プーはすべてを偽っている
スタッフルームに連れられ、適当な椅子に座る。
そこら中に景品の箱やら紙やらペンやらがいっぱい置かれていた。ホワイトボードまである。部屋の大半を陣取るばかでかい机は、みんなで会議でもするためのものか。
「つまり……あれだ。お前は自分の容姿を偽ってて、しかも年齢まで偽ってると。そんでもって、アメリカの出身ってのも嘘なんだな? なあ、そうだよなあ……?」
「そうだよ。それがどうしたの? 何か文句ある?」
感じのいい店長としてのプーでなく、偽高校生の感じ悪いプーに戻った。
文句ありまくりだ。骨の髄まで言ってやろうか?
「で、本当はどこの出身なんだよ」
「出身っていうのは、語弊があるんだけど。まぁいいよ。あなたみたいな人はしつこく訊いてくるからね。教えてあげる。仕方なく。あなたの残念な脳味噌でもわかるように」
なんでこんなに回りくどい言い方をするのか。さっさと言え。
「そうやってすぐイライラするのは、相手の思うツボなんだよ? 焦らしてるだけだよ。ぼくは幻と呼ばれている深海の国から来たんだ。何人たりとも立ち入れない、神秘の国だよ。ぼくに親はいないから、実質、王かな。ちょっと厄介な、ぼくの従者と一緒に日本に来た。日本が好きらしくてね」
「は……? 王……? なんだってえ?」
日本は王制じゃない。民主制だ。天皇陛下が王様みたいなものだ。王様と違うのは、偉そうに踏ん反り返っていないところだな。政権も政府が持っているし、天皇陛下はいるだけで日本人を安心させる。言わば日本の象徴というやつだ。
「黒江さんさあ、もっとビックリすることがあるんじゃないの?」
「深海の国ってやつか? あたし、そんなの聞いたことないぞ」
「そうそう。ぼく、人間じゃないから」
「ああ、人間じゃないのか……って、何っ? マジなのか? お前、人種まで偽ってるのか! なんて奴だ!」
「べつに偽ってないけど。勝手にアメリカ出身にされただけだから。だからぼくは深海の国で生まれたんだって。何度言わせるの、あなたは。いいところを見つけるのが難しいね……」
プーはやれやれと呆れている。呆れられるほどあたしは馬鹿なのか。




