早速研修に取りかかろう
「私が手取り足取り教えて差し上げましょう。アマネル・マープ様直伝の素晴らしき修飾の数々、小娘も身を以て体感するとよいです。ふふふ……」
世にもおぞましい笑みを浮かべて、クリクリはあたしの隣に来た。
「よ、よろしく頼む……」
「小娘は教え甲斐がありそうですね」
いきなり大変そうだ。あたしもちょっとくらい、敬語の勉強してくるべきだったか。
「次に接客。接客が得意な道長さん」
「はい」
知らない女子の店員がすっと前に出た。こいつはかなり笑顔が似合う女だ。
「よろしく頼む」
「みっちり教えてあげますよ」
笑顔で言っているが、負のオーラが溢れ出ている。こいつ、結構腹黒い奴なのか?
営業スマイルを頑張ってみたが、奴の滲み出る黒さのせいで笑顔が引きつる。
「次に品出し、発注。これは阪中くんに頼もうかな」
「はい……店長がそうおっしゃるのなら」
それって正社員がやることじゃないのか? バイトもやらされること多いんだな。
あの優男もかなり不満げな顔をしながらあたしを睨み付ける。
「よろしくな」
「あなたと宜しくしたくありません。店長のご命令なので、仕方なくするんです」
プーは命令したわけじゃないと思うが……こいつ、やっぱりプーの信者だ。プー教に入っているよ。尊敬と畏敬だとわかってはいても、プー命って感じで、気持ち悪すぎる。
「最後に企画。これを一番成功させたい。ぼくが教えるから、黒江さんはアイディアを出して企画立案を成功させる。成功させるまで合格は出ないから」
「わかった」
「敬語で言うんですよ。かしこまりました。言ってください」
「か、かしこまりました」
「そうです。よくできましたね」
クリクリはケラケラと笑って、拍手した。他の奴らも笑いながら拍手しやがる。こいつら、敬語が使えないあたしを馬鹿にしているな? まあ、当然だろうが……。
「うん。研修は今日一日で終わらせる。軽く自己紹介してもらおうかな」




