水をぶっかけられた黒江、焦るプー
「ヌレスケにしてやれ!」
状況を呑み込めていないプーが眉根を寄せていた。
「は……?」
……こいつら。まだプーのことを女と勘違いしていたのか。
ペットボトルの蓋が開けられた瞬間、あたしはプーに覆いかぶさった。中身をぶちまけられ、あたしは顔も制服もびしょびしょになった。ポタポタと地面に滴が落ちる。あたしの下着も透ける。このチャラ男どもには嬉しくないサービスだが、花も恥じらううら若き乙女のあたしにはこれ以上ない至高のサービスを提供してやったよ。
笑えばいいさ。ははは……。はは……。
「くっそー! 結局はババアのババ下着かよ!」
「あー、カワイコちゃんの可愛いブラジャー見たかったぜ!」
「クソババア!」
案の定、チャラ男どもは大誤算で悔しがっていた。あたしにするつもりじゃなかったのか。なんであたしがこいつらに文句言われなくちゃいけないんだ。あたしが言いたい。
「黒江……さん」
後ろにいたプーがあたしの服の裾を掴んだ。その手も声も僅かに震えていた。
「ん? なんだプー」
「ちょ、ちょっと。ま、待ってて。すす、すぐ戻るから……」
「は……?」
あたしはさっきのプーと同じような状態に陥った。まるで状況がわからない。
プーは逃げるようにゲーセンの中に入っていった。一体なんなんだ?
チャラ男どもまでポカンと口を開けているぞ。あの動揺を見たのは初めてだからか?
チャラ男どもを少しだけ懲らしめた後、あたしもゲーセンの中に入って、プーの行方を掴む。
何故か床に水滴があった。それも一滴や二滴じゃない。何滴も零れていた。それが中に続いていて、スタッフルームのところで途切れた。
「プー? いるんだろ?」
「……」
「プー? 開けるぞ」
何度訊いても返事がなかったので、あたしはドアを開けることにした。




