敬語もろくに話せない黒江
プーという存在そのものが説得力の塊のようなものだ。プーは人からの信頼が厚いからな。プーがあたしを受け入れろと言えば、納得できなくてもするしかないと思うだろう。だから今この時が、あたしの真価が問われる時。あたしの隠された力を見せびらかす時。
いつまでもこいつに頼りっきりじゃ、自立できないし。
「おい」
「え……はい」
「あたしを認めろ」
「いきなり命令口調で言われても……」
つい、いつもの調子であたしの悪癖が出てしまったよ。
「黒江さん……」
プーにも先行き不安という顔をされている。どうする、あたし?
優男は初対面での衝突と今日泣かされたことで、あたしに対する不満と警戒心が、より高まっている。そんな奴を今この場で説得しろとプーに言われても、あたしにそんな問題解決能力はない。だから今日やるべきではないと思うが。後日改めて話をした方が、ほとぼりが冷めて説得しやすくなる……と考えた。それを口に出して言おう。
「なあ……」
「はい」
「あのさ、話をしようとしているところ悪いんだけど、その喋り方からしてまずアウトだってこと、そろそろ気付いてもいいんじゃない?」
あたしのこの男勝りな口調が駄目だと?
「……店長のおっしゃる通りです。いきなりタメ口で話しかけられても困ります」
「そ、そうか。でもあたし敬語はあまり得意じゃないぞ……」
「努力する姿勢が買われるんだよ」
「……じゃ、じゃあもっかい言うぞ……言うます」
「何言ってるの……?」
あたしの変な敬語にプーがイラッとしたような声で詰った。
「……仕方ないだろ。言い慣れてないんだから……」
「ほらまたタメ口で喋った。これは教育のし甲斐があるけど」
「……話になりませんね。店長も、何故こんな人を採用なさったのか、是非ともお聞かせ願いたいです。敬語もろくに話せないような人、いても仕方ないじゃないですか」




