努力の成果、少しずつ認められていく黒江
あたしの疑問が顔に出ていたのか、優男はあたしの疑問に答えた。
「十円で提供している機械も黒字は出ますよ。たまに、ですが。大体収支ゼロくらいになります。実は、お客様にお布施をいただいています。いつもありがとうございますってお子さんの保護者の方から幾らかもらいます。多い方では福澤さんを何枚かもらうこともありますね。全て店長が管理していますが、ぼくらもそれで給料が上がったりします」
そうなのか……客に寄付してもらっているということは、サービス精神旺盛で当然なんだな。してもらったことを返して、気持ちを受け取っていると。
これで経営できているのは、客のおかげでもあるんだな。お客様は神様。その通りだ。
プーがお客様第一に考える理由がわかってきた。サービスして客を気持ちよくさせる。
「あたしがいちゃいけないとこじゃないか……」
「そうですよ。あなたのようにお客様に対して、無償の愛を捧ぐ自信のない人は、いてはいけないんですよ。いたら邪魔なんです。……でも……頑張ってますね」
「え」
「できないことをやろうとしているじゃないですか。それで少しできるようになって……努力は認めますよ。あなたは気に入らない人ですけど、努力してる人だってことは認めてあげます。店長があなたを雇おうとする理由も、少しだけわかったってことです」
声を荒げつつも優男はあたしのことを認めた。ツンツンしていて棘があるが、どうやらあたしのいいところを見つける努力をしていたようだな。同族嫌悪していたのか。
「……ありがとうございます」
「……次いきますよ」
それからも優男に説明され、あたしは適度に質問した。きちんと答えてくれたし、どもることもなかった。これが仕事をする人間の心構えと気概というやつか。
あたしもこいつを見習って余裕の持てる店員になろう。
「これで説明は以上です。では、実際に試してみてください。電話は僕がかけますから、取って応対してください。この練習はきちんとできるまでやります」
そう言って、優男は自分の携帯を触って耳に当てた。すぐに電話がかかってきて、あたしは受話器を取った。応対が始まる。
初めは上手くできなかったが、何度かしてもらって合格と認定された。
「……下手糞でしたね」
「……はい、すみません」




