憎まれ口を叩き合う二人
「うん。ごもっとも。だけどぼくたちは進化の最先端をいってるから。全ての世界でそうとしか説明できない。人間の脳では理解しきれない神秘な出来事と思ってくれたらいいよ。科学的に証明しようとしても、あなたたちの頭では無理だね。あと千年は余裕でかかる。だから信じられないならそれでもいいよ。あなたの頭がそれまでだということだからね」
プーは今までに何度かこの姿を見られたのだろうか。
それでいつも信じてもらえなくて、そんなことを言っているのかもしれない。こいつの性格なら、端から人を小馬鹿にしたように言うこともあるだろうが。
「信じるよ」
あたしは言ってやった。何度も助けてもらったし、迷惑もかけた。せめて誠意の一つや二つくらい見せたっていいはずだ。だからあたしはもう一度宣言した。
「お前の言葉、信じるよ」
「黒江さん……」
プーが面食らったような顔をして、あたしの名を呼んだ。どうだ、感動したか?
「ずっとその姿のままなら、お前も少しは可愛げがあるかもな」
「可愛げが欲しいのはあなたの方なんだけどね」
相変わらず二人して憎まれ口を叩き合う。あたしらの関係はこうでないと。
プーは水化粧をしに、奥に入った。
あたしはスタッフルームでプーが来るまで待った。あたしの初バイトの日になるだろうから、楽しみで仕方がない。上手くやってみせるぞ。
「あ」
「ん? あ……お前」
ドアがひとりでに動き出したと思ったら、またあの優男が現れた。いや、ここはスタッフルームだから奴が来るのは当然だが、奴は居合わせたくない相手なのだ。
優男も眉を顰めて、見るからにいやな顔をしている。鏡か、お前は。
「なんでまたあなたがいるんですか……」
「いいだろべつに。もうあたしは正式に採用されたんだからな!」
えっへんと鼻を高くして踏ん反り返った。どうだ、あたしの本気、思い知ったか。
「え……店長のストーキングをして遂にそんな妄想まで……恐ろしい人だ……」
「ちっがう! お前こそ妄想じみた考えはやめろよな! 男だろ!」
「それ、セクハラっていうんですよ?」




