これもセクハラ?
これがセクハラ? そんな馬鹿な。これは違うだろう。
「女だろ、男だろという考えはセクハラに当たりますよ。控えてくださいね」
「あ……」
あたしがよく母親に言われてきたことじゃないか。あたしも同じことを他人に言ってしまうとは。染み付いてしまっているのかもしれないな……。
「悪い」
「え? 今なんと?」
「悪かった。変なこと言って」
「え……?」
「何回も聞き返すな。鬱陶しい」
あたしは呆けている優男にきつく言葉を吐いてやった。ついでに舌打ちもした。
「なんだか……あなたって、店長に会って変わられたんですかね……」
感涙している。こいつ、情緒的な奴なのか? それとも感受性が豊かな奴か?
「あたしは最初の時も謝っただろ! あたしは不良だが、根はまともなんだよ! 子供と年寄りと妊婦には席を譲ってやるんだ! 重い荷物持ってたらあたしが持ってやるんだ」
「自分で言うなんて……なんて痛い人だ……」
優男は涙がちょちょぎれるのをハンカチでそっと拭いた。こいつ、本当に男か?
なよなよしすぎている。こいつこそ男らしくした方がいいだろう。
「お前、人のことなんだと思って……」
「痛い人。うるさい人。情緒不安定で幼稚な人。頭悪い人。店長をストーキングしている人。だと思っていますが、何か」
「おう? じゃあ言ってやるよ。あたしもお前のことどう思ってるか!」
「いいえ。結構です」
「結構って言ったな? それはいいって意味なんだろ! 言ってやる! 耳かっぽじってよーく聞けよ。お前はヘタレでキモくてプーの信者でいいところが一つもないクソバイトだ! 少しはあたしを見習って勇気百倍になれ!」
「……」
あたしが早口で言ってやると、優男は涙をドバッと溢れさせた。
うっわ……あたし、こいつ泣かした……。
「うっ、うっ……そこまで言わなくても……いいじゃないですか……」




