あたしとダチになりたいんだろ?
「おっ、お前な、一言どころか二言くらい余計なんだよ! 黙らすぞ?」
「おお、怖い怖い。不良さんは怒らせると怖いですねー」
いちいち癇に障ることを言ってくる。そのじっとりした目もむかつく。一発殴り飛ばしてストレス発散したい。
「短気は損気だよ。如何なる時も平常心を保たないと、取り返しの付かないことになるよ」
「お前……」
「何?」
「顔だけは可愛いよなあ……」
「余計なお世話」
頬をぎゅっと摘まれ、プーに先手を打たれてしまった。
「痛いだろっ! なんでお前、口だけじゃなくて手も乱暴なんだよ!」
「頬を摘むくらいいいでしょ。スキンシップだよ」
「ハ? なんでお前とあたしがスキンシップしてるんだよ」
「ぼくと仲良くなりたいんじゃないの? こんなにぼくに話しかけてきて。本当は友達が欲しかったんじゃない。ぼくと友達になりたいって、素直にそう言えばいいのに」
プーはあたしのことをわかったように言い出した。
お前が友達になりたいんじゃないか? だからあたしに突っかかるような真似を。
この偉そうな性格は、なるほど、王様だったからか。あたしの予感は的中したわけだ。あたしは勉強ができなくても勘はいいらしいな。これなら世の中上手くやっていけるぞ。
「お前に話しかけたのは、お前があたしとダチになりたいと思ってるからだろ。心優しいあたしがお前に歩み寄ってやってるんだよ。感謝くらいしろよな」
「うるさい人だなあ。全く、可愛げのない……」
「お前にそっくりそのまま返してやるよ!」
こいつとは初めて会った時からブーメランになる会話しかしていない。
なんでこんなに噛み合わないのか。あたしと反りが合わないなんて、損するぞ。あたしがいれば、周りはみんな笑顔になれる。あたしの発言で、みんな笑える。
「ぼくは可愛げなくていいんだよ。そんなもの追求してないから」
「お前、さっき人間じゃないって言ったよな? 深海人ってやつか? 宇宙人?」
「だから人ではないんだよ。深海の生物」
あたしはスマホを取り出してパパッと検索にかけた。