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本気の花を咲かせて。  作者: 社容尊悟
5.嫌い嫌いも好きのうち、ということでした

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敬語のレッスン②

「なるほど。それはいいですね。にしても、小娘が敬語を喋ると違和感しかないですね」

「……」

 敬語を普段喋らない奴が使うと気持ち悪くなるのは、先刻承知の上だ。

「小娘は寂しがり屋で、誰かと一緒に話す時が幸せだということですね。一口に誰かと言っても、家人や朋友でしょう。それがお客様とは限らない……というのが少々難ありですね。お客様とお話する時、大好きな誰かを想像しながらお話するのがよさそうですね」

 クリクリの的確なアドバイスのおかげで、あたしは自然に笑顔を作れるようになってきた。この調子で笑顔をマスターするぞ。

「ですが、これだけは覚えておいてくださいね。目前にいる方を自身の好きな方に見立てても、お話しているのはお客様です。それだけは念頭に置いておき、友達感覚で話してはいけませんよ。簡単なようで案外難しいことかもしれません。お客様を大好きな誰かと錯覚するわけではなく、あくまで仮の姿として見てください」

 あたしはシャーペンと紙を出してメモを取った。

「メモを取る時、相手と対面していれば『はい』と一声ずつかけた方がいいですね。タイミングは相手の話に間がある時がいいです。間がなければ返事はせずに、頷いてください。話の邪魔をしてはいけないですよ。不快に思ってしまいますからね。そして、相手が話し終わった後に確認をする。その際も『復唱または確認させていただきます』の一言も欲しいです。きちんと理解できているかの確認にもなりますし、もし間違っていれば訂正もできますからね。これは社会人になるためにも必要なことですよ」

 そんなことを知っている深海の国の王様付メイドは凄い。日本人の知識がたっぷりだ。

 あたしは覚えるのとメモを取るのに必死で、そんなことする余裕がないけどな。

「最初はゆっくりでいいです。できることを、少しずつ増やしていきましょう」

「かしこまりました」

「これで私の指導は終了です。次は接客を学んでください」

 接客についても少しだけ学んだが、これでようやく次の奴にバトンタッチか。気心が知れているから、クリクリだとまだ話しやすかった。次の奴は全く知らない赤の他人だし、どんな感じになるのやら……。クリクリが携帯か何かで次の奴を呼んだ。

 すぐさま次の奴が来て、スタッフルームにやって来た。

「お待たせしました」

「よろしくお願いします」

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