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本気の花を咲かせて。  作者: 社容尊悟
5.嫌い嫌いも好きのうち、ということでした

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ゲーセンの店員は大変だ

 マジ泣きだ。人にめちゃくちゃ言うくせに、こいつは自分が言われると泣くのか。男としてどうと言うまでもなく、恥ずかしいぞ。言われる覚悟もしておけよ。

「悪かったよ。お前がそこまで根性なしだと思わなかった」

「……これでも、少しは頑張っているんですよ!」

 女々しすぎて見ていて辛い。今にもママと叫んで飛び出していきそうだ。

「そんなんで、よくゲーセンのバイトできるなー」

「……う……」

 ゲーセンに通っているあたしだからこそわかる。ゲーセンには変な奴がよく来る。チャラ男どももそうだし、チンピラもマナーの悪いガキも来る。あたしのように、家に帰りたくない奴だってゲーセンに入り浸っているものだ。それを注意しに行くには、相当コミュニケーション力を必要とするだろう? 少し勇気を振り絞っただけじゃ、対応し切れない。

 そのことはこいつもよくわかっているはずだ。

 でもプーはこいつを解雇しない。雇う理由は必ずあるはずだ。

「お前のいいところって……」

「ひっ、う……はい?」

 未だに泣き止まぬまま、優男はあたしの呟きに反応を示した。

 そこへ変身を済ませたプーが戻ってきた。店長のエプロンも着用済みだ。

 何事もなかったかのようにポーカーフェイスを気取っている。これが王たるものの風格ってやつか……なんか凄いな。凄いとしか形容できないあたしの貧困な語彙よ。

「あ、阪中くん。おかえり」

「た、ただいまです店長……」

 プーはさかなくんとかいう優男が泣いていることに突っ込まなかった。さして気にするようなことでもないほどに、こいつはいつも泣いているのか。プーは鈍感じゃないし、気付いていて敢えて言わないのか。ま、これより先は邪推じゃすいってもんだ。

 ここらで一旦、考えるのはやめだ。

「プー」

「屁をこくべき時じゃないでしょう」

「その返しは聞き飽きた。なあ、こいつどうにか説得してくれよ」

「それはあなたがすることでしょ? ぼくがしたら意味がない」

「う……それもそうだな……」

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