風動道」
狼男は再び風で悟空を吹き飛ばすつもりだ。
ゴクウは足元の煙を足場に高く跳躍して風を避けると上空から棒を狼男の頭目掛けて振り下ろす。
「哀安黒」
狼男は鋭く伸びた爪を上空から振り下ろされる棒に向けて突き上げる。
ゴクウは力負けしてしまい、ゴクウの持つ棒は空へと弾かれてしまう。
「はっ、おしめーだ!」
狼男はゴクウの心臓目掛けて爪を突き上げた。
「煙煙包獄」
ゴクウが手を狼男に向けると狼男を包むように大量の煙が発生して狼男を閉じ込める。
「息風動道」
狼男は風を吹くと自身を包む煙を吹き飛ばすが、突如狼男の頭に空へと弾き飛ばした棒が振り下ろされる。
棒の端には細い煙がゴクウの手元まで伸びていた。
「いてっ!」
狼男は頭を抑えると既に目の前にゴクウが移動しており棒で狼男の顔を何度も叩いていく。
「おらららら!」
狼男は叩きつけられるたびに口から少量の血を吐いており、ゴクウが最後に心臓の部分へと鋭い突きを繰り出すと狼男は白目をむいて倒れてしまう。
気絶したことで狼男の能力が切れ、元の人間の姿に戻っていく。
「楽しかったぜ」
ゴクウは満足そうな顔をしながら煙で目の前の狼男の能力者を拘束する。
「兄さん!」
猫女が狼男が倒されたことで動揺するがその隙にマッスは殴りつける。
猫女は勢い良く飛んでいき、3回程バウンドした後に体勢を整える。
「転移」
メタが触れていた地面に巨大な穴が空くと突如、猫女の真上に大きな土の塊が現れ猫女目掛けて落下する。
猫女は落下する土の塊に飛び乗ると頂上まで駆け上り、上空からマッス目掛けて飛びかかる。
マッスは猫女の素早い動きを捉えており、飛びかかってくる猫女を躱すと腹にカウンターブローを入れる。
「ぐふっ、、」
猫女はお腹を抑えながら悶えると、頭に強い衝撃が走り倒れてしまう。
衝撃の元はメタが転移させたトンカチであり、上空から落として勢いをつけた状態で猫女に当てたようだ。
「ふぅ、こっちもいっちょ上がりね!」
落ちているトンカチは消えると一瞬でメタの手元に移動するとポケットにトンカチを収納する。
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「ありがとうございました。何とお礼を言えばいいか」
村長は頭を深々と下げると感謝の言葉を伝えてくる。
「いえいえ、任務をこなしただけなので!」
メタは両手を振って村長の頭を上げさせる。
「じゃぁこの二人はこっちの方で取り締まっておくぞ」
ゴクウは能力の解けた狼男と猫女の二人を煙で拘束しながらゴクウの乗っている煙に乗せると片道を戻っていった。
「相変わらずせっかちね。マッス歩いて帰りましょ」
メタは一目散に帰って行ったゴクウに呆れるとマッスと共に歩いて街に帰宅していく。




