温かくなった家庭
「制服貸与するから。明日洗ってきて」
「制服……もしかしてエプロンか?」
「うん」
プーがスタッフルームの奥から箱を取り出して、新たな制服とやらをあたしに渡した。
「これが初制服とやらか……」
「店員用のエプロンだよ」
ビニールにコンパクトに収納されているエプロンを、あたしはまじまじと見つめた。バイトの制服というものはいい。いつも着ている制服とはまた違って新鮮だな。
「あたしはこれで帰りか?」
「うん。ご苦労様」
「わかった。お前もな」
あたしは二人に手を振って、スタッフルームを出た。
店内には優男もいるが、あたしは無視して直で帰宅する。今日からバイトデビューだ。
明日から説得も兼ねての研修か……どうなることやら。
あれからというもの、家庭が温かくなった。プーが手を回してくれたのだろうか。
母親に前から言われていたことは解決していないが、あたしがあいつに教えられて以来、あたしの考えが変わったし、楽になった。
でも変わったのはあたしだけじゃなくて、親も変わった。前よりあたしを気にしてくれているし、放任主義だった父親があたしのことについて訊くようになった。あたしも自分のことを話すようになったし、人生も順風満帆。あたしは段々と更生の道を歩むことになる……とはいかないが、高校卒業したら、少しくらいはまともになってやるよ。
母親が洗い物をしている隣で、皿を片付けつつ皿を布巾で拭く。
「飛香も変わったわね」
「そうだな……少し丸くなったか?」
「相変わらず男の子みたいな喋り方だけど……前より素直になった」
「手に負えない感があったもんな」
「そうよ……どう躾したらいいか、わからなくなってたわ」




