表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

空の食卓

作者: mimimi

1日3食、一汁三菜というバランスの良い献立ばかりではなかったけれど、きちんと食べる物は用意してもらっていた。

物心がつく頃、という程幼い頃ではないけど、その時にはもう父はいなかった。いないことが自然だと思えるくらいには、私の中で存在の薄い人だった。

祖父母と暮らし、母は働き詰めだった。


昭和一桁代生まれの祖父母は、出戻りの娘と父親のいない私を憐れむような目で見ることがあった。

直接そういう類のことを言われたわけではないけれど、子ども心に何となく察することはあった。


母の帰りを待ち、夜遅くまで起きている私を憐憫の眼差しで見つめる祖父が痛々しく、苛立たしさを感じさせた。

可哀想だとは思われたくなかった。事実、寂しくも悲しくもなかった。

特別な感情は何もなかった。


周りの大人の目は私の感情に関係なく、いつも1つの答えを写しているようだった。

私が喜べば、「もっと幸せだったかもしれないのに」

私が悲しめば、「やっぱりね、かわいそうに」


どちらにせよ彼らには〝かわいそうな子〟にしか見えていなかった。

何を言っても、どう感じようとも変わらないのならば、と段々と感情を殺すようになった。

彼らの視線によって、私が傷つけられていると悟られないように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ