約束の時間に間に合わず怒鳴られると思ったが、客の前では怒鳴られなかった
「外人さんかい? 困ってるようだから声かけたんだが……外人さんはちとな」
「いや……外人じゃない、日本人だ。鼻筋が通っていて美人だが歴とした日本人だよ」
「そうか……お前さん、どこに行きたい?」
「隣町のゲーセンだと思うんだが……」
「ふんふん……それなら、あっち行って、こう。左曲がりゃいい」
「ありがとな。おっさん」
「おっさん……。ああ」
あたしはおっさんの言った通りに行って、ゲーセンに辿り着いた。恐らく、遅れてきたことにプーは怒っているだろう。こういう時、クリクリは言い訳しない方がいいと言っていた。
あたしは意を決し、足を踏み入れた。
「プー……悪い!」
何かを言われる前に先に謝ろうと思い、頭を下げた。
「ちょっと……お客様がいらっしゃる前で……」
「あたしの落ち度だ! 存分に怒鳴ってくれ!」
「お客様の前で怒鳴るなんてこと、するはずがないでしょう」
プーがあたしの肩をぽんと叩いた。あたしは顔を上げて、周囲を確認する。
客は既に大量にいて、どよめいていた。あたしを見てクスクス笑っている。
「わかったから。ね」
「……ああ……悪い……」
プーはニコリと笑って懐の広さを客に知らしめた。客もホッとしたようだ。
そうか……。客の前で見せしめのように怒鳴るようなことはしないのか。ちょっとあたしの考えすぎだったか。取り敢えずプーのところに行く。そしたらプーに手を引かれ、スタッフルームに連れて行かれた。もしや、客の前でなければ怒鳴るのか?
あたしはドキがムネムネ……いや胸がドキドキしながら中に入った。
プーの他に優男とクリクリと知らない他の店員が数名いた。
「遅れた理由は?」
「言い訳はしない方がいいって……」




