ゲーセンの店員は大変だ
マジ泣きだ。人にめちゃくちゃ言うくせに、こいつは自分が言われると泣くのか。男としてどうと言うまでもなく、恥ずかしいぞ。言われる覚悟もしておけよ。
「悪かったよ。お前がそこまで根性なしだと思わなかった」
「……これでも、少しは頑張っているんですよ!」
女々しすぎて見ていて辛い。今にもママと叫んで飛び出していきそうだ。
「そんなんで、よくゲーセンのバイトできるなー」
「……う……」
ゲーセンに通っているあたしだからこそわかる。ゲーセンには変な奴がよく来る。チャラ男どももそうだし、チンピラもマナーの悪いガキも来る。あたしのように、家に帰りたくない奴だってゲーセンに入り浸っているものだ。それを注意しに行くには、相当コミュニケーション力を必要とするだろう? 少し勇気を振り絞っただけじゃ、対応し切れない。
そのことはこいつもよくわかっているはずだ。
でもプーはこいつを解雇しない。雇う理由は必ずあるはずだ。
「お前のいいところって……」
「ひっ、う……はい?」
未だに泣き止まぬまま、優男はあたしの呟きに反応を示した。
そこへ変身を済ませたプーが戻ってきた。店長のエプロンも着用済みだ。
何事もなかったかのようにポーカーフェイスを気取っている。これが王たるものの風格ってやつか……なんか凄いな。凄いとしか形容できないあたしの貧困な語彙よ。
「あ、阪中くん。おかえり」
「た、ただいまです店長……」
プーはさかなくんとかいう優男が泣いていることに突っ込まなかった。さして気にするようなことでもないほどに、こいつはいつも泣いているのか。プーは鈍感じゃないし、気付いていて敢えて言わないのか。ま、これより先は邪推ってもんだ。
ここらで一旦、考えるのはやめだ。
「プー」
「屁をこくべき時じゃないでしょう」
「その返しは聞き飽きた。なあ、こいつどうにか説得してくれよ」
「それはあなたがすることでしょ? ぼくがしたら意味がない」
「う……それもそうだな……」




